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2009年5月29日 (金)

戦争をするバカしないバカ

 「入門編・戦争とは(番外)」のコメントでmoritaさまからいただいたご質問にここでお答えしたいと思います。コメント欄では長くなりすぎることと、その内容から見て本文の方がふさわしいと感じたからです。タイトルは何となく浮かんだだけで、特に意味はありません。また、質問内容はこちらで編集させていただきました。

質問① 私は日本人のほとんどが戦争を否定していると思います。その意味は戦争する事を否定するという事で、戦争が存在する現実を否定しているものではないと思います。私は「戦争をしない」という表現が好きではありません、戦争されても、しないという解釈がなりたつから、その様な無抵抗主義者に疑問を感じます。

お答え 最初は「戦争」ということばについてです。第一次大戦後に結ばれた「不戦条約」があるのに「自衛戦争は例外」としたため、すべての戦争は「自衛戦争」とか「戦争でなく事変」いう口実で始められました。その失敗にこりて国連憲章では「戦争」という概念を否定する意味から、そのことばを使わず、すべて「武力行使」という用語に変えました。

 従って、国際的には「戦争」は否定されています。アフガン戦争についてもアメリカは自衛のための緊急を要する武力行使、ということで国連憲章違反ではないという立場です。しかし、moritaさまの感覚の方が正常ですよね。ブッシュだって最初からテロを「戦争行為」だと断じて国民を鼓舞しています。また、無抵抗主義については、「非武装中立の否定」をご覧下さいmoritaさまと同じ考えです。

質問② 私は軍隊の所持を肯定します。その意味において私はいくつかの同盟関係を肯定します。その上で質問です。
・もし同盟国が戦争状態になった時 軍隊の派遣は可能ですか?
国際機関である国連がいくつかの係争に対して機能していない現実の中で外交問題や主権侵害に対する決済を誰に求めれば良いのでしょう?。

日本と北朝鮮の問題に関しての公平な第三者である実力機関はあるのでしょうか?。戦争の動機の一つに主権の侵害があります。領土の不当な占拠、国民の殺害や誘拐、禁輸品の輸出…こういったものは過去に戦争の発端になってます。なぜなら 国家の「機能や権利における範囲」を削り取る行為だからです。これらは実際に既に日本に継続的に行われていますよね?

お答え まず「同盟」と「国連」についてです。日米間にあるのは(安保)条約で、それが「同盟」という表現に変わったのはここ10年ほどだと思います。条約本文ではない「ガイドライン」とか「指針」といったものがつけ加わって当初と性格が変わったので、ひっくるめて「同盟」だ、という人もいます。

 「同盟」とは、当事者の一方が攻撃されたら他の一方も攻撃されたものとみなすというかつての「攻守同盟」をイメージしたものです。日本は第一次大戦で日英同盟を根拠にドイツに参戦しました。普通は同盟国の依頼があってから判断し、同盟を根拠に自動的に参戦するというわけではありません。

 国連憲章では、「集団的自衛権」として複数の国が共同して自衛する権利を認めています。日本では憲法上、その権利はあるが行使はできない、という政府の解釈になっています。日米安全保障条約は、相互の憲法が尊重されることを前提にしていますので、まがりなりにも専守防衛が保たれているわけです。

 後半の北朝鮮にかかわる部分ですが、北朝鮮の拉致問題などを国連機関に持ち出すことはできるでしょう。しかし、国連憲章ではまず第一に交渉をしなさい、と書いてあります。現在の段階では交渉の中断で、すぐ持ちこめるような状況になっていません。領土問題も同じです。相手国も国連加盟国です。紛争は平和的手段、つまり交渉で解決するというのが国連の基本的な建前です。

 もうひとつ頭の体操として、北朝鮮が日本をどう見ていたかも考えてみましょう。
1.大きな銅像になっている金日成将軍は、第2次大戦中から日本を敵として独立戦争を戦った。
2.北朝鮮独立後韓国に攻め入り、国連(米)軍と戦った。米軍は占領中の日本の基地から出動、日本も国連軍上陸の際の機雷除去に海上保安庁が参加した。
3.38度線で休戦協定となったが、講和条約のないまま現在に至る。したがって法的にはまだ戦争中。

 1.は国民教化用の伝説で信憑性が薄いと言われています。2.3.は事実で日本は朝鮮戦争特需で復興のきっかけをつかみました。したがって北から見ると日本はまぎれもない敵国なのです。その後も水面下で戦争が続き、北は韓国にも大勢の工作員や兵士を潜り込ませませ、拉致も繰り返しました。

 拉致、スパイ、要人暗殺、民間機爆破、麻薬密売、後方攪乱、勝つためなら何でもあり、それが戦争です。日本人にはそんな敵国意識が毛頭なかったのですが、韓国はそのまま戦場だったのです。対抗上北に対する潜入や工作もやっていました。日本のように他人事ではすまされなかったのです。

 しかし、半世紀も前のことを根に持って主権を侵害し、市民を誘拐するなどどう見ても非常識です。弁護できる根拠はありません。そこで金正日は小泉首相に対し、末端が功をあせって間違いを起こした、と詫びを入れたのです。だけどその後についてはご存じの通りです。再び意地の張り合いとなり、「人工衛星が回っている」などすぐばれるようなウソをついて、国際的に信用のない国になりました。相手のペースに巻き込まれないよう交渉するしか方法がありません。

