北朝鮮より怖いのは
北朝鮮に対する国連安保理の制裁決議案は2,3日以内にまとまるだろうか。さきに「北朝鮮につける薬」という記事を書いて、「北朝鮮の対応がこれまでとは違う」ということを書いた。韓国からの報道によると、米国の偵察衛星でIBCM(大陸間弾道ミサイル)が列車に積み込まれのを発見、発射の動きがあるとしている。
もしそうなら、今度はもう「人工衛星だ」というう猿芝居は使えない。北朝鮮の外貨稼ぎが難しくなりそうなのに、再核実験に次いでまた莫大な費用をつぎ込むことになる。アメリカの譲歩・援助引き出し、イラン、シリア等への兵器輸出、韓国・日本への恫喝、考えられる対外効果のうち、その最後がから振りに終わるようなら得るものがなさそうだ。
それどころか、中国の堪忍袋の緒がいつ切れるかも知れないという不安を抱え込むことになるだろう。中国が朝鮮半島の非核化を目標だとしているのなら、核廃絶指向のオバマ政権と話し合う余地がある。その中で「宣戦布告とみなす」などとわめき散らすのにお相手することはない。
そういった折りも折り、自民党国防部会の防衛政策検討小委員会が、政府が今年末に予定する新「防衛計画の大綱」(2010-14年度)の閣議決定に向けた提言を基本合意した(05/26)。その内容は、北朝鮮の再核実験や長距離弾道ミサイル発射を受け、敵基地攻撃能力の保有やミサイル発射を探知する早期警戒衛星の研究・開発などだ。
提言は、敵基地攻撃能力について「現状は米国のミサイル防衛(MD)システムと打撃力に依存しているが、米国の政策転換に柔軟対応するためにも、専守防衛の範囲で必要」と強調した。敵基地攻撃能力保有論について、小委員会では「北朝鮮の脅威レベルは上がった。最初の一撃を受けてからでは遅い」と支持する意見が相次いだようだ。
そのほか集団的自衛権行使を禁じる憲法解釈の見直しも要求。米国を狙って発射された長距離弾道ミサイの迎撃に道を開くよう求めたほか、自衛隊の位置付けの明確化、軍事裁判所の設置などに向けた憲法改正も提唱した。
自民党としては、まさに時宜を得た提案ということになるだろう。ところが、次の総選挙で野党が政権を取ると、この決定は新連立内閣がすることになる。ことに社民党はこれでいいのだろうか。また、民主党も一致した意見にまとめることができるのだろうか。ことに最も危険性の高いノドン対策やアメリカの先制攻撃論、MD計画への協力のあり方などへの見解が必要になってくる。
議会でこういったことに激論が戦われたという風にも見えないし、選挙の争点やマニフェストに入れるという話も聞いたことがない。両院で核実験非難決議を全会一致で決議すればいいというものではない。議論が進まないのは、民主党内部の意見不一致に加え、護憲派議員の安全保障、防衛に対する無知、勉強不足があるようにも見受けられる。
野党でも、いろいろな事態を想定して、できることできないことを議論し、万一の場合の机上プランを立てておくべきではないか。憲法9条を本当に守ろうという気があれば、自民党案への対案が必要になってくる。野党にそういった気運がないところに、北朝鮮の脅威以上の怖さを感じてしまう。もし、北朝鮮の一連の行動が、そういった議論を促進することになれ必ずしもマイナス面だけではないかも知れない。
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