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2008年11月14日 (金)

朝鮮・韓国 8

 この回は徳川幕府とのつきあいです。以下は、田中健夫編『善隣国宝記・新訂続善隣国宝記』(集英社)所載の、徳川家康あて朝鮮国書を原文から読み下し文にしたものですが、味わいのある文なのでできるだけ原文を生かすようにしました。ただし、実際は対馬の大名・宗義智が改竄したものだといいます。宗家は両国をとりもつため、幕府の体面をたてるながら、朝鮮王朝に独自の朝貢をして対話の道を残すなど、命がけで仲介役を果たすのを常としていました。

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 朝鮮国王李 えん(日へんに八の下口)
 日本国王殿下に書を奉る
 交隣は道有り、古よりして然り、
 二百年来海波揚らざる(平和が続く)は何ぞ
天朝のたまものに非ざるはなからんや、
 しかして敝邦(我国)またいずくんぞ
 貴国にそむかんや、壬辰の変(秀吉の出兵)、
 故なくして兵を動かし、禍を構え惨を極む、
 しかも先王の丘墓に及ぶ、敝邦の君臣、痛心
 切骨す、義
 貴国と共に一天を戴かず、六、七年来馬島
 (対馬)和事を以て請をなすといえども、
 実に敝邦の恥ずる所なり、承り聞く、今は
 貴国、前代の非を改め、旧交の道を行うと、
 いやしくも斯の如くなれば、すなわちあに
 両国生霊の福にあらずや、故に使价を馳せ
 以て和好のしるしとなす。不腆の土宜は、
 つぶさに別幅(土産品目録)に載す、盛亮
 をこいねがう。
 万歴三十五年(1607)正月  日
 
 朝鮮国王李 えん(日へんに八の下口)
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 書式に注意して見ましょう。「日本国王」とか「貴国」という場合は、行を変え上に持ってきて敬意を払っています。「天朝」だけがそこからひとつ飛び出していますが、まちがいではありません。明の王朝のことです。「事大主義のおかげで」といっているのです。日本に敬意は払うが、明の方が上だよ、という意思表示です。

 さらに中味を見ると、「共に天を戴かず」とか「非を改めれば」という強い言葉も残しています。しかし、家康はこれを喜んで迎え国交正常化を進めました。そして徳川時代を通じて鎖国の例外としました。

 上の文書には、外交交渉の機微が実によく出ています。「貴国、前代の非を改め」という、今で言えば村山談話を認めるような態度ですが、家康が「自虐史観だ」などという話は聞いたことがありません。

 肩肘をはって強がりをいうことがだけが愛国心ではありません。国と国民の本当の利益のため、平和を維持する外交がいかに大変かが実感できる文書です。

 投稿日 2006-07-20 「反戦老年委員会」記事を加筆再録|

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