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2008年11月 8日 (土)

反戦・護憲論の行く手5

 前回、「非武装中立論」を否定しました。非武装の構想は、米ソの厳しい対立という冷戦の二極構造の中で生まれたものです。その後米国の一極支配体制tが世界を覆ったものの、軍事・経済の両面からあっという間に崩れ去って、オバマ民主党政権のもとで「チェンジ」が計られようとしています。

 その間隙を縫って、ロシアは復権をねらい新しい動きをしはじめています。複雑な多極化時代が来そうな気配です。それを過去の冷戦時代から一歩も出ないような神経で、「価値観を共にする」とひとりよがりの旗をかかげ、「日米同盟があるから守ってもらえる」などと、のんきなことを言っていていいんでしょうか。

 私は、日本の安全は、現憲法を厳守・補強することと、専守防衛と国際協力を任務とする自衛隊の存在で守れると主張してきました。もちろん解釈改憲も集団的自衛権もダメです。そして世界の軍縮の先頭に立つことを望みました。そのための第一歩は何か、これが前回の宿題です。

日米同盟見直し、今がチャンス

 そうです。日米同盟です(このブログ右サイドバーのインデックスから「漂流する安保」シリーズや、「日米同盟年表」の記事も参考にしてください)。基本になる安保条約は、1960年以降一度も改定していません。その中には「憲法上の規定に従うことを条件に」というしばりもあります。

 裁判を起こされるほどのきわどい条約ですが、条約そのものはまだ憲法への配慮がありました。それが1997年9月の「日米防衛協力のための指針」による見直し、さらには2005年から2006年にかけて立てられた日米共通戦略目標や基地再編最終合意(ロードマップ)で、条約本体はおいてけぽりにされ、自衛隊と米軍の一体化が進みました。

 それでも今ならまだ間に合います。「日米安保条約解消」などというのではなく、できるところまでバックさせ、指針や協定や目標の見直しから始めてください。しかしこれは、アメリカが築き上げてきた既得権や世界基準をゆるがせたくないということで、困難な交渉となるでしょう。

 たまたま、今日11月8日付毎日新聞で、伊藤智永外信部記者がこういっいいます。

 米国民の多くは、今やブッシュ時代を「間違っていた」と考え、オバマ氏を選んだ。日本以外の同盟国も、それぞれブッシュ路線と確執を抱え、オバマ氏の「変革」に期待を寄せる。
 同じ時期の日米関係を、外務省は「戦後最良」と自賛してきた。(略)今、日本だけ反省もなく「誰が大統領でも同盟は不変」なわけはなかろう。(略)

 保守合同で自民党を結成した岸信介は、自ら政権を担うや、及び腰の外務官僚を尻目に敢然とこれに挑む。米側が一転して交渉に応じたのは、岸を指導者として高く評価していたのが理由の一つだ。

 第一次安保条約の締結交渉に当たった吉田茂首相も、折から起こった朝鮮戦争と東西対決が深刻さを増す中で、アメリカからの再軍備要請を警察予備隊新設などで巧にかわし、また、憲法改正の要求も当時の情勢を逆手にとって拒みつづけました。

 いま考えると、アメリカにとって、英国仕込みの外交手腕のある扱いづらい、また土性骨のすわった政治家だと思われたことでしょう。それぞれ昨今の首相のお爺さまがたは、歴史に残る立派な政治家だったと思います。

 新しい日米関係をうち立てるのは、今の時期をおいて当分来ません。それによって日本の将来の世界での地位も定まってくるでしょう。そういったことのできる大政治家は、求める方が無理なのでしょうか。それもこれも、戦後教育が悪かったせいでしょうか。

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