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2009年1月22日 (木)

中国政府の人権意識

 中国政府は、3月28日を「西蔵(チベット)100万人農奴解放記念日」とすることを決めた。これについて1月21日の「人民網日本語版」は、海外の一部の人々によって不断に訴えられてきたいわゆる「チベット問題」が、農奴解放を無視して過去に戻そうという間違った考えだという論文を掲載した。

 そして、欧州議会のチベット問題協調グループのトーマス・マン代表が記念日設定に対し「チベット人に対する最大の侮辱だ」という見方を示したことについて、人口の90%を占めていた100万人規模の農奴や奴隷を指していうならそれこそ逆に侮辱に当たると反論した。

 中国とダライ・ラマの会談の中味がサッパリわからないので、なんともいえない面があるが、ダライ・ラマ側の要求は、本文の中でも触れている「本当の自治」や「中間路線」で、農奴制の復活ではないだろう。

  もしそうであれば“人口の90%を超える農奴”の中からあれだけ大勢の人が“暴動”を起こすわけがない。たとえ農奴であろうとも犯し得ない思想信条の自由がある。それが封じられているからではないか。

 最後に次のように締めくくっている。こういった発想は、日本の侵略戦争に対する歴史認識問題、世界の少数民族問題にもかかわり、中国自体にも台湾や尖閣諸島の帰属に跳ね返ってくる。また、世界が持つ人権感覚とのズレが念頭にない。歴史問題で相互理解を深めようと意図する本塾にとって、中国政府のかたくなな態度は残念としかいいようがない。

 今日の欧州が500年以上前の中世の欧州に逆戻りすることはできない。今日の米国が南北戦争以前の米国に戻ることもできない。今日のチベットも同様に、政教合一の封建農奴制の旧チベットに戻ることはできないのだ。

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コメント

天安門事件を清算出来ていない中国政府が、人権問題で先進国のレベルに達していないのは事実で、批判は当然だとは思いますが、チベット問題の基本は人権問題ではなく、程度の差は有れ、どの国も抱えている少数民族問題とそれに関連した宗教問題ではないでしょうか。?
現在は宗教指導者としての顔しか見せていませんがダライ・ラマはチベット亡命政府のトップでも有るし50年前は政教一致のラマ教神聖政府のトップで生き仏で、巨大封建領主で徳川時代の将軍と明治政府の天皇を合わせた以上の存在です。
確かに、500年以上前の中世の欧州や250年前の独立以前の米国に逆戻りすることはありえません。
しかしブッシュのアメリカはメキシコやスペインに難癖をつけて無理やり戦争を仕掛けた南北戦争直後の米国に先祖がえりしていましたよ。
日本でも田母神みたいな64年前に大失敗したトンデモナイ考え方を今に蘇えらそうとする時代錯誤の人物は幾等でもいます。
ですから農奴制はともかくダライ・ラマの時代に戻したい人が中国のチベットにいても少しも不思議では有りません。
何しろ50年では完全に代替わりしていないので当時の人はまだ生きているし当時の最高権力者のダライ・ラマ14世も健在です。
日本や欧州のように単に人権問題と捉えられず、中国が神経質に警戒するのには十分な理由が有ると思います。

