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2009年1月 8日 (木)

朝鮮・韓国 23

 日韓併合をもってこのシリーズの最終回にしたいと思っています。太古からここまで見てきて、特に明治以降の日朝、日韓関係を追っているとためいきが出てしまいます。このような結末を招いた本当の原因は何でしょうか。実は誤解を恐れずにいうと「なるべくしてなってしまった」としかいいようがないのです。ここが、満州事変や日中戦争の侵略とはやや異なります。

 戦後の日本を風靡した唯物史観、発展史観による歴史の解釈は、皇国史観をたたきこまれた者から見ると大変科学的で魅力的な方法でした。しかし、どうも素人目から見て、その解釈に当てはまらないものについては、追求がなおざりになり、物足りない思いをすることがたびたびありました。

 結局日韓関係は、徳川300年の封建政治を経て大政奉還、西欧に習った立憲君主国という近代化を果たした日本と、古代から続く宮廷政治に固執する朝鮮・中国との感覚のずれ、次ぎに西欧列強による植民地拡大競争激化、特に日本は、ロシアから直接脅威を受けるいう自意識の強さにしばられていたということではないでしょうか。

 そして、最後は「戦争」です。「弱きを助け強気をくじく」などと「義侠心」で始まった日清戦争はお人好しでお節介だったかも知れません。しかしこの戦争が日露戦争を呼び、日露戦争はこのあとの日本がかかわったすべての戦争につながってゆく、つまり、「戦争が戦争を呼ぶ」という連鎖反応が東アジアに多くの不幸をもたらしたのではないでしょうか。

 ここに、韓国の有力な近代史の権威である姜萬吉氏の著書で小川晴久氏訳の『韓国近代史』を引用しておきます。その意図は、日韓両国の専門家の真摯な研究が進むことにより、お互いの立場や見方に違いがあっても、最近あるような「反日」とか「嫌韓流」などという心の狭い反発がなくなることを期待するからです。
 
 なおこの著書で、訳者が解説を加えていますが、姜萬吉氏の研究姿勢は「歴史を美化することではなく、自国の知識人に向けて統一国家への展望ができるような近現代史を構築する」という立場であり、さらに日本人読者を意識せずに書かれたものであるということを明らかにしています。(以下引用文末まで)

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【第一章 国民国家樹立の失敗 序説】より

 清日戦争後約十年間維持されてきた朝鮮半島をめぐっての露・日間の勢力均衡は、英国と米国が日本を援助することによって壊れた。その結果は露日戦争、日本側の有利な条件での戦争終結、そして大韓帝国の日本による保護国化および植民地化としてあらわれた。

 専制君主国家としての大韓帝国が内部の国民革命によって崩れず、外勢の侵略で倒れた事実は、植民地化のその時までも国民国家を持つことができなかった歴史的限界性を示すと同時に、以後の歴史にも大きな負担を与えた。

【同上第五節 植民地への道】より

 「合邦」に対する国際的な反応も一般的に冷淡であった。英国と米国は英日同盟、タフト・桂密約、ポーツマス条約を通してすでに日本の韓国支配を承認していたので、当然「合邦」を支持した。英国政府は「日本が韓国においてその勢力を増加するのに対して英国政府は何等反対する理由がない」といいながら、ただ自国の経済的利益問題と関連して関税率の不変、開港場および沿岸貿易の継続を要求した。

 米国政府も「日本の韓国における行政が非常に善意に満ちており、韓国民の幸福のために力を尽くしている跡が歴然である」といい、ニューヨーク発行の『東洋評論』も「韓国に利益関係にある総ての外国は韓日合邦から生ずる変動に対してなんら不安な考えをいだく必要はない。日本政府は細心に外国の一切の利益を保護するだろう」と論評した。

 第三国としては一番利害関係の深かったロシアの新聞も「朝鮮の運命はすでに露日講和条約で決定され、日本は事実上朝鮮を併合し、今回ただ形式的にこれを発表しただけだ。併合が朝鮮と利害関係がある英国の同意を受けて断行され、ロシアもこれに反対する理由がない」といい、ドイツのある新聞は「朝鮮人がその愛国的精神によって内心では日本の情深い文明統治よりむしろ腐敗した旧政府を選ぶ意思があるのはきわめて自然な道理である」といいつつも、将来日本の支配による朝鮮の経済的発展は疑問の余地がない」といった。ただ清国の所信分は韓国の滅亡を憂慮して満州や蒙古が将来同様な運命になることを警戒した。

 大韓帝国の無能と腐敗、そしてそのような政府を倒し国民政府を樹立できない国民的・歴史的条件、日本の野蛮な侵略主義とこれに対する帝国主義列強の援助および承認が、この時機の我々の歴史が失敗することになった重要な原因であるということができよう。

【第二章 反民族運動の展開】より

 朝鮮王朝の専制君主体制が国民革命によって崩壊せず、外勢の侵略で倒れたことは、以後の我々の歴史の大きな負債となったことは勿論、見方によっては二〇世紀初期のわが歴史が植民地に転落することになった第一次的な原因は国民革命が実現できなかった点にあり、またその原因中の一つがブルジョア運動としての愛国啓蒙運動の非戦闘性・非革命性にあったともみることができるのである。

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