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2009年2月 7日 (土)

自衛隊は違憲か

 答えは「極めて違憲に近い」である。ただし、某政党がいう「違憲的存在」や「違憲状態」とはタッチの差で異なる。具体的に言うと、イラクへの陸自、空自の派遣は、その時点で明らかに「違憲状態」だった。これには、昨年4月の名古屋高裁判決でも示されているとおりである。

 「違憲状態」をいう人は、世界で五指に数えられるほどの防衛費予算の規模、日米同盟が運用面で自衛の範囲をこえる恐れがあること(集団的自衛権を認めるうごき)、現職自衛官に内在する意識、それに外国人が自衛隊を「軍隊」と見ていることなどである。

 しかし、軍隊にはつきものの独自の司法権(軍法会議)がなく、装備も外国攻撃を目的とする航続距離の長い飛行機などは配備されていない。つまり軍隊としては、攻守の攻の部分が不完全で、そこを米軍がになうかたちになっている。ただし、国内の基地から米軍が出撃すればやはり憲法上の問題となる。

 つまり、ぎりぎりのところで「専守防衛の自衛隊」が守られてきたのである。それを紙一重のところまで持ってきたのが橋本内閣以来の政権で、「周辺事態法」や「武力攻撃事態法」「国民保護法」「防衛庁設置法」など次々と地ならしを進めてきた。

 私はその「紙一重」がまことに貴重だと思う。最後の一線を突破させようとしたのが小泉・安倍両首相で、抵抗していたのが目下評判を落としているが官僚だった。それがまことに幸いなことに、参院選で大敗した安倍首相が退陣して雰囲気が変わってきた。

 残念ながらこれは、社・共など護憲政党の力や護憲運動による成果ではない。その後、9条改正反対が世論調査などで過半数を占めるようになったが、これもアメリカのブッシュの失政、オバマの出現で、パワーポリティックスが見直される気運を受けてのことだろう。

 したがって、第2の安倍晋三がいつ復活してもおかしくないのである。それをどうやって防ぐのか。それには、現実を認めてそこから可能な範囲の是正を一歩ずつはかり、しっかりした安定世論に支えられるようにするしかない。その第一歩が「自衛隊は違憲状態」という主張をひとまずひっこめることである。

 そして、「国を守るためにはそれ相応の備えが必要である」、「災害復旧などに自衛隊は頼もしい存在だ」、「国際平和に貢献することは必要である」などの国民感情と真摯に向き合い答えていかなければならない。

 9条を厳守するためには、日米同盟の指針などの見直しが必要である。政治家はまずそこから手を付けなければならない。それで米軍基地の大幅縮小をすると、自衛上仮に防衛費の増大を招くなどということがあれば、一時的にそれを甘んじて受けなくてはならない。

 そして、平和憲法を持つ日本が世界の軍縮に大きく貢献し、その中でわが国が他国に率先して軍事費を削減するというビジョンを持つことである。それにより周辺国との緊張の除去、利害の共有化など平和外交に活路を見いだすことが可能になる。

 そういったプログラムを示し、政権を奪取する政治家が現れるのはいつの日のことだろうか。当塾が主張するところは、とりあえずは、自衛隊が「護身用武器をこえる武器を持って他国領域内に入らない」ということを徹底する(場合によっては憲法に加筆してでも)ことである。  

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コメント

 イスラエルではイラクで核開発をしようとしたときに核施設を先制攻撃にて破壊し、自国が核で狙われることを未然に防ぎました。
 日本の専守防衛ではその時点で気づいても爆撃ができないので「核開発をしてさあ準備万端攻撃するぞ。」となってしまいます。

投稿: 通りすがり | 2009年7月29日 (水) 11時06分

イスラエルのやったことを損得勘定してください。どうみてもマイナスですね。

金正日も健全な体力・精神を維持していれば損になるようなことはしません。それだけに今は危険です。ただし核弾頭は使えないでしょう。

投稿: ましま | 2009年7月29日 (水) 22時15分

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