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2008年5月28日 (水)

漂流する「安保」6

 60年安保をどう評価するかはたしかにむつかしい。現在、安保に肯定的な陣営も否定的な陣営も、締結当時の姿勢そのままで思考停止の状態にある。すなわち、同様な同盟関係にあるヨーロッパ各国は、対米関係で比較的フリーハンドを持つように見えるのに対し、日本は全く硬直的である。

 ヨーロッパは、ベルリンの壁崩壊という身近な体験から東西対立を過去のものとし、EUやNATOなどを構成する多くの国の中の1国という立場でアメリカに対応している。また、38度線という厳しい対立を背負ってきた韓国も決して平板ではなく、独自の位置づけをしている。

 これに対して日本は、東西対立といっても想像の範囲を超えるものではなく、アメリカ従属で安逸をむさぼってきた。これは左翼陣営とて同然である。また、北朝鮮の拉致問題に対する国民感情というのも、こういったことから国際的な理解を得ることを困難にしている。

 アメリカの大統領選の行方は不透明ながら、「9.11シンドローム」そしてパックス・アメリカーナ(米国独占支配)の終焉は間もないだろう。半世紀の間にこういった3段階の変化を迎えようとしているとき、いまだに東西対立の夢から抜け出せない、特に最も先駆的であるべき若い世代に少なくないのが問題だ。

 アメリカは日本が共産化することを恐れた。現安保はその「あかし」の意味であり、どんな場合でも自らの犠牲をいとわず、日本を守る「お友達の義理」などはない。それを自覚している政治家・国民はどれほどいるだろうか。

 太平洋をはさんだ隣国であるアメリカとは、当然仲良くしなければならない。孤立するアメリカは決して日本にとって利益ではないし、日米同盟を解消する理由もない。しかし、自衛隊活動の違憲状態を解消するために、今というか、これから為すべきことは、日米対等の立場に立った思い切った戦略目標見直しをすることである。そうすることで、ようやく60年安保の評価が定まってくる。

 その交渉のパワーを得るためには、岸首相がかつてそうしたように東南アジアへの影響力拡大、これからは、日中韓の緊密な連携を確保し、世界で軍縮、環境などに主導的役割を果たすことである。もはや札びらをふりまわす経済力の時代は終わった。そして最後まで残されている利器が、9条を持つ「日本国憲法」であることを忘れないことである。

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安保」カテゴリの記事

コメント

 それって、60年安保とどう関係するの?むしろ、大東亜共栄圏のリバイバルのような、古臭い感じがするんだけれど。

投稿: 罵愚 | 2008年6月 1日 (日) 17時48分

アメリカの極東政策は歴史的に公平・公正な市場開放でした。そのためには東アジアの安定は必須条件です。現在でもその筈です。
日本がそれに貢献できるなら「大東亜共栄圏」でもいいではないですか。戦中のそれは、後付けの誰も信用しないみっともない標語でしたが。

投稿: ましま | 2008年6月 1日 (日) 19時45分

 ごめんなさい、よく理解できないので、もうちょっとご説明いただきたいのですが、アメリカの市場開放政策は、東南アジアをターゲットにしたものではない。中南米は、ちょっと別なんですが、ヨーロッパだろうとアフリカだろうと中東だろうと、その根底にあるのは市場開放政策だと思う。ただ、アジアの特殊事情は中国の共産党政権と呼ぶ冷戦時代の永久凍土がこの地域に生き残ってしまったことだ。
 そこで経済政策としての市場開放政策だけを振り回すわけにはいかない。外交政策や安全保障政策としての対中国外交が無視できないわけです。冷戦後、NATOが変化して、日米安保が変化しない原因だと思う。しかし、この話題は、日米二国の対中戦略の話題であって、地域的にはせいぜい東シナ海と日本のシーレーンを越えるものではない。
 ところが突然、あなたはこの話題に東南アジア諸国を登場させている。日米安保体制と東南アジアが、どう関連するのか、そこのところが理解できません。

投稿: 罵愚 | 2008年6月 2日 (月) 05時42分

コメント欄の性格上短くご返事します。
東南アジアとはASEAN諸国、東アジアは日、中、朝鮮としましょう。
まずアメリカ。中東は特殊なので別として、アメリカは自国の商圏が維持され、市場か公平に開かれ、かつ安定していれば、共産党政権でも気にしない。昔は思想の輸出とか代理戦争がありましたが・・・。
東アジアの不安定は、台湾海峡の緊張、日、中、朝の不和や日本の核武装などです。
私は共同体、EUにしろASEANにしろ非常に高く評価してます。頼りないところはありますが、隣国、周辺国との戦争は皆無です。また経済面でも効果をあげています。中国、日本はここで主導権を争っていますがASEANは双方が争うことを願っていません。
昨日のASEAN安保会議に出席した石破さんと中国参謀長が出したコメントでこのあたりの空気がよくわかります。

投稿: ましま | 2008年6月 2日 (月) 09時03分

 ますますわからない。アメリカに分割統治されるのですか、それとも自発的にグループを形成すると、なぜ平和になるのですか?

投稿: 罵愚 | 2008年6月 2日 (月) 10時54分

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受信: 2008年5月28日 (水) 19時09分

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受信: 2008年5月29日 (木) 11時15分

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