« 小泉氏の引退 | トップページ | 舌禍事件 »

2008年9月27日 (土)

排外主義と相撲

 秋場所も明日千秋楽を迎える。相撲界では、相次ぐ不祥事にロシア人力士の麻薬事件が追い打ちをかけ、北の湖理事長が辞任した。けいこ中の暴行致死事件は別として、評判になるのは横綱朝青龍をはじめ外国人力士に関係するものが多い。

 マスコミを通じて聞こえてくるのは、マナーが悪いとか日本の伝統を無視するとか、果ては外国人力士を排除すべしと言う極端なものまである。そういった個々の行動は確かなことだろうが、一般の相撲ファンはそれほど不寛容ではないと思う。

 その証拠に、物価高、不景気のさなかにもかかわらず、けっこう人気はおとろえず「満員御礼」の日も多い。しつけが悪いとか教育がなっていないという言いぐさは、最近の新任某大臣の失言のなかにもでてくるが、なにか外国人力士だけを標的にした差別意識のような気がする。

 今場所からしつけを厳しくしましたというあかしを示すためか、仕切の両手つきを徹底して見せ、勝負審判「待った」を続発した。これが逆効果で、立ち合いの気合いをそぎ、力をつくせない稽古場の風景のような取り組みが多くなった。勝負になっとくできなかった力士もすくなくないはずだ。

 かつては、仕切制限時間前でも気合いが合えば立ちあがる人気力士がいた。だから見物人は土俵から目をはなせず力士との一体感を味わえた。そういった気合いの衝突こそ大切にすべき伝統ではないのか。ファンは、お行儀のよいしつけのきいた力士を見たいわけではない。

 国技の伝統を守るということは、力士個人の人格を日本風に矯正することではない。また、横綱や上位陣が外国人で占められることを阻止することでもない。相撲は古代から外国の賓客を接待する際に催されてきたことを忘れてはならない。

 現在でも、表彰式にどれほど多くの外国大使館の人が土俵にあがるかを見てもわかる。また、グルジアとかエストニアなど、知らない国や地方に目が向く効果も大きいし、それらの国民が日本を身近に感じさせる上で、優れた外交官の何人分にもまさる。

 その競技が感動的で外国人に理解されるものであってこその国技なのである。鎖国的な排外主義が日本の伝統であるかのようなかたよった発想はやめてほしい。詳しくは知らないが最近、皇太子夫妻や皇室のありかたについて批判をする向きが増えたようだ。それも、近視眼的な伝統主義や拝外思想から来ているとすれば由々しいことだ。

 

|

« 小泉氏の引退 | トップページ | 舌禍事件 »

エッセイ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/468248/24060205

この記事へのトラックバック一覧です: 排外主義と相撲:

» 国交相中山の暴言弾劾し10・5三里塚へ総決起しよう!! [アッテンボローの雑記帳]
 9月25日、麻生内閣で国土交通大臣に就任した中山成彬(なりあき)は報道各社との [続きを読む]

受信: 2008年9月28日 (日) 01時29分

« 小泉氏の引退 | トップページ | 舌禍事件 »