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2009年4月23日 (木)

自衛隊の体質と改憲

 昨年2月19日に起きた海上自衛艦・あたごと漁船の衝突事故から1年あまりたって、乗務士官2名が21日、業務上過失致死などで起訴された。艦長ほか自衛隊上層部はおとがめなしである。当時、事実の隠蔽や口裏合わせ、そして自衛隊に内在する綱紀や体質の欠陥が取りざたされ、石破防衛大臣がトマトのような顔をさらに赤くして抜本的改革に努力する、と言っていたことを思い出す。

 (参考バックナンバー「ゴーストップ事件」「あたご事件と2.26」)

 それ以後、その公約の成果が表れたのだろうか。それを検証するのはマスメディアの責任だと思うが、とんとお目にかかることがない。つい最近の北朝鮮ミサイル発射のダブル誤報もひどいものだか、人命にかかわりがないせいか、またはほかに原因があるのか、早くも忘却の彼方へ追いやられそうな気配だ。

 「防衛省担当の防衛記者会は、長年の当局からの接待攻勢と、防衛記者の“兵器オタク”化と懐柔策の成功で<防衛省広報部>と揶揄される程の<報・官>の癒着ぶり(川邊克朗「世界」2007/11)」は、今でも続いているのだろうか。

 自衛隊の不祥事は、守屋武昌元事務次官の汚職をもってその頂点をなすが、細かいことについては枚挙にいとまがない。その中でどうしても見過ごせないのが文民統制がうまく機能していない事である。これは文民といわれる人、すなわち政治家の多くが軍事(現場)に対して知識がゼロに近いことと、防衛に関する権限・任務など組織上のあいまいさが放置されているからであろう。

 田母神俊雄元空幕長のレベルの低い修正史観で、政府方針を否定する論文が公然化したのはそう古いことではない。しかし、これも今や一件落着の様相である。いや、もっと古い話で、元・イラク派遣自衛隊長が先の戦争のきっかけを作った関東軍の独断専行そのままの暴言に対して、社会的制裁を受けるどころか、自衛隊を代弁する自民党・参議院議員となってテレビのワイドショーで活躍中である。

 海外での武力行使、文民統制という2重の憲法違反を自覚しながら犯そうという言論が公的立場で堂々と行われる異状さは、エスカレートすることはあっても決してなくなってはいない。国民の安全という一刻もゆるがせにできない、また間違いが許されない問題について、不問に付してしまう政治とジャーナリズムの識見劣化は覆い隠せないようだ。

 自・公はここにきて突如憲法審議会を立ち上げる動きにでてきた。民主党内や野党憲法論議が統一されていないことをあばきたて、選挙戦術の一環とするためだという。そこで、上記の佐藤正久議員がかつて示した本音を再録し、健忘症的無関心と安易な軍国主義復活ムードに歯止めをかける警鐘としたい。(2007年8月10日、TBS「筑紫哲也ニュース23」)

 オランダ軍が攻撃を受ければ「情報収集の名目で現場に駆けつけ、あえて巻き込まれる状況を作り出して警護するつもりだった」「巻き込まれない限りは正当防衛、緊急避難の状況は作れませんから」「日本の法律で裁かれるのであれば喜んで裁かれてやろうと……」

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受信: 2009年4月23日 (木) 17時50分

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受信: 2009年4月25日 (土) 11時07分

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