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2008年5月20日 (火)

単右の論理

 私は「ネットウヨ」という言葉が、余り好きでない。多様な考えをひとくくりにしてしまうからだ。しかしほかに代わるべき言葉が見つからないため、ここでは単に「右」=「単右」と呼ばさせていただく。その上でよって来るところの発想・傾向・論理を考えてみたい。

 まず、単右は古来ある「右翼」と全く異質のものであるということである。戦前右翼のほとんどがアジア主義者であった。よく使われた言葉として「大陸浪人」という呼称があるが、中国・朝鮮人を同胞と見なし、大陸に渡って独立や革新運動に手を貸した。

 それに反して、単右の特徴は反中・嫌韓だけに特化(特定アジアという)して激しく反応することである。その理由は、単右個人に内在する差別意識を除くと次のような動機がありそうだ。
 1.かつて在日中国・韓国人による凶悪犯罪や日本なかった手口の犯罪がさかんに報道されたこと。
 2.北朝鮮の工作員の行動が明るみにでたこと。さらに同国が核やミサイル等による脅迫をしたこと。
 3.侵略の謝罪要求を何度も繰り返すこと。
 
 そのほか、教科書問題、靖国問題、反日デモその他数え切れないほどの摩擦要因があるが、いずれも上記に端を発するさまざまな現象と言っていい。こういった現象と波長を合わせるように単右を駆り立てたのは、単右自身でなく、日本会議や新しい教科書を作る会などに集結したナショナリズム復興運動であろう。

 ここが、左翼(マルキシズムに影響された)の「自虐史観」を攻撃の的とし、単右を精神的・理論的に支える総本部の役割を果たした。これに幾人かの学者・ジャーナリスト・評論家が乗り、政府や週刊誌・総合誌が彼ら彼女らを利用した。この構図は、すでに10数年続いているが、世界にグローバリズムが風靡するようになった時期に符合する。

 さて、総論は別として、このブログにもチベットの騒乱がきっかけで単右の方の来訪が明らかに多くなった。どうしてもわからなかったのは、単右が「反戦」「護憲」「9条の会」といったテーマを持つところ標的にしたことである。チベットはもとより、中国・朝鮮とは直接関係がないにもかかわらずである。

 なぜそうなったかだが、「凶悪な《特ア》のために、日本を武装解除して相手の進攻を呼び込む運動している」という文脈に関係がありそうな気がしてきた。自虐史観や媚中外交よりもっと悪質で売国奴の集団という評価となる。常識はずれの被害妄想であるが、扇動者がいたとしてもこれに同調する単右は決してすくなくない。

 的はずれと言ってしまえばそれまでだが、こういった現象を生ずることは護憲運動側にも問題があったのではないか。すなわち、単右を冷笑したり無視したりするのではなく、筋の通った疑問や批判に対して、丁寧に答えられるような準備が必要だということである。当塾としても心がけておきたいことだ。

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コメント

 私から見ると、単右が「9条」「護憲」を嫌うのは、特アのための非武装化を疑っているというよりは「戦前の日本の対外政策は悪」「戦争は絶対悪、従って軍備も悪」という(次のエントリの言葉を借りれば)一種の「平和原理主義」への反発ではないでしょうか。平和原理主義が結果的に特アを利するという見方はあるでしょうね。
 単右が結局的外れになってしまうのは、彼ら自身もまた原理主義に陥っているからかと。(笑)
 貴塾はどちらとも距離を置いているとお見受けしています。

投稿: locust72 | 2008年5月21日 (水) 17時52分

locust72 さま
 相手の正体がつかめないのに分析をするしいう、このエントリーがそもそも矛盾してますよね(笑)。
 それを承知で兄のご指摘を分解させてください。
 「戦前の日本の対外政策は悪」=当塾では侵略の意図が見え始めたのが第1次大戦、露骨化したのが対華21箇条要求、後戻り不能にしたのが満州事変で「悪」とします。次に「戦争は絶対悪」=「正義の戦争」などない、という点では同じ。「従って軍備も悪」だけはNOで、外国で武力行使をしない自衛力は養うべき、という主義です。単右の前2者への反発は小林よしのりのマンガでしょう。やはり本物の「歴史の教訓」は重いなあと思います。

投稿: ましま | 2008年5月21日 (水) 20時40分

国際的な分類でいえば、「ネオ・ファシスト」に該当するのだと思います。
「ネット右翼」という言い方は、既成の右翼から、「一緒にしないでくれ」との申し出があったため、それに配慮してのことですね。
しかし、具体的に「日本会議」などの既成右翼が組織的にネットで活動しているとの指摘もありますので、どこまで既成右翼との違いがあるのかはっきりしない面もありますね。

投稿: Runner | 2008年5月21日 (水) 20時45分

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» 右翼の分類法 [罵愚と話そう「日本からの発言」]
 ネットか街宣かなんて、分類法には、あまり意味がないと思う。「ネットウヨ」があって「ネットサヨ」がないのは、むしろ、その歴史認識が理由だと思う。  端的に言えば、侵略史観か、自衛戦争史観かの二者択一だ。左翼が侵略史観で一致していて、自衛戦争史観なんか言い出したら左翼のレッテルがはがされてしまうのに対して、右翼には歴史認識が混在しているんじゃぁないのかなぁ?  もっと、それがどぎつくあらわれるのが靖国問題だ。近隣アジアとの友好のためなら、A級戦犯を分祀してもかまわないという戦後保守と、合...... [続きを読む]

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