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2008年9月 9日 (火)

軍紀の乱れ

 アメリカでは、6月に空軍参謀総長(大将)と空軍長官が揃って辞任した。任期半ばで制服組と背広組のトップが辞めるのは異例で、事実上更迭である。理由は、核管理のずさんさの責任をとったものとされ、二つの事件が指摘されている。

 一つは、2007年の8月30日に、予定にない核の実弾つき巡航ミサイル6発を搭載したB52H爆撃機がノース・ダコタ州の空軍基地からカリフォニア州の空軍基地まで、誰も気がつかないまま飛行したというものである。

 予定では、核弾頭を取り外したものを搭載する予定だったにもかかわらず、操縦者もそれを知らずに運んでしまった。冷戦時代の1960年代には、核爆弾搭載機が空中衝突したり、着陸失敗や落下事故など危険な事故が相次いだ。最後の事故は、安全装置5つのうち4つまで破壊するなど、あわや爆発という危機にさらされ、その他のいずれも放射性物質汚染の被害をまぬかれないものだった。

 もう一つの事件は、2008年3月に台湾から注文のあったUH-1汎用ヘリコプターの部品のバッテリーを、国防省の兵站部門が取り違えて大陸間弾道弾の核弾頭信管4つを輸出してしまったことである。これもユタ州の空軍基地の倉庫内で誰のチェックも受けずに搬出されたのである。

 台湾で気がつき返送されたが、日本向けに禁止されている骨付き牛肉を送ってしまう構図とそっくりだ。物が物だけに「うっかり」ではすまされない。北朝鮮に厳格な核監視プログラムを押しつける前に、まず国内管理をしっかりやってもらわなければならない。

 次が、日本への配備が決まった米原子力空母ジョージ・ワシントンが日本への回航の途中、5月下旬に南米沖で起こした火災の件である。予定では横須賀到着を8月19日と予告していたが、いまだその姿は見えない。

 この火災は日本ではボヤ程度の報道しかなかったが、米海軍報道官がその時点でCNNテレビに「今回の火事は“深刻な火災”に分類される」と語ったことを『赤旗』特派員が伝えた。

 しかし、出火場所や原因などもはっきりさせず、詳細はわからないが、可燃物などのずさんな保管が原因のようで、かつて新宿歌舞伎町の雑居ビルで避難通路を物でふさいでいたケースに似ている。

 火災が抑制された報道になったのは、日本における入港反対運動を気にしてのことで、当初は入港がオリンピック期間中ならば、国民がその方に気を取られているからといったふざけた思惑もあったようだ。それが復旧作業に相当な時間をとられたため、どうかすると日本政変のさなかということになりかねない。

 原子力潜水艦ヒューストンの放射能漏れ事故が最近明るみに出た。自衛隊の不祥事が続いた日本だが軍紀の乱れたアメリカ軍に安全を託すのはもっと危険だ。反核、護憲、平和を唱えるだけでなく、軍隊自身に内蔵される問題への危機管理をどうするかも考えておかなければならない。

 この記事は主に『軍事研究』2008/9 を参考にした。

 

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