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2009年5月28日 (木)

アメリカの兵士3

 昨年の5月、米上院で帰還兵の奨学金制度を大幅に改善する民主党議員らの提出法案が審議されていた。これに対してブッシュ大統領は、拒否権も辞さない姿勢で猛反対していた。その理由は、奨学金を増額すると帰還兵の大学進学率が高まり、兵役にもどる割合が16%減少するという試算からきているという。

 対テロ戦争では、6人に1人が3回以上派遣されるなど、兵員不足が深刻化している。結局、大統領選が近づき、共和党の「愛国心」だのみの反対論は選挙に不利と見て賛成に回った。同時多発テロ以後、アメリカ人を戦争に駆り立てたのは一体何だったのだろうか。

 もちろん、ブッシュと彼をとりまくネオコンによる「真珠湾を忘れるな」式の扇動が大きかったことは言うまでもあるまい。しかし、共和党の強固な支持基盤である「在郷軍人組織」をはじめ古来アメリカに根ざしている力の信奉や「愛国心」が大きく作用したことも疑えない。

 以上述べられてきた帰還兵の実態も、アメリカ社会でどの程度の評価をうけているのか、また認識されているのか、イラク、アフガン戦争にどう結末をつけようとしているのかわからない部分が多い。オバマ大統領の出現で、ブッシュによるイラク戦争の失敗は覆い隠せなくなった。

 オバマ大統領になっても、アフガンを米兵の増派で切り抜けようとしていることは、戦争指導者に共通する心理として、軍人の払った犠牲の結果が「負け」であったとことにしたくない、つまり愛国心を傷つけないで収拾しなければならないということだろう。

 そういった中、市民団体「米国のイラク・アフガニスタン帰還兵」のリコフ事務局長の次のコメントに、アメリカやアメリカ軍が抱え込んでいる複雑な一面を現わしている。「人口に占める従軍兵の割合が低下し、メディアや国民の関心が弱まっている。帰還兵の問題は大多数の国民にとっては人ごとなのだ」。
 
 ちなみに人口に占める従軍兵の比は、第二次大戦で14%、ベトナム戦争が4%、対テロ戦闘は0.6%にすぎない。この少数の志願兵は、すべて自己責任で問題解決に当たらなくてはならないのだろうか。

(おわり)

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