安全保障を公約に
毎日新聞は22日、「各党は選挙公約作りを急げ」と題する社説を掲げた。国会は一足先に夏休みに入ったが、日本の将来にかかわる中長期の政策課題は、積み残されたままである。毎日新聞は、早期の衆院解散をうながし、その際の国民の判断基準となるべきマニフェストづくりを急ぐべきだ、と主張している。
当然至極のことで、何も申し上げることがなさそうに見えるが、やはり読者としては物足りないものがある。なぜ各党が早々と政策の具体的目標を明示しないのか、また、国民が選択すべき重要課題がどれほどあるのかの説明がないからである。
2本立てで限られたスペースの社説では、ここらが限界かも知れないが、なんらかの工夫でもっと踏み込んだものにしてほしかった。そうしないと、単なるお願い、要望ベースになってしまう。前回の参院選がそうだったように、選挙民向けの無難なキャッチフレーズだけが先行し、争点かくしや議論先送りのものしかでてこなくなるだろう。
同社説では、年金、医療など社会保障制度のあり方が争点になるだろうと言っている。また、それにからめた福田首相の消費税引き上げ発言に注目している。いつから何%にするなどの増税公約は、党内や公明党の同意をまとめることが本当にできるのか、かりにできたとしても、それを公約として掲げることに候補者が納得するかどうか、はなはだ疑問である。(23日夕刻の首相会見で2、3年先の課題と後退発言)似たような問題はほかにもあるだろうが、ここでは憲法、安全保証問題を取り上げたい。
去年の参院選では、安倍首相が早々と憲法改正を公約として打ち上げた。それに対して、民主党は最後まで「9条を守る」とはいえず争点化を避けた。これも党内に異論があったからだろう。小泉政権の延長線上にあった安倍政権は参院選で惨敗を喫した。そしてさらに福田内閣に変わり、安全保障、ことに外交政策で大きく変わったように見える。
しかしこれは、公約として約束されたことでなく福田首相の資質によるものである。首相を待ちかまえた最初の難関はテロ特措法であった。3分の2再決議によりようやく洋上給油を再開したものの、来年1月には早くも期限がくる。また、高裁で違憲との判断が下されたイラク特措法も8月までの寿命だ。
これまでのいきさつから、民主党の延長反対は当然として、与党はこれにどう答えるのだろう。また議席の3分の2をとって続行しますというのだろうか。アメリカの大統領選もある。もしオバマ氏当選なら公約通り「変えます」になるのに、「日本は変えません」のままいくのだろうか。是非聞きたいところである。
また、2010年には国民投票法の凍結期限が切れて憲法改正案を議会に上程できるようになる。これに対してどういう姿勢で臨むか、候補者の意見を聞かなくてもいいのか。国民生活に直接関係する福祉政策は大切だが、争点はテクニックの問題にしぼられ、妥協点が見いだせないものとは思えない。
これに対して安保・外交方針の方は、憲法や日米同盟のあり方をめぐり大きな対立点を内蔵している。こういったことを、戦時体験のある者としては、とても為政者に一任することができない。アメリカの大統領選では1年以上もまえからイラク問題や安全保障に対する外交方針を公約として掲げている。日本ではどうしてできないのだろうか。新聞社はこういうことにも答えて欲しい。
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