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2008年6月 6日 (金)

漂流する「安保」7

 ようやく今回で現行安保条約の中味に入る。旧安保との違いや、その本質をさぐってみたい。まず、名前が変わった。前は、日本国とアメリカ合衆国との間の「安全保障条約」、今度は「相互協力及び安全保障条約」である。

 これはスンナリ決まったが、アメリカ側は頭の片隅に軍事を置き「決して片務条約ではないよ」という国内向けのアナウンスがあり、日本側は、軍事というより経済も含めた幅広い条約、として国内の反対運動の過熱を抑えたい思惑があったようにもとれる。

 その経済条項は第2条にあるが、問題となるのは第3条である。
     第3条 締結国は、個別的に及び相互に協
        力して、継続的かつ効果的な自助及び相互
        援助により、武力攻撃に抵抗するそれぞれの
        能力を、憲法上の規定に従うことを条件とし
        て、維持し発展させる。

 これはうっかり読みすごしてしまいそうだが、アメリカの上院がおこなったいわゆるバンデンバーグ決議(1948)を下敷きにしている。その意味は、条約を結ぶ国は自ら国を守る能力を養成し、その上で協力・援助しながら双方の防衛力を高めるのでなければ、その条約は無効であるとする、という決議である。

 したがって、NATO条約、米韓条約など同種の相互防衛条約にもこの条文が入っている。最後に「憲法上の規定に従うことを条件として」という文言があるが、前文に「個別自衛権」「集団的自衛権」という国連憲章にある権利を認め合っていることから見ると、明らかに日本国憲法9条との間に矛盾がある。

 日本にその能力も意思もないと判断を下すのは、アメリカの上院である。そうなれば、そのあとの条項にある防衛義務、協力義務なども無効ということになる。このような決議がなされたのが、冷戦まさにたけなわになろうとしていた時期であることを思い起こせば理解できるだろう。アメリカは無条件で日本を守ってくれるわけではない。

 第5条は日本の領域に対する攻撃に双方が共同して対処することを宣言している。旧安保では米軍の駐留を認めただけで防衛義務までうたっていなかった。日本国内の「内乱鎮圧」と「外部からの武力攻撃」に寄与するために駐留軍を使用することができる、という範囲にとどまっていた。

 旧安保もそうだが、新安保も問題は駐留米軍配備の目的である。いずれも日本領域の安全以外に「極東における国際の平和及び安全の維持に寄与する」とあり、日本と関係のないことにも使う権利があることを忘れてはならない。ベトナムであろうが中東であろうが、日本の基地から作戦行動を起こせるということである。

 これには、条約とは別の「事前協議」の取りきめもあるが、核兵器搭載艦の日本立ち寄りなどを見てもわかるとおり、軍事機密や両国の力関係でしばしば空文化されていることは周知の通りである。以上のほか、基地問題の根底に横たわる旧安保の「行政協定」、新安保の「地位協定」による特権付与、あるいは、対象地域の「極東」をさらに拡大していく過程があるが、これらについては項を改めることにしたい。

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