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2009年1月21日 (水)

日中関係史考4

中国から見た日本
 前回までに、中国人(特に学生を中心に)を決定的に反日、排日に追いやったのは、第一次世界大戦のあと、中国にとつて屈辱的な「対華21カ条要求」を飲ませてからだといいました。それでは、過去の長い歴史の中で中国人が日本または日本人をどう見ていたか、両国の関係はどうだったかを、ここであらためて振り返って見ましょう。

 前の「朝鮮・韓国」シリーズでは記事の中でとりあげましたが、今回は前身のブログでもそうしたように、手抜きをして下記の浙江省大学の王勇氏の著書『中国史のなかの日本像』(社)農山漁村文化協会の目次を見るだけで想像していただきたいと思います。

 それによると、決定的に日本が嫌われていたのは、明の時代に和冦が沿岸を荒らしまくっていた頃ぐらいで、基本的にはよいイメージを持たれ続けたようです。また日本人の方からは「元寇」ということになるのですが、これは「朝鮮・韓国」シリーズでも述べたように、中国・朝鮮も被害者だったことを考慮すべきでしょう。

~~~~~~~~~~~~~~~~~
第一章 神仙の郷――幻想的な日本像
 日本の有史以前。徐福が目指した?君
 子不死の国、蓬莱の国などのイメージに
 ついて。
第二章 宝物の島――実像と虚像の間
 魏志倭人伝から黄金伝説まで。
第三章 器用な民――虚像から実像へ
 飛騨工の伝承や、輸入される日本扇、日
 本刀など精巧な工芸品への驚嘆、賛辞。
第四章 礼儀の邦――モノからヒトへ
 呉人の後裔という考えや中国ですたれた
(柏手による参拝など)遺風が守られてい
 るという考え。遣唐使の立ち居振る舞い
 のすぐれていることなど。
第五章 好学の士――華夷の壁をこえて
 唐代からあと、ことに仏僧を中心に、経
 典、書道、漢詩、絵画、彫刻などで日本
 の高いレベルが評価され、言語の障壁を
 乗り越えた相互の研鑽と交流が続いた。
第六章 白骨の山――日本像の豹変
 元寇で平和な関係が一転し、日本像が変
 わっていく。しかし、中国は日本への侵
 攻より敬遠、回避の道を選ぶ。
第七章 海彼の冦――海賊から妖怪へ
 元から明にかけての倭冦被害で、日本人
 の残虐性と狡獪性がクローズアップされ
 る。狡猾とされるのは、南北朝時代や室
 町時代の日本政権が約束を守れず、また
 公式船と見せかけておいて略奪行為をし
 たことなどがある。また豊臣秀吉は妖怪
 ・悪鬼の扱いをされていた。
第8章 西学の師――近代化の手本
 明治維新は中国近代化への先駆として注
 目された。
終章 幻想の破滅
~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 辛亥革命で清朝は倒れたものの、孫文が目指したような近代的な政権ではなく、軍閥が力を競い合うような不安定な状態が続きます。その中で真剣に日中の間のことを心配し、憂慮した人々がいました。もともと親日家だった孫文は1924年(大正13)に来日し、神戸大学で帝国主義と化した日本に迫る悲痛の演説をします。

 「日本は世界文化に対して西方の覇道の番犬となるか、はたまた、東方王道の干城となるを欲するか」

 これについて、孫文に支援を惜しまなかった右翼の大物、頭山満の発言は、このシリーズの1「日露戦争のトラウマ」編に記載しました。もうひとり、辛亥革命の協力者であった熊本県出身の大陸浪人・宮崎滔天の死に対し、孫文は上海で追悼大会を開催しました。

 現在の中国でも、「宮崎は中国人民の真の友人、傑出した国際的友人であり、同時に中国人民の革命隊列の中で思想が堅く、不屈であった一人の外国人革命戦士であったといえる。彼は中国人民の革命事業に対し、また中日両国民の友情あふれる交流に対して貴重な貢献をなした」と、最大級の賛辞が寄せられています。(前述書)

 こういうと、右翼に「媚中派」が多かったのかと思う人がいるかも知れませんが、そうばかりではありません。反戦を訴える文学や軍事拡張に批判的な社会主義者の存在もありました。また明治の元勲は、概ね中国との摩擦を避けたいという考えでした。同時に「幣原外交」と呼ばれ、欧米の潮流に従った中国への内政不干渉を打ち出す外務大臣の存在もありました。

 しかし、大正デモクラシーと呼ばれた自由の風潮は、国粋主義のもと次第に軍靴の足音にかき消されるような時代がやっくるのです。

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 私にはスロービジネスに係わる仲間がいる。多くの人が自らの働き方や生き方に悩み、繋がりを求めてメールのやり取りをしている。そして、合宿や様々な催事も行っている。特に、その中でも安全な農業に興味を持っている人たちが多い。  彼らとの話の中で、フェアトレード商品や無農薬・有機野菜をなるべく高くても買おう、という主張をよく聞く。私は一つ納得がいかない感情がそこに残る。それができない人たちが急増しているからだ。  今朝、私は銀行を回っている途中で、高校のときの同級生にバッタリ会った。  “ヤア、しばらく、... [続きを読む]

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