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2008年6月14日 (土)

続冷戦式文化

  岩手県、宮城県のみなさま、地震のお見舞いを申し上げます。

 昨日の考古学の話題に続けるわけではないが、「続縄文文化」という考古学の分類がある。北海道・東北北部には弥生時代がなく、縄文文化から続縄文文化に移ったという説である。縄文文化の栄えた三内丸山遺跡や亀が岡遺跡を見たあと、見事な水田跡が発見された弘前に近い田舎館の資料館を見学した。そこでは、土器の文様なども弥生式の変形のひとつのように見えた。

 素人目には明らかな劇的変化である。これを「続」ですますのは、古代・中世にこの地域に住む人々を「蝦夷の後進性」で差別した後遺症のような気がして、某考古学者に質問したことがある。しかし反応はにぶく、納得できる説明は得られなかった。

 話は大きく変わって、日本の防衛・安全保障の話である。かねて、安倍前首相や一部右派政治家、制服組自衛官、防衛省幹部の中には、中国・朝鮮・ロシアを古典的な共産主義の国と決めつけ、その侵略に備えるのが国防であり、日米同盟の存在価値だと思っているのではないか、と疑ったことがある。

 だけど、ネット掲示板上ならともかく、名だたる高官の中にも確実に、そして真剣な「続冷戦文化人」がいることがわかった(「クラスター年表」最後尾を参照してください)。そのように信ずる理由は、本人に聞かないとわからないが、自衛官は米軍との共同訓練をする際、黄色国だとか青色国だとかといって仮想敵国扱いしているところから来る被害妄想に違いない。

 もう一つは、共産主義者とは「価値観が違う」、極端に言えば言葉が通じない邪悪な宇宙人のような見方をする人である。まあ、旧共産圏にいる人でも、いまだにそんな固定観念を持ち続けている人はいないだろう。革命の輸出をたくらむような余力はすでにない。

 このような、洞察力のない小児病的な情感にもう一つの要因が加わる。それを端的に言えば、中国などの度重なる謝罪要求と激しい反日感情、北朝鮮による日本人拉致や核兵器などによる恫喝である。それらの国が体制維持と国内統一の必要上、対日批判を容認し教育・宣伝に利用してきたことはまぎれもない。

 しかし、これは共産主義とは全く関係ない。時として、台湾・韓国もこれに同調することを見てもわかる。それは日本人への不信感に根ざす。また、これが先方国への不信感としてはねかえり悪循環となる。防衛力増強もいいが、まず、相手の立場に立って考えてみるくせを日本人はつけるべきではないか。かりに敵であろうとも「敵」を知り、「己」を知らなければ戦いに勝てない。

 まず、北朝鮮。金正日は、日本人拉致が「国家的犯罪」になるなどとは爪の先ほども思っていない。なぜならば、戦時中の敵国に工作員を潜入させ、戦争に役立てるのは当然だからだ。直面する韓国には大勢の工作員を入れ、日本とは比較にならないほど大勢の人を拉致し、攪乱工作もした。程度の差こそあれ、韓国も同様なことをしている。

 なぜ日本が敵なのか。正日の父・日成は抗日パルチザン、つまりソ連領内の対日ゲリラ要員として名をなした人だ。つまり、朝鮮が日本領時代から戦い、独立を勝ち取った英雄である。その戦争が終わらないうちに朝鮮戦争が始まった。

 米軍は日本の基地から発進し、日本は特需にわいて戦後経済復興の起爆剤とした。そればかりか、日本の海上保安庁は連合軍の元山港上陸にそなえ、掃海艇を派遣して戦死者までだしている。日本人は中立国のつもりでいるが正日の目から見れば違った。しかし日朝首脳会談でわびを入れ、これにけりをつけようとしたのだ。

 次ぎに中国。日露戦争が終わってから日本軍はずーっと中国に駐留し続ける。第一次大戦後、日本は国際常識を越えた負担を中国に強要した。それからは謀略や満州独立工作で、ついには南京占領にまでエスカレートした。反日運動はちょっとやそっとのつけやいばではない、大正時代からのものだ。

 日本がアジア解放のため戦ったとか、第二次大戦が自衛だったとか、中国人から見てどううつるか。そしてやっと始末をつけたはずなのに、日本は、靖国神社にA級戦犯を祀り国粋主義復活の教科書を作る。すると再び同じ目に合うのではないか、と心配するほど猜疑心は強いのだ。

 反共のチャンピオン・アメリカの軍用機が救援物資を国内に届けても、自衛隊機は行けない。この落差に「続冷戦文化人」は早く気づいて欲しい。続冷戦文化のままでは、これから先、絶対新しい時代には入っていけない。

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