投稿: 逝きし世の面影 | 2009年1月22日 (木) 15時30分

 中国は私にとって数少ない訪問したことのある国です。いただいたコメントに対して感想を1,2。

 少数民族問題は、心の問題は別にして、建前上は大変気も使い予算もつぎ込んでいるようです。一人っ子政策の例外にしていることもその一つです。

 宗教は、チベット仏教は日中で普及した仏教の教義と基本的には同じで、回教のような一神教とは違い「中道」で対立を避けることは可能なはずです。

 行政制度についても、香港で一国二制度が存在するわけですから、チベット住民の民族自決の精神を生かす程度の妥協が不可能だとは思いません。

 ただ、開放当時は国民党軍が逃げ込みその宣伝に乗って中共軍と激しく戦ったので強い不信感が双方にあると思います。

 ダライ・ラマは間もなく政治から身を退く、と言っていますから和解のチャンスは今しかないと思いますが。

投稿: ましま | 2009年1月22日 (木) 17時26分

>ダライ・ラマは間もなく政治から身を退く

一番の問題点は、ラマ教が日本や中国本土の仏教とは本質的に違っており、創価学会のように政教一致の教義を持ったカルト宗教の部分が有ることでしょう。
今の世の中で、イランのような僧侶が大統領や国会よりも上位に有る神聖政治を望むものは欧米や日本にいない筈なんですが、なぜか素朴にダライ・ラマに期待する。
宗教は政治に口出しすべきではありません。
ダライ・ラマ14世が政治から身を退いた後にこそ解決の可能性が有るでしょう。

誰であれ、自分の生活が根本的に変わるのは不安であり歓迎しません。
香港で一国二制度が成り立つのは、緩やかに統一していくと言う現実的な方法で、中国として正しい方針です。
この方法は中国にとって、国内といえない台湾には当てはまりるでしょうが、中国国内と考えているチベットには当てはまらないでしょう。

実はチベットに当てはまるのは。同じ時期に起こったイスラエルの紛争の解決と全く同じです。
パレスチナ難民の祖国への帰還権を認めて、60年前に暴力でイスラエルから追い出したすべてのパレスチナ人難民を受け入れなければ『正義』が行われたとは言えないでしょう。
ところがイスラエルは難民帰還どころか難民をゲットーに隔離して経済封鎖を行い、あげくの果てに軍事侵攻して虐殺まで行う。戦争犯罪のイスラエルに未来はない。

チベットも基本は同じです。
すべてのチベット難民を受け入れ生活を保障する。
難民の祖国帰還こそがすべてに優先させるべき問題ではないでしょうか。?

投稿: 逝きし世の面影 | 2009年1月23日 (金) 11時23分

ダライ・ラマが米国の大衆を前にした説教の内容を本で読みました。伝来ルートは中国・日本と違いますが大乗仏教の法華経などの教義は同根です。

 欧米の要人や日本でも大学などで講演をしていますが、中国以外はみんな「カルト」にだまされているのでしょうか。

投稿: ましま | 2009年1月23日 (金) 16時48分

人民網の内容は、嘘で、ただの宣伝です。一般論ですが、共産主義政府が対外的に真実を述べることはありません。
現在の漢族が支配する中国政府は単に、旧清国領を維持したいだけであって、それ以上の意味はありません。チベット人に興味もないでしょう。大清帝国を否定した中華民国の継承国家である中華人民共和国がチベットを領有することは違法です。これは統一ではなく、侵略です。
チベットは中国に併合されるまで、イギリスに独立保障されていましたし、日本と異なり、米国はいまでも、中国の領土として認めていません。
チベット人たちは、中国人になりたいとは思っているわけではないのだから、独立させてやるのが、本来の筋のはずです。
その点で、新彊や台湾も同じです。
にもかかわらず、どうして、”逝きし世の面影”氏は、非民主的なことを平気発言しているんでしょうか?弱者の味方みたいなことを口実に、自由や平等という思想を否定しようとしているに聞こえるし、田母神やイスラエルを批判する資格があるのか疑問です。

香港の一国二制度は、元来同一民族が外国の支配によって、異なる政治制度を持ったので、徐々に慣らしながら吸収しようとするもので穏当であり、全く別物ですし、パレスチナ問題を持ち出すのは見当違いも甚だしいです。

