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2008年8月 6日 (水)

庶民の戦争責任6

 前5回のシリーズで、基本的には庶民や一兵士に戦争責任、そして加害者意識というものが存在しないという立場で書いた。今回からやや視点・観点を変えるため「です・ます調」を「である調」に変えてみたい。庶民に戦争責任ありとする人は、どういった点をさしてそう判断するのか、またどうあれば責任をとったことになるのかはっきりしないので、はなはだ反論しにくい。

 さらに、私論をのべて見てもそれが100%正しい意見だとい言い切る自信はない。また、責任を認め加害者意識があるから、こうして「反戦塾」を通じて反戦を発信し続けているのではないか、と言われればそうであるとも、ないとも答えようがないのである。

 ただ、戦後生まれまたは戦争を体感したことのない人にどうしても知ってほしいこと、伝えたいことははまだまだ残っている。現今と全く異なる社会の仕組みと、変わらない人情・感覚があるということである。言いかえると、新聞・雑誌・教科書などに現れる表通りと、記録として残されにくい会話や苦情、嘆きの声などの裏通りがあるということである。

 作家で評論家の保阪正康という人がいる。1939年生まれだから、終戦時は5、6歳である。もちろん戦後初の東久邇内閣が「一億総懺悔」を唱えた時の国民のブーイングを感じるにはまだ幼すぎた。読売新聞の『検証・戦争責任Ⅰ』でまとめの講演で、太平洋戦争突入の目的、3年8か月もの継続、それに続いて国民の責任の3項目の問題点をあげ、次のように言う。

 私たち自身の問題というのは、政治指導者、軍事指導者とは別に、私たち国民の側の問題がやはりあるということです。それをきちんと整理しておくことが必要です。(中略)私は、日本に反戦という思想は育たなかったと思います。その育たなかったことがいいとか悪いとかの問題ではなく、現実に私たちの国が反戦を血肉化するというきっかけは持てなかった。それは、とりもなおさず私たち国民の側の問題です。反戦とは、ある特異な言葉を使って政治運動等を結びつけるという意味ではありません。つまり、戦争に反対するということのきちんとした歴史的な理解ですね、それを構築することができなかった。

 誤解を恐れずに言うのですが、日本の昭和二十年(一九四五年)の段階で、まあ一九年の終わりからでもいいですが、戦争は嫌いだという声は確かに多くありました。それを詳細に分析していくと、どうもこれは誤解を生みかねないので多くの方が不愉快に思うかも知れませんが、生理的な嫌悪感、反発だけじゃないか、むしろ生理的な戦争反対という感じじゃないか。さらにいうと、それは歴史的にはエゴイズムを含んでいるのではないか。もつと言うと、想像力に欠けるのではないか。つまり、戦争というメカニズムを理解するような国民的基盤を持っていなかったということです。このことをきちんと冷静に自省する必要があるというのが、国民に突きつけられている三番目の問題だと思います。

 まあ、ことわりごとを言いながら、志に反して命がけで戦った庶民、無念の思いで死んでいった戦死者・戦没者にこれほどひどい侮辱の言葉を投げかけられたものだ。要するに国民がある時期までは好戦的だったという一方的勝手読みがあり、「詳細に分析」というが資料の表面をなぞっただけで、なにもわかっていない。

 「読売新聞にも過ちがあった、戦争責任も感ずる。しかし読者としての国民にも責任があったのだ」という同新聞社の編集方針に導くための道化役発言であるとすれば、決して許せない。それは、一方的に「政治指導者」「軍事指導者」の責任追及を手加減しようとすることにつながっていくからだ。

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