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2009年6月19日 (金)

情報錯乱

 新聞紙上に飛び交う内外の情報は、ブログ記事を書く上で欠かせない。しかし、関心ある記事がすくなくとも、また、逆に多すぎても何にするか迷ってしまう。それと、関心があっても記事の信憑性が疑われるようなものは敬遠せざるを得ない。

 それが、中国における北朝鮮情報である。これまで「白昼夢」という題で国連安保理決議後の動きを占った記事を書いたため、「白昼夢その3」まで続けてしまう羽目になった。さすが今回は「白昼夢その4」とする元気はない。もう今日はやめにしようかとも思ったが、それもあとを引くようで気分が悪く題を「情報錯乱」とした。

 錯乱情報その1は、中国共産党機関誌・人民日報が発行する『環球時報』が、平壌に駐在する某国大使から北京で取材した話を載せたという記事である。それによると、金正日総書記の健康状態が「大きな問題が発生し、ひどい状況にある」ため、三男・正雲氏が後継者に決まったというものである。

 各紙とも、このような両国間の重要かつ踏み込んだ問題を外国人からの取材で取り上げるのは初めてであるとしており、大使が情報をわざわざ北京まで来て本国に報告しなければならないほど北朝鮮の情報管理が厳しくなっていることも伝えている。

 錯乱情報その2は、金正雲氏が訪中したという朝日新聞報道を中国外務省報道局が否定したことである。それを毎日新聞はこう伝える。

 (前略)秦副局長は16日の会見で、「そのような状況は承知していない」と答えていたが、朝日新聞は、さらに18日付朝刊1面(同)で「正男氏も同席」と金総書記長男の正男(ジョンナム)氏も会談に同席していたと続報を掲載した。

 18日の会見で秦副局長は「日本の方々は東洋の含みのある言い方が理解できるに違いないと思っていた。まだ理解できないようなら今日はもう一歩進めて事をはっきりさせる」と前置きしたうえで、「私も関係メディア(朝日新聞)の報道を読んでみたが、まるで(スパイの活躍を描いた)『007』の小説のようだと思った。彼らが次のシリーズで何を書くのか、私には知る由もない」と述べた。

 中国外務省の会見について、朝日新聞社広報部は18日、毎日新聞に「ご指摘いただいた北朝鮮についての一連の報道は、確かな取材に基づき記事にしたものです」とのコメントを出した。

 朝日新聞は記事の中で取材先を複数の北朝鮮関係筋としており、金総書記と近く北京との接触の多い人物だとしている。また韓国の朝鮮日報は、日本の取材競争の過熱ぶりをつたえ、朝日の記事は「誤報」をにおわせるような表現で記事を載せている。

 ちなみに、朝鮮日報は毎日新聞と提携関係にあるが、公正に見て朝日新聞の記事には多くの疑問が残る。ただ、その直前に伝えられた韓国KBSテレビの「正雲側近による三男・正男暗殺計画と中国官憲の身辺保護」報道が正雲訪中とされる日に近く、何かの動きがあったのかな、という気がしないではない。

 その点をのぞけば中国の対応に大きな矛盾があることになる。最初に書いた某国の駐北朝鮮大使から入手した情報をリークしたような、中国の北朝鮮に対する情報提供への不信感がある一方、国家元首である胡錦濤主席に面会し、国内何カ所かの工場見学をするような公式訪問を極秘にするように要求されて、それに唯々として従うというのはおかしい。事前に相当緊密な打ち合わせがなければならないはずだ。

 さらに、朝日新聞が相当細かな行程、宿泊場所、それに正男の参加など追加情報まで得たとすると、任意で得た情報というより、何らかの情報錯乱のためしかけられた工作のような気がしてならない。全くの素人は、歴史とか場所とか前後のかかわりなどいろいろなニュースの中から真偽を見極めなくてはならない。

 このニュースは、解釈とか言った言わないなどの話ではなく、いずれ結果がはっきり出る問題である。これを取り上げた朝日新聞編集幹部の英断と勇気に敬意を表するとともに、もし誤報だったらどう責任を取るのだろうと思ってしまう。  

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