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2008年7月11日 (金)

世論指導

 以下は、音読または味読してみてください。戦争末期に入り政府世論工作が初期と違ってきたこと、要綱作成者は、各界の「指導層」と同様すでに敗戦を意識しており、相当苦しい選択を強いられていること、たとえば偽であっても情報公開が必要などなこと、などが行間からうかがわれます。

 また、宗教の利用や、国体(天皇絶対主義)を「信仰」と言ってる点、その他現在の政府世論操作などとの比較も見逃せない点です。(出典:『資料日本現代史13』大月書店) 

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決戦輿論指導方策要綱(昭和19・10・6)
極秘
一、方 針
    輿論指導ハ国体護持ノ精神ヲ徹底セシメ敵愾心ヲ激成シ以テ闘魂ヲ振起スルコトヲ目的トシ国民ヲシテ知ラシムベシ倚ラシムベシノ方針ニ則リ特ニ輿論生起ノ根源ヲ衝キテ之ガ適正ヲ期ス

二、要 領
(一)輿論指導ノ内容ニ付テハ左ノ各項ヲ重視スルモ其ノ対象ニ応ジ適宜取捨按配スルモノトス
  (1)国体ニ対スル信仰ノ喚起昂揚
   (イ)先祖ヨリ継受セル国体ヘノ信仰ヲ喚起昂揚シ君民一体ノ精華ヲ発揚ス
   (ロ)皇土防衛ノ国体護持上絶対緊切ナル所以ヲ強調ス
  (2)宣戦ノ大詔ノ御趣旨ノ徹底
     戦争目的ヲ宣揚シ戦争完遂ガ皇国ノ自衛ノ為絶対ニ必要ナルコトヲ徹底ス
  (3)決戦的戦局認識ノ徹底
     戦局危急皇国ノ興廃ヲ岐ツベキ一大決戦ニ直面セルコトヲ一層強ク知ラシメ之ニ対処シテ国民総戦闘ノ決意ヲ固メシメ活發ニ実践セシム
  (4)究極ニ於ケル必勝確信ノ具体的基礎ノ明示
   (イ)必勝ノ確信並ニ之ガ方途ニ関シ具体的事実ヲ教フ
   (ロ)最後迄国民各自職分ヲ忠実ニ奉行(ママ)シ粘リ強ク戦ヒ続ケタル国ガ紙一重ノ差ニテ勝ツ所以ヲ解明ス
   (ハ)我ニ天佑神助アリ我ニ備ト地ノ利アルヲ以テ総テノ人的物的国力ヲ戦力化シテ一億協力大和魂ヲ以テ戦フ時ハ必ズ敵ヲ破リ得ル所以ヲ解明ス
   (ニ)外寇ニ対シ挙国総蹶起シテ戦ヘル結果ハ仮令一時危局ニ直面スルモ必ズ之ヲ突破セル歴史的事実を示シ国民的確信を強化ス
  (5)敵ニ対スル敵愾心ノ激成
     米英指導者ノ野望ガ今時戦争ヲ誘発シタル事実を解明シ且米英人ノ残忍性ヲ実例ヲ挙ゲテ示シ殊ニ今時戦争ニ於ケル彼等ノ暴虐ナル行為ヲ暴露ス
  (6)敵国内情ノ苦境ヲ暴露
     敵国ノ政治情勢及思想ノ変化、国民生活ノ低下、経済ノ逼迫、道義ノ退廃等ヲ暴露報道ス
  (7)決戦的戦時生活下ニ於ケル気分ノ明朗化
     国民生活ノ低下ニ伴ヒ之ニ堪フルノ心構ヲ強カラシムルト共ニ之ノ間ニ処シ猶明朗ナル気分ヲ保持セシムル如ク国民相互ニ信頼ト友愛トヲ以テ協力シ道義昂揚ノ雰囲気ヲ醸成ス
 (二)輿論指導ノ方法ニ付テハ対象ヲ適確ニ把握シ特ニ指導者層ニ重点ヲ指向シ徹底ヲ期スルモノトシ左ノ諸項ニ留意ス
  (1)報道宣伝ハ国民ノ忠誠心ヲ信頼シ事実ヲ率直ニ知ラシム殊ニ戦況(空襲ヲ含ム)ノ発表ハ率直且迅速ニ之ヲ為ス
  (2)報道宣伝行事等ニ付テハ機宜ヲ捉フルコト及国民ノ感情ニ即セシムルコトニ特段ノ工夫ヲ凝ラス
  (3)民間ヨリ自発的ニ起ル戦争完遂上有益ト認メラルル国民運動的行事ハ之ヲ活発ニ行ハシム
  (4)大政翼賛会其ノ他ノ外郭団体ノ相互調整及活用ヲ図ルト共ニ宗教家宗教団体ヲ一層活用ス
  (5)必要ニ応ジ政府ノ発言者モ国民ニ呼掛ク
  (6)国民ノ声ヲ活発ニ上通セシムル為メ措置ヲ講ズ
 (三)輿論指導ヲ活発ナラシムル為防諜及言論集会ノ取締方針等ニ付必要ナル再検討ヲ加へ之ヲ刷新ス
 (四)輿論指導ヲ効果アラシム為特ニ左ノ諸点ニ留意ス
  (1)誤レル平等観ヲ国民ニ植付クルコトニ因リ共産主義思想ノ温床ヲ作ルガ如クスルコトナカラシムルト共ニ特定ノ職域ニ従事スルモノノ歓心ヲ買フガ如キコトハ之ヲ避ク
  (2)国民生活ヲ不必要ニ圧迫セザル如クシ指導ヲ要セザルモノハ之ヲ其ノ発意ニ任ズ
  (3)社会各界ノ指導者層ハ自ラ深ク反省シ大衆ヲシテ必勝ノ信念ニ疑惑ヲ生ゼシムルガ如キコトハ日常ノ言動ニ於テモ深ク戒心スルト共ニ軍官民一致団結ヲ阻害スルガ如キ諸事象ハ急速ニ之ヲ排除ス

備考
 戦争遂行上抑制スベキ言論特ニ国体ニ対スル信仰ヲ動揺セシメ、軍事外交上ノ機密保持ニ支障ヲ生ジ、若ハ国内分裂ヲ招来スルガ如キモノ又ハ厭戦和平的ナルモノ等ニ対シテハ厳重ナル取締ヲ為スモノトス

 

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