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2008年7月12日 (土)

監視社会

 今朝あるテレビを見ていたら、若いお母さんが乳児を連れて電車に乗っても席をゆずる人がいないことから、電車内でマナーに反する行為をする人に注意を促すボランティア活動に参加する話を放映していた。

緑色の揃いのうわっぱりで、トラブル回避のためか警官のような服装の人も車内の隅に配置していた。取材の立場も、スタジオのコメンテーターも「物言えば唇寒し」の風潮と若い人の不作法を非難し、ボランティアを美化する内容になっている。

 その限りにおいては「そうだ、そうだ」という気持ちで見ていたが、ふと、戦時中の戯れ歌を思い出した。

 ♪パーバ(当時の子供は鼻水をつまらせている子が多く「マ」が「バ」に聞こえる)ネントに火がついて、見る見るうちにハゲ頭、ハゲた頭に毛が3本、ああはずかしやはずかしや、パーバネントはやめましょう。

 政府の「贅沢は敵だ」キャンペーンで、町を歩くウエーブをかけた婦人を見ると子供たちがはやし立て石を投げたりした。中には天然ウエーブの子供までその被害にあった。もうひとつ歌から。

 ♪トントントンカラリと隣組、格子をあければ顔なじみ……

 この方は国民歌謡で、毎日のようにラジオの電波に乗った。隣組は官製の住民末端組織である。物資配給の責任を負ったり防空班を編成、訓練に当たった。当然防犯にも意を用い、小学生も夕飯をすますと拍子木を持って「火の用心」と言いながら灯火管制で暗い町を回った。

 出征兵士歓送行事、留守家族援助もある。前の記事「世論指導」であげたように、当然戦争遂行、戦意昂揚に責任もある。「格子をあけ」て各家庭の状況把握も必要だ。かりそめにも町内から「思想犯」など出してはならない。

 ここまで思いが至ると、「チョット待てよ」という気がしてきた。「隣は何をする人ぞ」は戦後獲得した貴重な権利の一つではないか。憲法で保障された個人の行動や通信の秘密や個人の尊厳も守らなければならない。わが町の周辺でも、揃いの帽子を被った犯罪監視人や防犯カメラ設置が増えてきた。

 それで犯罪が統計的に減っているというから、効果はあるのだろう。アメリカではその筋による盗聴が合法化された。日本の社会は絶対そうなってはならない。住民の自発的活動は制限されるべきではないが、官憲や議員主導の旧・隣組的組織化には(たとえ左翼政党であろうとも)厳重な警戒が必要である。

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受信: 2008年7月12日 (土) 11時21分

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