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2009年6月10日 (水)

軍縮先進国を主導する党は?

 今日(10日午前)、衆院に続き、参院がクラスター爆弾禁止条約を批准することを可決した。当ブログではノルウェー主導で国際会議が始まって以来、消極的であった政府自民党の方針を攻撃、ささやかな論陣を張ってきた。

 これで、主要国ではドイツに次ぎ2カ国目、世界で10カ国目の批准となる見通しである。非政府組織(NGO)や有志国主導の軍縮条約を日本が批准するのは、98年の対人地雷禁止条約以来2度目となる。この早期批准が日本の軍縮への強い意欲を国際社会に示したことになるかどうか、安倍内閣当時、条約締結の足を引っぱってきたいきさつから疑問が残る。

 この点、禁止賛成に大きく舵を切った福田内閣を高く評価したい。いまや米・ロ・中国などの大量保有国に条約賛成を積極的に働きかける立場に立っている。これも今日のニュースだが、国際原子力機関(IAEA)の次期事務局長を決める出直し選挙の模擬投票で、日本人候補が最高得票を得たということだ。
 毎日新聞によると、9日のウィーンのIAEA本部による模擬投票で、候補者5人に対して理事国(355カ国)が投票し、日本の天野之弥(ゆきや)ウィーン国際機関代表部大使(62)が最高の20票を得た。

 ただ実際の事務局長選出には、理事国の3分の2の支持(24票以上)が必要で、それには届かなかった。模擬投票は各国の支持の動向を確かめる目的で選出における拘束力はない。本選挙は来月上旬に実施されるとのことである。

 これが仮に実現し、オバマ大統領が国連議長などと連れだって広島を訪問し、日本政府が核の傘論を凍結して核廃絶にスクラムを組むようにでもなれば、ようやく世界も軍縮先進国として日本を注目するようになるだろう。もうひとつ同紙の報道をあげたい。自民党国防部会の動きである。

 自民党国防部会の防衛政策検討小委員会は9日、年末の「防衛計画の大綱」(防衛大綱)改定へ向け、敵基地攻撃能力の保有を求める提言案を正式決定した。党国防部会・安全保障調査会・基地対策特別委員会の合同会議でも了承。週内にも麻生太郎首相、浜田靖一防衛相らに提出する。

 敵基地攻撃能力の保有については山崎拓前副総裁らから慎重意見が出ていたが、「予防的先制攻撃は行わない」との文言を入れ、ミサイル発射が差し迫っている場合など「自衛目的」に限られることを明確にした。浜田防衛相は9日の記者会見で「敵基地攻撃ができることになり、その後にくるものは何かということを考えれば、慎重になるのは当たり前だ」と改めて否定的な考えを示した。【仙石恭】

 専制攻撃について、自衛上それしかない場合は国際法上認められる、という論理は、今でもアメリカをはじめまかり通っている。しかしそれは、核ミサイルなどない過去の戦争論で、現在では核保有国が非保有国に対してのみ通用する制覇の論理にすぎない。それが非常に危険をはらむということを、前のエントリー「白昼夢」でひとつの例としてあげた。

 自民党内部では、阿倍残党を中心とする軽率な主戦派が依然として執拗に復権をたくらんでいる。しかし、同じ党内でも、防衛族である山崎拓氏や石破・浜田、元・現防衛相など、現実に根ざした慎重意見が健在であることも示している。

 最近の当ブログの結論がいつも同じ所へ行ってしまうので、いささか気がひけるのだが、日本を軍縮先進国に誘導することができる党はどこなのだろうか。民主党も前原・小沢・鳩山と党首が替わり、外交・防衛政策でも微妙に変化しているように見えるが、自民党に優るものという証拠がでてこない。

 いよいよ選挙も差し迫ってきた。軍縮先進国指向を公約に掲げ一歩先んじるのは今しかない。目先の泥仕合と支持率にしか関心を持たない低空飛行の日本政治でなくなるのはいつのことか。アメリカのオバマ効果は望むべくもないが、まだ間に合うと思いたい。

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コメント

国際法上、先制攻撃(予防戦争)は、今なお、認められておりません。
国家が戦争計画を発動できるのは、侵略があった場合のみです。つまりに、事後的にしか動けません。
そして、侵略とは何かといえば、
(1)国境線を外国の軍隊が越えてきた場合
(2)外国の軍隊がミサイル、砲弾を撃ち込んできた場合
(3)外国政府の艦船によって、海上封鎖が実施された場合
(4)国内で外国政府の支援を受けたテロリストがテロを実施した場合

の4つです。
これ以外で、戦争計画を発動することは、侵略に該当します。
太平洋戦争時は米国は(1)-(4)のいずれも構成しておらず、経済制裁の実施のみです。つまり、真珠湾攻撃は、対米侵略に当たります。右翼のみなさんは、東條の言葉を使って、自存自衛などと言って正当化しようとしていますが、それであれば、金正日が日本にミサイルを撃っても正当な戦争行為となってしまいます。
経済制裁は、防衛行動の理由とはなりません。
イラクはいずれをも構成していませんので、イラク戦争はアメリカによる侵略戦争です。
アフガニスタンのタリバンは(4)のケースに当たりますので、アメリカによる防衛戦争であり、侵略には当たりません。
ベトナム戦争では、北ベトナム側が先にテロおよび国境の突破を行いましたから、南と防衛協約を結んでいたアメリカが北ベトナムと交戦しても、侵略には当たりません。一方、北ベトナムの行為は侵略になります。
ケネディーによる対キューバ海上封鎖に対し、キューバが対米戦争計画を発動するのは正当ですから、当時戦争にならなかったのはラッキーでした。
自民党の先制攻撃論というのは、予防攻撃をしないことになっていますので、当然の結論です。現代では、衛星による監視、無線の傍受なので、部隊の動きは察知できますから、敵国が先制攻撃を本気で企図している場合は、(2)のケースとして認められると思います。
左派の人は、侵略という言葉、「文学的」に使い回すので注意が必要です。

投稿: ツーラ | 2009年6月14日 (日) 21時31分

こまかい解説、ありがとうございます。
できれば、最後の一文もお願いします。

投稿: ましま | 2009年6月15日 (月) 07時18分

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