北朝鮮の本音
北朝鮮の金剛山で韓国人女性が射殺された事件で、北朝鮮側は韓国政府による現地調査の受け入れを拒否、証拠提出や公文受信拒否などこれまでの積み上げを、一挙に白紙にもどすようなかたくなな態度をとっているようだ。
これで見ると、日本と約束した拉致問題の再調査、さらに踏み込んだ日本官憲によるチェックなどにとうてい応ずる構えはないだろう。いまのところ報道される事実関係を追うしかないが、アメリカのテロ支援国家解除の動きを受けて、金政権の姿勢に大きな変化がでてきたのではないだろうか。
つまり、「ならずもの国家」であっても「テロ支援国家」でなければ、東アジアの安定を考えた上で温存しておいたほうがアメリカの国益にかなう、ということだ。また、地続きの中国・韓国がおそれるのは、北の急激な崩壊で、内乱や難民殺到による被害を被ることである。独裁政権であっても話し合いができる相手がなくては困るからだ。
これまで日本では、各国の援助がなければ、明日にでも民衆蜂起などで金政権が崩壊するような情報が蔓延した。拉致問題表面化以来、何度かの天災被害もあって、政権崩壊が何度起きても不思議でないのに政権は微動だにしなかった。
このところの6カ国協議や、韓国に対する変化を見ていると、金王朝維持のためには改革解放はしない方がいいと思いついたのではないか。アメリカとの緊張緩和があれば、もはや日本・韓国の経済支援は急がないでいい、民を「生かさず殺さず政策」のもとにおくにはその方がいいということだ。
テロ支援国家解除で、欧州など遠国は競って資金投入や利権を求めてやってくる、それだけで十分だと考えているのではないか。6カ国の核廃棄見返り重油を要求しているが、これは、停電恒常的な停電緩和のためで、そんなに緊急性のあるものとは思えない。
そうなると、福田首相の「私の任期中に解決」は非常に難しくなるだろう。日本は次の手を早く考えないと、また後手に回り、国際的な孤立の淵に沈まなくてはならなくなる。それもあえて辞さずというのか、あるいは誰も考えない奇想天外の手があるというのであろうか。
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