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2009年6月 6日 (土)

オバマ演説とコーラン

毎日JP(6月5日)より
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 オバマ米大統領の4日のカイロ演説では、イスラムに対する否定的な固定観念を改める決意を表明すると同時に、イスラム側の対米意識の問題点も指摘するという、「配慮」と「率直さ」が目立った。イスラム世界から価値観の「押し付け」などを批判されたブッシュ前政権との違いを際立たせる意図がにじむ内容だった。

 オバマ氏は演説で、イスラム世界がギリシャ・ローマの古典文化を守り、欧州の文芸復興(14~16世紀)や啓蒙(けいもう)運動(18世紀)へ道を開いたと言及し、その歴史的貢献を称賛。イスラム教の聖典コーランから3回も引用し、相手の文化を尊重する姿勢を示した。
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『コーラン』井上俊彦訳・岩波文庫より

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 これこれ、そこな者ども、汝らは彼が好きらしい、向こうでは汝らのことなど好きでもないのに。汝らは勿論、聖典は全部信じておる。ところが彼らは、汝らに面と向かえば「我々も信じている」、などというくせに、自分たちだけになると憤怒のあまり汝らに向かって指を噛む。

 言ってやれ、「怒り狂って死んでしまえ。お前らが胸の中でどんなことを考えているかアッラーはすっかりご存知だぞ」と。汝らに幸運が訪れれば、それで彼らはくやしがり、不幸が襲ってくれば、それで彼らは大喜び。だが汝らさえ忍耐強く我慢して、神を畏れかしこんでおれば、彼らの悪だくみも全然汝らには歯も立たぬ。彼らのしていることはアッラーが全部ご存知だから。
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 オバマ演説は、いつも多くの人に感動を与える。上の二つの引用は別に他意はない。なお、コーランの中の「聖典」とは、ユダヤ教・キリスト教が奉じる「聖書」のことである。これで見てもムスリムが手放しでアメリカを信用するようになるというのは幻想に近い。

 また、アメリカには、平和と和解のために反省をこめて歴史を正視しする動きに対し、「自虐史観」とか「媚回派」などとわめき立てる反動分子がいるのかどうかわからないが、オバマ演説に対して厳しい制約がかかることは充分察しがつく。

 オバマ演説は表面の華やかさとは裏腹に、狭いいばらの道をたどることになるだろう。これを空中分解させないように、せめて日本だけはブッシュ――小泉連携の罪滅ぼしに、核廃絶をはじめ精一杯の対米協力をしてほしい。自民党が無理ならば、それができるのが「民主党」であるという旗を掲げてほしい。 

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コメント

今回のオバマ演説ではコーランや聖書やらイスラム教やユダヤ・キリスト教の教典が多数引用されたいる。
これまでの米国の大統領としてブッシュジュニアの演説では多数の聖書からの引用や比喩が使われていた事は有名な話ですが、今回はそれにイスラムのコーランまで含まれる。
我々日本人的には、信者でもないのにキリスト教ゆかりのクリスマスやバレンタインデーを盛大にやっているので、宗教的な教義の中身は知らないけれども、何となく親近感も感じている。
対してイスラムには何となく違和感を感じている。
しかし、両宗教は歴史的に考えても教義的に見ても親子関係に有り、全く同じ宗教の分派といっても良いくらい良く似ている。
大きく違うところは、キリスト教の個人主義とイスラムの共同体指向であろうと思うが、それなら日本人にはキリスト教的な考え方よりもイスラム的な方が近いのではないだろうか。?
今の日本の諸々の問題の多くは、日本独自の村落共同体的な部分が失われ、其れに変わるキリスト教的な個人主義が蔓延してきた弊害である場合がが多い。
今一度、日本のもともとの良さ(家族主義とかの集団指向)を再確認する時がきたのかもしれない。

投稿: 逝きし世の面影 | 2009年6月 7日 (日) 13時04分

逝きし世の面影 さま
コメントありがとうございます。

 古い友人である映画カメラマンでムスリムに入信した人がいます。誰から勧誘されたわけでもないのに。
 ボクには、サウジなど中東だけではなく、マレーシア、インドネシアなどでも「サラムアレーコム」という共通語で挨拶しただけで仕事が全然しやすくなる、と言ってました。
 村落共同体的互助精神(彼ら流の民主主義)、宗教指導者など権力者の家父長的な存在など、日本的風土に合っている部分があるように、私も感じます。

投稿: ましま | 2009年6月 7日 (日) 14時43分

こんにちは。

カイロでの、親イスラム的な演説を聞いて、共和党タカ派の中には、怒り狂う人もいるかもしれませんね。(笑)

しかし、私は今回の演説でも、オバマ大統領の人としてのまっとうさに胸を打たれました。

ハマスの攻撃を非難するとともに、イスラエルの過剰な攻撃を批判。
カイロでの親イスラム演説の翌日には、ドイツのユダヤ人収容所を訪ねて追悼し、「ホロコーストを否定するイランの大統領は、ここを訪ねるべきだ」と言っていたとのこと。
  ↓
http://www.asahi.com/international/update/0606/TKY200906060059.html

オバマ大統領は、国、民族、宗教、立場を超えて、人間としていけないことはいけない、おかしいことはおかしいと語っているのだと思います。
だから、感動してしまいます・・・。

投稿: 金木犀 | 2009年6月 7日 (日) 21時29分

金木犀さま
こんにちは。「オバマのせめて半分、いや3分の1でも」と思う今日この頃です。日本の政治家には無理な注文でしょうか。catface

投稿: ましま | 2009年6月 8日 (月) 09時19分

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受信: 2009年6月 7日 (日) 10時34分

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