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2009年3月 8日 (日)

タリバンの敵国になるな

 共同電によると、日本のアフガン支援の一環として、日本政府がODAから141億円を拠出し、8月に予定されているアフガン大統領選終了までの約半年間、全警官8万2000人の給与を負担することを、日米の関係筋が明らかにしたと伝えている。

 とんでもないことだと思う。現地市民の感情はどうなのか、日本の関係NGOはどう考えているのか、さらに現在事実上各地で支配権を持つタリバンとはルートがあるのか。アメリカがタリバンの敵であることははっきりしている。

 アメリカが9.11テロの首謀者としてビンラディンを指名手配し、潜伏先のアフガンに容疑者引き渡しを要求したのがアフガン戦争の動機だ。そして当時のタリバン政権が熟慮の末、宗教指導者オマルが下した決断で「客人をもてなすムスリムの伝統に反する」ということからこれを拒否した。

 一方アフガンの人々は、ソ連が同国に侵入した際、サウジアラビア出身のゲリラ戦指導者・ビンラディンとその配下アルカイダをアメリカが支援したことを知っている。それでようやく独立国としての体面を保つことができたのに、こんどはアメリカの言うことを聞かないとボコボコにするぞと脅してきた。

 ビンラディンやアルカイダを逮捕しなければ、というアメリカの気持ちはわかるが、両方とも現在はパキスタンの国境地帯に潜伏しているという。それならタリバンを敵とする理由が失なわれたと同様だ。しかし、すでに大勢の米兵をタリバンとの戦闘で失っており、タリバンの存在すら認めたくないという気持ちだろう。

 そこに、アフガンの大統領選がやってくる。もし、伝えられる通りの実勢なら、タリバン出身の候補者が当選するかもしれない。アメリカご推薦の民主的選挙で、イラクでもパレスチナでも気に入らない勢力の方が選挙に勝ってしまった。その愚を犯さないためにはあらゆる手を考えるだろう。

 選挙前の警官の給料を持つなど、最も露骨な選挙介入である。その汚れ役を日本に負わせようという魂胆だろう。どっちが勝つにしろ「あの選挙は日本に雇われた警官が妨害した」と言われる。アフガンの駐日大使は、日本にアフガン派兵は求めないと言っていた。

 その一方で民政援助資金の拠出を望んでいるが、警官の給与負担は民生援助ではない。タリバンは日本に好意的な心情をもっているといわれるが、この一事でアメリカと同一視され、まだ「手の汚れていない」とみなされる日本の平和外交の手をしばることになるだろう。アメリカの言いなりになるのは、いいかげんにしてほしい。

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コメント

アフガニスタンの主権は誰にあるのでしょうか。9・11以降のアフガニスタン戦争はまだ終息していません。

旧ソ連撤退後の内戦を経て、93年に樹立した暫定政権も崩壊し、再び内戦を経て96年にタリバーン政権となり、アフガニスタン戦争でタリバーン政権が倒れて、現在は国際治安支援部隊(ISAF)という外国軍が占領しているという構造です。

日本政府は暫定政権ともいうべきカルザイ大統領を支援しています。そのカルザイ大統領は、外国軍の統治による権力の維持を考えているのか、アフガニスタン人の手による平和を実現しようとするのか、まったく姿勢がみえていません。

日本は戦争終結に向けた政治勢力を支援すべきです。そのためにはアフガニスタンだけではなく、隣国パキスタンも含めた復興政策にシフトチェンジすべきだと国際社会に訴えることです。アフガニスタンの混乱はパキスタンの介入にあるからです。

もう一つ、願わくば日本のODA141億円を日本のNGOがゴッソリと中抜きしないで、アフガニスタンの警察官に給料として毎月2万8千円を届けてほしいと思います。アフガニスタンでは援助を横領することが政権とNGOの仕事となっています。

投稿: ていわ | 2009年3月11日 (水) 13時20分

ていわ さま
 そこが情報のない者にとって悩みですね。できることなら、まず穏健派過激派を問わずタリバーンなど有力組織がカルザイ大統領側と話し合います。

 その結果、選挙を前にして外国から警察官の訓練や給与を援助してもらうことに賛成なら、その通りにすべきでしょう。

 そうはならず、カルザイ政権の解体と外国軍の撤退要求が大勢を占めた場合、内乱再発状態が心配されます(現在でもそうですがそれより悪くなるのかよくなるのか)。

 つまり、平和裡に民族自決に持っていけるかどうかです。ISAFがこれとどう折り合いをつけられるか、そういったことが焦点になるべきでしょう。

 緒方貞子さんが担当される部分もあると聞きます。タリバン掃討一本槍ではない、見事なをさばきを見たいものですね。

投稿: ましま | 2009年3月11日 (水) 14時27分

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