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2009年3月26日 (木)

北朝鮮挑発の愚

 北朝鮮が人工衛星と称するものの発射がほぼ1週間後に迫っている。政府が相手側に自制をうながすのも、万一にそなえてMD(ミサイル防衛システム)の点検や配備を準備するのはいいだろう。しかし、それを「破壊命令」などという刺激的な言葉で、国民に伝達しようとすることに政府の不純な意図がうかがえる。

 それが、「日本は国際的に認められている人工衛星発射を妨害し破壊を計っている」という北朝鮮の国内体制強化に格好な宣伝材料を与えることになる。そしてさらに、日本の北朝鮮脅威感情をあおるという形ではねかえり、総選挙を前にして政府自民党支持にプラスするというものだ。

 国民の不安を解消するため、というが、その不安はこれまでむしろ政府が助長してきたのではないか。万一故障で軌道が狂い日本に落下したら、というケースを想定しているが、正常に機能しているミサイルでさえ破壊できる確率が限られているのに、不測のコースをたどる落下物を捕捉するすることなど、政府高官が言うように不可能である。

 秘密好きの防衛当局や官邸が、なぜ攻撃命令の手続きを公表しなければならないのか。本来は最高の軍事機密であってしかるべきであり、公表する義務はない。しかし、この際MDシステムをPRすることと、文民統制を印象づけたいということのようである。

 麻生内閣独特の戦略目標を欠いたご都合主義以外の何ものでもない。MDシステムはまだ開発途中にありこの先も見通せないほど高額な開発費が必要とされる。そういったことを含め克明に国民に説明するのは、為政者の当然の義務である。また文民統制は田母神発言などが再発しないよう徹底が必要である。

 一般的に防衛政策の周知を計り、安保を含めた防衛体制をよりガラス張りにすることは必要である。当然アメリカからの大きな妨害はあるであろう。軍事同盟を組むからには、守らなければならない秘密があるのは当然である。それには、日本国憲法に抵触する内容を含まないという前提が必要だ。

 話が横道にそれたが、軍事行動上の手続きであろうと、装備の開発内容や配置のあり方であろうと、日頃国民に対する懇切な説明と公開が必要である。それは繰り返しになるが、憲法第2章のもとでの防衛体制であることがその根拠であり、他国の軍隊との相違点である。

 以上の公開は、かりそめにも他国との緊張関係に便乗して行うべき性格の話ではない。悲しいかな、国民の大多数はマンガやゲームの戦争しか知らない世代になりつつある。政治家は国会論議を通じて、マスメディアはそれぞれの機能を生かして、良識ある論議を日常くり広げてほしいものだ。

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

MDシステムですが、報道では、もし万一撃って『かすりもしなかったらどうしよう、恥ずかしい』との意見も政府内部にはあるようです。
政府高官が『ピストルの弾をピストルの弾で打ち落とすようなもの』で成功しないだろうといったとか。
この政府高官とは大臣クラスか内閣官房の誰かでしょうが、誰なのでしょう。
私の推測では、世論誘導や情報操作専門の漆原副官房長官か、時々は実にマトモな事をいう軍事オタクの石破農水大臣のどちらかではないかと思っています。

投稿: 逝きし世の面影 | 2009年3月26日 (木) 17時31分

正確に日本をねらってうったのであれば命中する可能性はあるでしょう。だけど打ちそこないを迎撃するのはSM3でもPAC3でも標的として捕捉するシステムはないと思います。つまりうった方でも姿勢制御ができないのだから弾道計算は不能です。

つまりは「訓練警戒警報」程度の取り扱いで、発射はしないでしょう。それより、失敗したら世界に恥をさらすことになる北朝鮮の方が自信満々なのではないですか。

政府高官はやはり副大臣・政務官クラスでしょう。石破さんはよく知っているだけに口が堅いと思います。

投稿: ましま | 2009年3月26日 (木) 18時19分

一月も前から予告する。そしてそれを大々的に報道するマスコミ。
この騒ぎは、ミサイルとしれをそれを迎撃できるかというショウが主役になってしまっている。
北朝鮮は、打つぞ打つぞといだけで彼らの目的は達成されるのである。

投稿: そりゃないよ獣医さん | 2009年3月27日 (金) 00時07分

撃ちそこないの弾かそうでないかを考える意味はないと思います。
というのは、時間がないからです。
つまり、全弾弾着という仮定で迎撃システムを発動することになると思います。ミサイル発射は検知できるはずですから、その時点で、弾着可能地点を割り出し、そこから、弾道を予測して、通りそうなところに発射するということになると思います。
超高速の弾はそもそも当てづらい上、デコイや撃ち損じにも、反応しざるを得ないため、難しい技術ですね。
ま、実戦で迎撃能力があれば、計画を続行すればいいし、なければMD計画は中止して、兵器システムも退役させればいいのではないでしょうか。それが科学的な態度だと思います。
いずれにしても、日本がミサイルごときで屈服するはずもなく、北朝鮮軍には東京占領はおろか、上陸すら不可能です。一方、日米同盟発動で、一瞬で平壌は壊滅するでしょう。最悪、日米同盟が発動されなくても、一年程度あれば、専守防衛の自衛隊も、平壌占領するぐらいの能力を充実させることは可能です。
したがって、熱くなる必要はないかと思います。
北朝鮮から開戦しても、対日勝利する可能性はゼロで、時間も味方しません。
金正日は頭脳明晰だと聞きました。ボケていなければ、何もしてこないのではないでしょうか。
ただ、軍人稼業は、金がボケている可能性も検討せねばならないので、つらいところです。報道されているような状況になっているのです。わかってやってください。

