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2009年4月 9日 (木)

時計と収賄

松平定信『燈前漫筆』
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近年時計世に流行して、諸侯方居間に二三十、少くして十ばかりもありといふ、いかなる心にて翫び給ふぞや、其心は知らず、おもふに只何の心あるにはあらず、時の流行といふに雷同して、多きをむさぼるの心ならむか、

此器の用は時を計るものなれば、一つにても足りぬべし、遅速の見合わせのためぞとからば、二ッまでは可なるべし、二三十乃至四五十に至ては何の用なる事を知らず、工人は産業の折りを得たりと思ひ、形をいろいろにかへて作り出すを、是もめづらしかれも面白しと、限りなく求めらるゝ故に、終に三四十にも及ぶなるべし、

又時めく役人などは、諸侯の方をはじめ手入れとやらんに、何をがなと賄賂を争ひ贈る時節なれば、其人の好む品、又は時にはやる物といえば、我おとらじと贈るほどに、終に其数あまたになるにも有べし、武用の器なとならば、何ほども余計ありたきものなり、

させる用なき品に、金銀の費多きは奢侈のひとつなるべし、かゝる事を聞ては、其余無用無益の費さぞ多からんなれば、領分の百姓貢諸役の取立きびしく、家中の諸士も宛行を減ぜられて、因窮ならんと思ひやられてうとましくぞ侍る、
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 贈る人の思惑と贈られる人の思惑はまったく別。贈られる人は贈る人の意を介することなく飾っておくだけ。別に法に違反するわけではない。ただ、国民の税金が無駄に使われ、地方公務員の俸給もけずられ士気も低下する一方。

 古い因習と時計集めにうつつを抜かす政治家たちは、早くなんとかしてほしい、そういった庶民の熱望にこたえて老中に抜擢され、寛政の改革を断行したのが松平定信である。彼は陸奥白河藩主として天明の大飢饉でも領内に餓死者をださなかった。

 今なら福島県知事からの転身、ただ「元気もりもり」だけの人とは違う。

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