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2009年6月 8日 (月)

白昼夢その2

 当塾は、先週北朝鮮情勢に関連して「白昼夢」と「中・朝の現実」の2本エントリーした。外電などをウォッチしていると、まさかという時、まさかという形で戦争が始まる。湾岸戦争(イラクのクウエート侵攻)も、今度のイラク戦争もそうであった。

 しかし、その前に当事国間の応酬、つばぜり合いが間断なく報道され、予兆がないわけではない。ただ、戦争は「国家の大事」なので、どこでいつ誰と戦かうかは、当事国の首脳の胸の内ひとつ、ほかから推し量ることはできない。

 いつも、北朝鮮、中国脅威論に水をかけている当塾であるが、今回は、「意外に戦争は近いかも」と言ってみるつもりである。7日のテレビ朝日「サンデースクランブル」では、北朝鮮の金正日の後継者から脱落した長男の金正男が亡命するかも知れない、という話を興味本位で放送していた。

 例によって、わけ知り顔のゲストコメンテーターが、北朝鮮の異状ぶりと日本が標的にされているという脅威論を、繰り返し放映され見飽きた映像をバックに強調する。これに対して常連で出てくるテリー伊藤と黒鉄ヒロシが「ここで言うのもなんだが、チョットこういう番組多すぎるんじゃーないの(正確ではない)」といったのには笑っちゃった。

 彼らもしたり顔でそのような企画につきあうことに、さすがあきあきしていたのだろう。局側の困惑ぶりとゲストコメンテーターの憮然とした顔がアップされたのは、生でしか味わえない名場面だった。それは別として、金正男の亡命、失脚はあり得る。かつての世襲王朝では暗殺・謀殺が常識といっていいほどで、日本の天皇家も例外ではなかった。

 金正男が活躍の本拠にしていた中国は、また大きな難問を抱え込んだことになる。その扱い方ひとつで中・朝間に思わぬ緊張をもたらすかも知れない。田中真紀子元外相が、厄介払いしたような簡単な問題ではない。皇太子暗殺で第一次大戦は起きた。今、北朝鮮に一番脅威を感じているのは中国であると言いたい。

 北による日本・韓国への脅しは、国内向けプロパガンダと、瀬戸際外交のダシに使っているだけだ。アメリカは歯牙にもかけないふりを装っている。むしろ脅威を感じているのはほかならぬ中国なのだ。中国が国連安保理決議で、公海上の船舶臨検回避にこだわっているのは、北朝鮮が可愛いからではない。

 臨検を強行するとすればアメリカしかない。そこで、軍事衝突が起き、アメリカがそれを口実に先制攻にミサイル発射基地や核関連施設を攻撃し、平壌に中国から全くコントロールが利かない親米政権ができて、将来韓国と一体となった核大国にでもなったらそれこそ脅威だ。

 それでなくとも、ミサイル発射基地は攻撃目標になりやすい。東倉里など、中国国境に接近した場所に中朝距離弾道ミサイル基地を作り、国連決議を無視してそこから発射実験などされたら、大迷惑どころがとばっちりさえ受けかねないのだ。

 ミサイルはどの方向にも向きを変えられる。そのようにはならないという保証はどこにもはない。アメリカが中国と境を接するインド、パキスタンの核兵器保有を黙認していることも懸念材料となる。そんなことにはなり得ない、とおっしゃる方、中国が経験した直近の戦争を思い起こしてほしい。

 それは、ちょうど30年前の79年2月に起きた中越戦争だ。ベトナム戦争でアメリカに勝ち抜いた北ベトナム(共産党政権)に中国が攻め入った。原因はいろいろある。支援していたカンボジアのポルポト政権に、ベトナム軍が干渉して勢力拡大を計ったとか、華僑が弾圧を受けて難民化したことがあげられている。

 しかし最大の理由は、さきの記事でも触れたように、核戦争すら辞さないという中ソ間の関係悪化である。アメリカが去ったあと、ソ連は海軍力を駆使してベトナムに急接近した。ベトナム戦争を国境を接している中国が支援したことは、それより前、朝鮮戦争で中国が北朝鮮に義勇軍を派遣したことに似ている。

 そのベトナムを、今や最大の仮想敵国であるソ連が軍事的支配権をにぎるようなことはどうしても避けなければならない。ここで人民解放軍の威力を示しておかなければならない理由があったのである。中国はその前に着々と外交上の手を打ってあった。

 78年8月の対日平和友好条約締結、79年1月の対米国交回復、その他東南アジア各国の理解を得ることなどである。これも、今回の北朝鮮の愚行に対し、制裁決議に精一杯日米その他各国と歩調をあわせる努力をしていることに似ている。つまり大義を手にしておきたいのだ。

 こう見るとあと何らかの動機が作用すれば、中国が動き出す条件が整う。前回「中国の堪忍袋の緒がきれたら」というような表現をしたが、それが何であるかわからない。3度目の核実験やミサイル発射かも知れないし、6カ国協議完全離脱、あるいは金正男の扱いで中国の威信を傷つけるようなことかも知れない。

 中越戦争は中国側5、6万人の死者を出しながら1カ月で終息した。北朝鮮と戦火を交えても限定戦争となるだろう。北朝鮮にとって悲劇的なことは、息の根を止められるようなことはなくても、どこからも支援が受けられないことに加え、金正日王朝は確実に崩壊するだろうということである。

 全く素人考えのシナリオかも知れない。しかし外交はアメリカ頼み一本槍で、今後のさまざまな国際環境の変化・動きに対応できる確固とした方針を持たない日本の現状を憂慮して、あえて今日のブログの題目にしてみた。

 

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