投稿: ツーラ | 2009年3月27日 (金) 03時56分

○ピストルの弾をピストルで……、の犯人はどうやら鴻池官房副長官のようですね。アンパンマン石破さんは怒っているでしょう。

○麻生内閣の宣伝戦打ち上げも制御失敗、小沢代表も辞任打ち上げ失敗。打ち上げ成功はWBCイチローと病み上がりの金正日だけとなると、MDと共に日本の政治家も退役勧告ですな。

○平壌占領はいただけませんが、旧ソ連に備えた世界に冠たる対潜哨戒能力は健在です。韓国東岸に北の軽潜水艦が乗り入れ10数人(?)が敵前上陸したことがありましたが、山に逃げ込んだ者を含め簡単に制圧されました。この程度なら警察で充分です。

投稿: ましま | 2009年3月27日 (金) 10時01分

石破さんは、06年の北朝鮮が日本海に向けてミサイル試射事件で大騒ぎになった時に、ミサイル実験自体は、世界中で各国が年間200回以上行われている通常の行為であるとマスコミに語っていました。
当時の有力自民党政治家の中では一番冷静で、一見するとこわもての軍事オタクの一人だと思っていたが、意外な側面に驚きました。
鴻池官房副長官といえば集団強姦事件で『元気がある』といった人でしたか。?
それとも『親を市中引き回しの上で獄門』といって人でしたか。?両方だったか?。思い出せない。
どちらにしても口の軽い人らしい。
この人『ピストルの弾をピストルで』は過去に発言していたのを今国会で野党に追及され認めたものですね。
ですから今回報道の政府高官とは、過去の鴻池発言ではなく本人がもう一回同じ事を言ったか、それとも誰か他の人が言った可能性がある。
それにしても高い金を出したのにヤッパリ当たらないらしいですね。

投稿: 逝きし世の面影 | 2009年3月27日 (金) 14時55分

ピストルを構えた男がいれば、ヤツが撃つ前にこっちから先に撃つというのが本来あるべき姿なのです。
銃弾に銃弾を当てるなんぞ、シティーハンターにしかできませんよ(笑)。

 日本では、ピストルを構えた男を撃つことが左翼人士のご活躍のおかげで、政治上の理由からできないのです。ですので、銃弾が届く前に、銃弾を落とせばよいということを真剣に検討せねばならなくなったのです。さもなければ、身が守れません。
技術的に少しでも可能性があれば、研究してみるというのは、国家が取り得る選択肢としてはアリだと思います。やってみなければ、わからないというのが自然な思考法です。
核武装もだめ、他国を攻撃する能力をもつこともだめならば、日本に飛んでくるミサイル全部を撃墜しなければ、防衛できません。MD計画という費用対効果が薄い研究をせねばならないということは、それだけ、日本の独立はは追込まれているということでしょう。左翼人士は平和への第一歩と勘違いしているようですが。

一般論ですが、軍事において、敵が攻撃できないところから一方的に攻撃できるというのは、決定的に有利で、そのような兵器システムを有する国家は、持たない国に対する戦争計画発動という強い誘惑に駆られてしまうのです。
すなわち、フセインが、アメリカまで届く核ミサイルをたった一発保有しただけで、アメリカはイラク開戦を踏みとどまっただろうということです。核一発くらいで、アメリカ人が降伏したり、戦意を失うことなどありませんが、予想される損害の前に、躊躇することになるのです。ですが、現実のフセインはアメリカ本土を攻撃するいかなる手段も持ちませんでした。
また、台湾の馬氏が尖閣諸島関係で、日本に対して、戦争も辞さないという強気の発言をしましたが、強がりでいっているわけではありません。これは台湾が日本の領土を射程に治める巡航ミサイルを保有したことを背景しています。ですが、日本は同等の能力をもつミサイルをもっていません。

軍事力には、抑止力と実戦力の二つがあります。ですが、日本の自衛隊には抑止力がありません。すなわち、他国からの戦争開始を抑える性質に乏しいのです。北朝鮮が恫喝をやめないのは、そのためでしょう。
平壌を占領するつもりがなくても、我々には、その能力があるぞということを黙って示すだけで、北朝鮮のような国家はおとなしくなります。
実際に中ロには金も笑顔を振り舞えてますよね(本当は嫌いなくせにね)。


投稿: ツーラ | 2009年3月29日 (日) 00時53分

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