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2008年6月25日 (水)

福田政策の源流を見る①

 福田首相は、小泉・安倍両首相のしりぬぐいに精一杯で、顔が見えないとか独自の政見を持たないなどと言われてきた。それ以前も、衛藤征士郎・元防衛庁長官との対談を内容とした著書があるだけで、安倍前首相の『美しい国へ』や小沢代表の『小沢主義』のような、政治信条とか個性を前面に出した自著があるわけではない。

 就任1周年にさしかかるこの秋口からの与野党政治攻防で、彼独自の本領が発揮できるかどうか、まさに正念場を迎えることになる。そこでどのような福田流が見られるか、それを占う意味で、昨年の参院選を目前に控えた6月22日、彼自身による「これからの国際協力のあり方」と題した講演に注目したい。

 この講演は、NPOエネルギー・環境・文化・国際協力協会(理事長 豊島格)の主催により、都内赤坂区民センターで行われたもので、以下の内容は、雑誌『石油文化』(石油文化社)が要旨としてまとめ、07年第3号に掲載したものである。このたび同誌の諒解を得てその全文を転載することにした。

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  ▼これからの国際協力のあり方▼
        福田 康夫
衆議院議員 元内閣官房長官(07/6/22当時)
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■少子高齢化、人口の減少

 今日、日本では重要課題として少子高齢化、人口の減少化などがあげられている。人口が減少するということは需要が減るということであり、経済の発展に大きな影響を及ぼす。その結果、国民の負担がふえることになる。

 参議院選挙が終わると、消費税率引上げ問題が浮上するのではないかといわれているが、同時に年金問題として、年金をもらう方々の年金額が減少し、それを支えている若い人たちの負担が重くなるという重大な問題もある。

 私は、国民にとって必要不可欠な年金制度のあり方について、現在の悲惨な状態から健全なものにするためには、天引きに近いような形で徴収することが望ましいと思っている。

 いわゆる税金や保険、年金といった国民負担は、わが国は大体収入の40%を若干切るぐらいであるが、ヨーロッパでは60%とか70%というところもある。しかし、わが国で消費税が上がれば負担率が高くなるし、その負担率はこれから上がる一方であると考えておかなければならない。
         
 このように考えると、今の若い人たちは将来に対して希望をもてるだろうか。ましてや日本の経済全体が昔のように右肩上がりなるという状況は望めない、自分たちの将来、今よりも悪くなるのではないかと、非常に暗たんたる気持ちになっている人たちが多いのではなかろうか。

 では、これからどうするのか。経済成長を少しでも増やさないと、今のような状況ではわが国はじり貧となり、やっていけなくなる、という心配が出てくる。

■海外との良好な関係を

 経済成長を高めるためには、国内では人口が減少するから、海外に目を向けるしか対策はない――この方策はすでに始まっており、現在国際取引が活発に行なわれている。これが経済成長のための重要な要因となっており、海外取引によって国内の需要も経済も大方、活性化している。

 今後も海外との関係を重視して、国内と海外を一体化して経済の発展に努力する必要が肝要であるが、では、海外との関係をどのようにして強化していったらいいか。

 かつては日本で物を作り、それを海外に輸出していたが、今は、もちろん輸出もしているが、同時に海外に投資して工場をつくって物を作り、日本にもってきている。そして企業全体として利益をあげ、それを日本に還元している。わが国の経済成長はこのようにして達成されているということを、よく認識しておく必要があると思う。

 アメリカはあまり物を作らないようになった。自動車でも日本や韓国の生産台数が多くなったし、飛行機などは旅客機の胴体や翼の大部分は日本製である。アメリカは経済効果からみて国内で作るよりも日本で作ったものを輸入する方が得策とみているのかもしれない。

 このようにアメリカの製造業は減少しているが、しかし、それを補って余りあるほどの他の産業、いわゆるサービス産業や金融業を起こしている。日本がアメリカの製造業の補完的役割を果たしているわけであるが、それが過大になると、日本は怪しからんと非難をあびることにならないか、と懸念する向きもあろう。

 かつてはそういう事態が起こった。20年ほど前、日本はアメリカに年間235万台の自動車を輸出しており、アメリカから何とか減らしてほしいとの要請があった。そのとき自動車業界は自主規制により160万台まで減らしたが、これは大変なことだったと思う。こうして日本は輸出を続けることができた。

 現在も、アメリカをはじめ外国に投資している企業は、投資相手先とうまくやってくれないと困るわけで、日本の投資は侵略的・略奪的拡張をねらいとしているとかで、対日排斥運動が起きたら大変な影響を被ることになる。

 したがって、両国の関係を悪くするような経済進出というか、そういったものは絶対に避け、友好かつ順調な外交関係を確立・維持する必要がある。そのための最大の前提条件が、国際平和がつづくことであることは、いうまでもない。そしてまた、対外投資をするのであれば、相手国の成長・発展に少しでも貢献することを目的としなければならない。

 こうしたことが終局的に日本の利益に結びつくことになり、外交を含め、企業も然り、そして一般の国民も友好関係を保つことに意を尽くしてほしいと思う。

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(日本の評価、憲法、軍事力、エネルギー、環境問題などは次回へ=管理人)

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