質問③ 9条を維持する事が、日本の「安全」を「保障」する為に重要だという結論でしたが、その根拠がわかりませんでした。

お答え 日本は幸いなことに島国です。9条を維持するだけでなく、「外国に行って武力行使をしない」ということを第3項として追加明記(「反戦・護憲論の行く手4」参照)した方がよりはっきりします。そうすることによって強力な自衛隊があっても周辺国は脅威を感じないでしょうし、多大な犠牲を払ってまで日本に侵攻しようとは思わないでしょう。ただ米軍基地にもその点を守ってもらう必要はあります。また、究極の安全保障は、「EUの東アジア版」だと思っています。EU成立の背景には、地域の平和を求める膨大な歴史があります。時間があれば研究してみてください。

 以上ですが、「むつかしい」とのご指摘。そうならないよう日頃心がけているつもりですが、反省することしきりです。このような質問をいただかないと気が付かないでいる点があります。また、ここでは触れませんでしたが、ミサイルによる先制攻撃や報復(発射基地への)の問題もこれから議論になるでしょう、なおも勉強続けたいと思います。ありがとうございました。

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コメント

昔子供のころに敵味方二組に分かれて鬼ごっこの様な駆逐戦艦なる遊びをよく大勢でしていましたが、大将の戦艦は一人でこれが潜水艦役の子供にタッチされると負け。
ところが潜水艦は駆逐艦に負ける。駆逐艦は戦艦に負ける。じゃんけんのようなルールがあった。

今なら一番大事なのは空母でしょうが、日本の自衛隊の編成は対潜水艦用で、この能力は世界屈指の実力。
対潜能力の高いP3Cを100機以上も保有しているし護衛艦と言う名前の駆逐艦も大量に保有して世界有数の対潜能力があるらしいが、目的はソ連の潜水艦からアメリカの第七艦隊の空母を守る為であったらしい。
>『ただ米軍基地にもその点を守ってもらう必要はあります』
は、何かの誤解で日本に配備されている米軍は奇襲攻撃用の海兵隊とか第七艦隊などの機動部隊が中心で防衛目的の陸軍部隊は数える程しかいない。
元々アメリカと対抗していたもう一方の超大国(軍事大国ソ連)を封じ込めておく為の配備ですが、今とは違い軍に大金を惜しみなく使っていた当時のソ連でも、日本を攻撃するの能力が全く無かったことはアメリカがよく知っていた。
アメリカが日本など極東に軍を配備していた理由は、欧州で対ソ戦が勃発した時に、ソ連が欧州正面の西部戦線だけに専念出来ないように極東でも戦端を開いてソ連軍の戦力を分散させる為ですね。
目的は、決して日本防衛の為では有りません。
対ソ防衛なら、正面は北海道になるが北海道にアメリカの戦闘部隊は一人もいません。
一番近いのは青森の三沢基地ですが、これは先制攻撃用です、主力はソ連の沿海州から2000キロの距離の沖縄においている。
この2000キロの距離は意味があるらしく今ではロシア極東軍は皆無なので配備する意味が無くなり、それで中国から近すぎる沖縄ではなくグァム島に移すことにしたらしい。
何処の国の軍隊でも同じですが、アメリカ軍は、アメリカの国益の為に存在しているのであり其れ以外では有りません。
ただ唯一の例外は日本の自衛隊で、そもそもが日本に配備していたアメリカ軍を朝鮮戦争の為に使った為に其の穴埋めに警察予備隊7万人を編成したのが始まりですが、目的は何時でもアメリカ軍の防衛です。

投稿: 逝きし世の面影 | 2009年5月29日 (金) 20時06分

>ただ米軍基地にもその点を守ってもらう必要はあります

 やはり誤解を招く表現でした。
「基地から外国へ直接出撃しない」ということを守ってほしい、という意味です。
 かつては事前協議事項だったと思いますが、近頃はどうもは怪しくなっているようですね。

投稿: ましま | 2009年5月29日 (金) 20時31分

丁寧にお答えしてくださりありがとうございます。
たぶん要旨は国連を最大限に活用するという回答という事だと思います。

しかし国連については現在いくつか疑問がもたれいる現状も真実だと思います。
国連によるアナウンスは効果があると思いますが、
いくつかの「紛争」や紛争にまで至らない「犯罪」に関しては、当該国家間で解決しなさいというスタンスは変わりがないのも実情だと思います。

国際裁判所に関しても、今の日本の現状を見ていると、実際に機能しているかが疑問です。

つまり「同盟」関係において、日本の憲法の制約があるから、いかなる時でも参加しませんよ。というのは、いついかなる時にその有効性を相手に疑問に思われても仕方がないという事だと思います。
ここは問題だと思います。

「国連」に関しては、もう述べていますが、2国間の紛争が拡大しない限り、また、大国が興味を示さない限り、実効性に疑問がある組織です。

そして、それが活用されるならば、結局どこかの実力(軍隊)を活用しなければならないという事です。

そして 国連における問題というか、当たり前の事ですが、いくつかの同盟関係が国連における採決を左右されるという事です。
また、採決されたとしても、その実力の行使は、当該国および その同盟国が中心になるという事です。

国連があるから、軍隊は必要ない、また同盟は必要ないという論理(反戦塾ではそうでないと思いますが)
を主張する人の、なんという他人まかせというか、
無責任というか…。
国連はあくまで利害の調整機関、つまり事前の準備を整える場でしかないというのに。

また個人的な意見ですが、9条に関しては、専守防衛のガイドラインを考えた上で明確にする必要があると思います。
「日本は主権を切り売りする国ではないですよ。
どうぞお引取りください。」
その意図が含まれていれば、私は満足なんですが。

投稿: morita | 2009年5月29日 (金) 23時15分

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