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2009年5月31日 (日)

北朝鮮より怖いのは

 北朝鮮に対する国連安保理の制裁決議案は2,3日以内にまとまるだろうか。さきに「北朝鮮につける薬」という記事を書いて、「北朝鮮の対応がこれまでとは違う」ということを書いた。韓国からの報道によると、米国の偵察衛星でIBCM(大陸間弾道ミサイル)が列車に積み込まれのを発見、発射の動きがあるとしている。

 もしそうなら、今度はもう「人工衛星だ」というう猿芝居は使えない。北朝鮮の外貨稼ぎが難しくなりそうなのに、再核実験に次いでまた莫大な費用をつぎ込むことになる。アメリカの譲歩・援助引き出し、イラン、シリア等への兵器輸出、韓国・日本への恫喝、考えられる対外効果のうち、その最後がから振りに終わるようなら得るものがなさそうだ。

 それどころか、中国の堪忍袋の緒がいつ切れるかも知れないという不安を抱え込むことになるだろう。中国が朝鮮半島の非核化を目標だとしているのなら、核廃絶指向のオバマ政権と話し合う余地がある。その中で「宣戦布告とみなす」などとわめき散らすのにお相手することはない。

 そういった折りも折り、自民党国防部会の防衛政策検討小委員会が、政府が今年末に予定する新「防衛計画の大綱」(2010-14年度)の閣議決定に向けた提言を基本合意した(05/26)。その内容は、北朝鮮の再核実験や長距離弾道ミサイル発射を受け、敵基地攻撃能力の保有やミサイル発射を探知する早期警戒衛星の研究・開発などだ。

 提言は、敵基地攻撃能力について「現状は米国のミサイル防衛(MD)システムと打撃力に依存しているが、米国の政策転換に柔軟対応するためにも、専守防衛の範囲で必要」と強調した。敵基地攻撃能力保有論について、小委員会では「北朝鮮の脅威レベルは上がった。最初の一撃を受けてからでは遅い」と支持する意見が相次いだようだ。

 そのほか集団的自衛権行使を禁じる憲法解釈の見直しも要求。米国を狙って発射された長距離弾道ミサイの迎撃に道を開くよう求めたほか、自衛隊の位置付けの明確化、軍事裁判所の設置などに向けた憲法改正も提唱した。

 自民党としては、まさに時宜を得た提案ということになるだろう。ところが、次の総選挙で野党が政権を取ると、この決定は新連立内閣がすることになる。ことに社民党はこれでいいのだろうか。また、民主党も一致した意見にまとめることができるのだろうか。ことに最も危険性の高いノドン対策やアメリカの先制攻撃論、MD計画への協力のあり方などへの見解が必要になってくる。

 議会でこういったことに激論が戦われたという風にも見えないし、選挙の争点やマニフェストに入れるという話も聞いたことがない。両院で核実験非難決議を全会一致で決議すればいいというものではない。議論が進まないのは、民主党内部の意見不一致に加え、護憲派議員の安全保障、防衛に対する無知、勉強不足があるようにも見受けられる。

 野党でも、いろいろな事態を想定して、できることできないことを議論し、万一の場合の机上プランを立てておくべきではないか。憲法9条を本当に守ろうという気があれば、自民党案への対案が必要になってくる。野党にそういった気運がないところに、北朝鮮の脅威以上の怖さを感じてしまう。もし、北朝鮮の一連の行動が、そういった議論を促進することになれ必ずしもマイナス面だけではないかも知れない。

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コメント

麻生太郎首相は26日夜に北朝鮮の核実験についての記者の質問、
『「北朝鮮の核基地を攻撃する能力を自衛隊も持つべきだ」という意見が自民党の部会などで出ているが』に対して、
『これは一定の何、枠組みを決めた上で、法理上はできると。
攻撃を出来るということは、昭和30年の時代からの話だということは、よく承知をしています』
と発言したと報道されている。

また、麻生発言の趣旨と同じ様に、日本政府が今年中に改定する『防衛計画の大綱』の為、何と、自民党国防部会が出した提言で『敵基地攻撃能力』の為に巡航ミサイルなどの大量破壊兵器の保有を打ち出しています。

『敵基地攻撃能力』とは『先制奇襲攻撃』を言葉を誤魔化して表現しているだけで、実質は同じ。
北朝鮮などの燃料注入中のロケット(ミサイル)を、
『座して死を待たず』
として、先制攻撃するとしていますが、自衛隊上がり(陸上自衛隊航空学校)の軍事アナリスト小川 和久などは即座に『軍事的に無理である』と断言しているような水準の話です。
小川氏によると、
(戦術的にも)対日攻撃用のノドンミサイルは移動式で山岳地帯などに隠されているし数も百~数百で完全破壊は日本の自衛隊(多分米軍でも)では能力が無いので無理。
『敵基地攻撃』は宣戦布告と同じで開戦宣言と同じで確実にミサイルなどの反撃にあうが、これを全て防ぐのは日本の自衛隊では無理。
(戦略的にも)戦争を始めるのは簡単かもしれないが、戦争の継続や敵国の首都や国土の占領は日本の自衛隊には無理。
そもそも戦争とは『如何に戦争を終わるか』という最期の終戦まで考えて始めるもので、戦争の遂行や戦後処理を考えない『敵基地奇襲攻撃』は理論的に有り得ない。

基本的に今の自民党国防部会は『完全なる平和ボケ』で戦争の何たるかを理解していない。
麻生太郎首相は格好よく『戦争ごっこ』をしたいようだが実際に起こる『本当の戦争』の方は全く想定していないのでしょう。

投稿: 逝きし世の面影 | 2009年6月 1日 (月) 16時27分

実は最初に書いた原稿には自分の考え(先制攻撃は違憲。相手が最初に攻撃してきても受忍などの)を書き込んでいましたが、議論が相当深化しないと理解されないだろうと思い書き直しました。

やはり、軍事専門家や外交・安保専門家を交えた政治家の議論がないと先に進みません。民主党の一部より、軍事オタクで自衛隊に煮え湯を飲まされてばかりいた石破さんや、防衛族で海千山千の山拓さんなどの方が良識があるかも知れません。安倍さんよりははるかにマシでしょう。

アメリカでも極右から嫌われたパウエルさんなど、現場経験者の方に信頼が置けました。

投稿: ましま | 2009年6月 1日 (月) 17時10分

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