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2009年4月11日 (土)

安保条約まで戻れ

 在沖縄海兵隊8000人のグアム移転に日本側が上限で28億ドルを負担する在沖縄米海兵隊グアム移転協定の承認案が10日、衆院外務委員会で採決され、与党の賛成多数で可決された。民主党など野党は反対した。14日の衆院本会議で可決され、参院に送付される。野党多数の参院では否決される見通しだが、条約の国会承認は憲法の規定で衆院の議決が優先され、遅くとも参院送付から30日後には承認される見込みだ。(4/11毎日新聞)

 イラク政府は、米軍撤退とともに多額の資金を受け取った。日本は逆にべらぼうな移転費用なる内訳不明な金額をむしりとられる。もちろんイラクとは事情が違うが、なぜ「どこか変だ」と思わないのだろう。日米安保条約を見てみよう。(赤字は当ブログ)

 旧安保(吉田安保)
第一条 平和条約及びこの条約の効力発生と同時に、アメリカ合衆国の陸軍、空軍及び海軍を日本国内及びその付近に配備する権利を、日本国は、許与し、アメリカ合衆国はこれを受諾する。この軍隊は、極東における国際の平和と安全の維持に寄与し、並びに、一又は二以上の外部の国による教唆又は干渉によって引き起こされた日本国における大規模な内乱及び騒じょうを鎮圧するため日本国政府の明示の要請に応じて与えられる援助を含めて、外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するために使用することができる。

 新安保(岸安保)
第六条 日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国内において施設及び区域を使用することを許される。前記の施設及び区域の使用並びに日本国における合衆国軍隊の地位は、千九百五十二年二月二十八日に東京で署名された日本国とアメリカ合衆国の安全保障条約第三条に基づく行政協定(改正を含む。)に代わる別個の協定及び合意される他の取極により規律される。

 赤字で示されているように、米軍の駐留は、主権国家である日本国の許しを得てはじめて可能なのである。日本占領直後や冷戦の強い圧力があった当時でさえ、それが常識だった。「出ていってやるから金をだせ」といった、まるで居直り強盗のような言い分がどうして通るのか。移転はアメリカ側の都合でもある。

 これでは、「真の友好国」と言えるわけがない。それは長い間自民党政権が続く中で、「日本を守ってください、核の傘にいれてください(…聞こえないように…その方が楽だから)」と言い続けてきたつけを払わされているのだ。

 条約そのものは変わっていない。なのに知らぬ間にここまで押し込まれたのは、冷戦終了後も安逸をむさぼっていたすきにアメリカに先手を打たれたのだ。それが当ブログのカテゴリ「安保」で指摘したように、新ガイドラインを押しつけられた「橋本安保」、米軍のロードマップに従った「小泉安保」の時代へと変貌したからだ。

 ここまでは、一部の国粋主義的右翼の主張と完全に一致する。だから、「集団的自衛権を解禁し、憲法改正をして軍事大国になろう」というのと、当塾の主張である「日本憲法の原点に帰り、すくなくとも安保条約本体(岸安保)の線まで立ち返って、対等かつ真の友好条約のあり方を追求し直そうというところで違いがある。果たしてアメリカはどちらを望むのか。

 こうなったことには、与党と同じで安逸をむさぼっていた野党にも責任がある。野党の場合、ガイドライン等に沿った法案を政府が提出しても、法案審議という枠内でテクニック論に終始し、安保・外交の基本的戦略・理念を追求し得なかったということはないのか。

 そう考えると、現状に変化を求め日米新時代を目指すためには、政権交代しかないのかも知れない。しかもそれは、自民党の負の遺産をひきずるようなものであってはならない。相手のあることなのですべて急に変える事ができないにしても、せめてオバマ並にしっかりビジョンをうち立てて総選挙に臨んでもらいたい。

 

 

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コメント

軍事、外交において、米国と対等な関係などありえません。これは太平洋戦争の結果だからです。嫌だったら、ポツダム宣言など受け入れずに、原爆を10発食らおうが戦いを続ければ良かったのです。その点をもう一度確認してください。東アジアにおいて、核武装もせずにアメリカに対等を要求することは、死者を蘇らせようと努力することと同じです。
はっきり言って、論理的な意見ではありませんね。自力で国防できない以上、アメリカ人に漬け込まれるのは当たり前です。

 集団安全保障の枠組みの中に入ることによって、アメリカに操られることを恐怖するのではなく、むしろ、アメリカが日本の軍事力なしで、軍事作戦を実施できなくなるほど、影響力を増大させることを考えるべきでしょう。

投稿: ツーラ | 2009年4月12日 (日) 03時42分

ツーラさん
論理的な意見であるかどうかは、過去の膨大な記事から読み取っていただくしか方法がありません。限られた紙幅の中でご指摘の部分は省略してあります。

また、論点が整理されておらず「そういう意見もあるのだ」ということであえて反論はひかえます。

昔はやったことばでcynicism、シニシズム、犬儒主義という言葉を思い出しました。

投稿: ましま | 2009年4月12日 (日) 10時29分

NATOや安保条約に限りませんが軍事同盟と言うのは原則的に仮想敵国を想定しています。
日米安保もNATOも仮想敵国はソ連ですが冷戦終結で本来の任務は終了している。
ですから其の時点で役目は終わりソ連と共に消滅さすべきだった。
しかしそうはせずに、ソ連の後釜にNATOはユーゴのミロセビッチや今はアフガンのタリバンを選んだが、これはNATOの自殺行為に近い話ですよ。
日本にとってのソ連の変わりは北朝鮮だが如何せん。幾等日本がソ連並みの脅威を宣伝しても、北朝鮮の実力不足はどうしようもない無い。

其れより一番の問題点(変化)は、世界を支配していたアメリカ軍の実力不足(弱体化)ですよ。
南北ベトナムは一億近い人口だがイラクは二千万人代の小さな国家にすぎない。
ベトナム戦争当時のアメリカ軍はもっと強かった。今の傭兵(志願兵)のアメリカ軍は実際の実力は低く、自由に動かせる陸軍兵力は5万人程度らしいですよ。
アメリカ海兵隊グァム移動の真意も極東の常駐兵力5万人を削減してイラクやアフガンに使いたいからで、兵力不足を何とか誤魔化したいからで、出て行きたがっているアメリカ軍と、米軍に出て行って欲しく無い日本の綱引き?の結果が莫大な日本の経費肩代わりです。
何とかして一日でも長く『対米従属』していたいだけ。
今までの日本政府は『対米従属』しかやった事が無いので、それ以外の方法が有るなどと考えた事も無いのです。

投稿: 逝きし世の面影 | 2009年4月15日 (水) 15時33分

アメリカ以外のNATO諸国は反省してますね。だからフランスもアメリカ主導をはずす条件で完全復帰した。
また、アメリカの傭兵代わりに使われていることに気づきアフガンでも逃げ腰です。そんなわけだからブッシュが盛んに日本をけしかけたが、オバマは無理とわかって「金をだせ」に変えた。
日本は警戒するならノドンなのに、アメリカでさえ警戒していないテポドンにお祭り騒ぎ。ご苦労さまです。

投稿: ましま | 2009年4月15日 (水) 17時42分

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