ただ、チベットが独立した場合には、政教分離する必要はあるでしょうね。

中国が問題なのは、自国民に政治的自由を認めていない。ただ、それにつきます。認めれば、チベット、新彊、台湾は平和的に分離、独立することになるでしょう。

投稿: ツーラ | 2009年1月24日 (土) 04時19分

一神教の欧米人にブッダの見つけた仏教の真理を理解出来ると考える方が、無理が有りそうで欧米人には真の仏教精神よりもラマ教の方が親和性が有るでしょう。
今でこそ行こうと思えば、誰でもチベットへ行ける様になりましたが、昔は非常にに難しかった。
特に欧米人は難しかったようです。
欧米でダライラマ時代のチベットが、シャングリラと描かれる理由は有る程度は理解できますが、日本人までが同じように思うのは私の理解の範囲では有りません。
ラマ教は一神教と同じような奇跡の存在を前提にした教義で仏教的には異端と言ってよいでしょう。
すべての結果には原因が存在し、すべての物事は関連しているとするのが仏教の基本で阿弥陀如来とか教典とかが一緒でも同じとはいえません。
そして日本人が考えているほど彼等には区別が付きません。
政教一致なんてのは元々一神教的な発想です。
創価学会と同じで異端でカルト的です。、政治とは一線を画し首を突っ込まないのが仏教の精神ではないでしょうか。

昔からチベットへは行きたくて有る程度は資料を調べていましたが、ラマ教は、非常にカルト臭い宗教でダライラマの復権はかえってチベットに大きな混乱を引き起こすでしょう。
歴史があろうが、権威があろうが、大勢が信じていようがカルトはカルトです。カルトが政治権力を握ることは揉め事の元です。
北京オリンピック聖火リレー時に『フリー・チベット』と叫ぶ日本の若者達を如何思いますか。?
この人たちの叫んでいるスローガンが何で、チベット語でも中国語でもないんでしょうか。?
日本人が、日本国の国内で抗議行動するなら、何で日本語でスローガンを叫ばないんでしょうか。?
チベット語でも、中国語でも、日本語でもなく、日本国の宗主国のアングロサクソンの言語で叫んでいて、少しも不思議と思わない神経は、植民地根性が骨の髄まで染み込んでいる証拠ですよ。情けない限りです。

投稿: 逝きし世の面影 | 2009年1月24日 (土) 17時12分

チベット仏教は仏教でないようなお説ですが初耳です。ダライ・ラマ個人の問題なのでしょうか。双方の和解や平和解決を望まない意見とは思いませんが、宗教論争はこのブログの目的ではないので、今後のコメント応答はさしひかえます。

投稿: ましま | 2009年1月24日 (土) 18時22分

『仏教だからカルトとは無縁』と断定される根拠が分りません
鎌倉時代以来数百年の歴史が有る仏教の一派である日蓮正宗の信者集団組織としての『創価学会』は外国では立派にカルトと認定されていますし、すべての破壊的カルトの定義と一致します。
そして創価学会のカルトの教義は、母体であった日蓮正宗に由来しています。日蓮正宗の国教化こそこの教団の根本教義ですよ。
それにしても『観音菩薩の生まれ変わりの生き仏』などの教義を持つのはチベット仏教だけで仏教の異端であることだけは間違いないでしょう。
何故生き神様の教義にひどい目に遭った日本人が、生き仏ダライラマを人格者扱いするのか不思議でならないが、ダライ・ラマ14世個人の問題というよりもチベット仏教に根本原因が有ると思っています。
チベット仏教のもっとも重要な特徴は、生きている個人としてのラマ(導師、活仏)を、仏よりも、法よりも以上に、崇拝することでしょう。
インド北部で起こった仏教も、イスラムの圧力やヒンズーなどの民間信仰の力、そして、仏教自身の堕落腐敗変質で、14世紀にインドでは滅んでしまう。
この時スリランカなどの上座部(小乗)仏教国ではなく大乗仏教のチベットへ多くの僧侶が移り住んだようです。
このためにラマ教はインドで発展していた秘密仏教(密教)の影響を大きく受けることになるが此れがとんでもなく堕落していた。
インドの伝統的な呪術的儀礼が、その呪術性の故にチベット人に歓迎されたが、インドの秘密仏教は、「男女交合の子孫繁栄を中核とする民俗信仰」の側面があり、初期のラマ教(旧教)の赤巾派も「男女交合」が、宗教上の解脱に至る宗教儀式?として扱われていた。
麻原(松本智津夫)教祖もインドで薬物の使用や男女交合で功徳とは悟りとかが開けるインド秘密仏教を見つけてきたのでしょうか。?

投稿: 逝きし世の面影 | 2009年1月25日 (日) 11時19分

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