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2008年5月30日 (金)

自衛隊機キャンセル

 われわれが知ることのできる外交情報は、テレビ・ラジオと新聞である。ネットもあるが、ここから新鮮な情報を正確に把握するするのは困難だ。昨日のエントリーで書いたことにも、新聞の書きぶりから一抹の不安がなかったわけではない。

 しかし、自衛隊機の四川地震救援物資輸送が、中国サイドの理由でキャンセルになる可能性はすくないと見ていた。その理由は日中双方に慎重論はあるものの、被害の深刻さとこれまでの流れから見て、中国首脳部の指導力が発揮されると考えたからだ。

 日本政府は、要請ルートその他で最初から危惧を抱いていたものと察せられる。結果として中国外交の不手際や内部不統一を天下にさらすことになった。ネットを中心とする国内世論に汲々としているのかどうかわからない。ギョーザ事件でもそんなギクシャクぶりがうかがわれた。

 オリンピックで国威発揚をはかりたかった胡錦濤政権にとって、また弱みをひとつふやした感じだ。日本はそんな境遇にある政権の足をひっぱってはならない。ここは冷静に着々と被災者救援を続け、地域の安定に風格ある貢献を心すべきだ。

 さて、新聞社説のホローだが、読売・朝日の2大紙は依然沈黙したままだが、1日間をおき、この事態を受けて有力ブロック紙中日・東京と北海道新聞が社説を書いている。一呼吸おいたことが効を奏した感じだが、結論は当塾の主張に似ている。

 昨日のエントリーでは、最近の新聞報道にどの程度信頼性をおくべきかについてもふれた。今日の毎日新聞の1面トップは、「クラスター爆弾・日本、全面禁止に同意・首相指示で一転」である。当塾のカテゴリーでも追ってきたように「毎日」は独自のキャンペーンを張ってきたにしては、遠慮がちな扱いである。

 一方、YOMIURI ON-LINE によると「12月の署名式にも出席し、条約を締結する方向で近く最終判断する」としながら、文末には「日本政府は条約の内容自体は認め、採択では反対しない方針を固めたが、締結しなければ国として条約上の義務を負うことにはならない」というどっち着かずの矛盾した表現だ。

 ブログでニュースに早く反応することは大事だと思うが、下手に反応できない。速報性と確実性の二律背反を背負う新聞報道ではやむを得ないことかもしれないが、日本外交が中国と似たような評価を受け、不信感をもたれないよう、メリハリははっきりつけるべきではなかろうか。

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コメント

 対人地雷もクラスター爆弾も、自衛隊が海外で使用する想定は、まったくない。ゲリラの国内潜入だって、少数だろうから、この兵器を使用することはありえない。想像できるのは、大量の武装難民への対応だ。、、としたら、ターゲットは共産中国と北朝鮮だ。この兵器の保有に反対する、国内の政治勢力が、なにをたくらんでいるのかは、歴然としていると思う。
 まぁ、それはそれとして、地球上に遺棄された対人地雷の多くの部分がメイドインチャイナだ。回収作業をとおして、その地雷原無力化の能力を磨くことができる。
 オスロ・プロセスには、クラスター爆弾の最大のユーザーであるアメリカと、保有国であろう共産中国とロシアが不参加だから、実効性は疑問だが、条約をかいくぐる新型クラスターの開発競争は、当然激化するだろう。
 武器輸出三原則をみなおして、非核・通常兵器市場への参入は、経済効果も外交政策としても、有効だと思う。

投稿: 罵愚 | 2008年5月31日 (土) 05時10分

天木さんが紛争地帯に赴任していた元外交官の立場から、「軍隊」というものが外国に入ることの難しさについて述べています。

http://www.amakiblog.com/archives/2008/05/30/#000904

確かに、阪神大震災の時には在日米軍から支援の申し出がありましたが、日本は断っています。軍事同盟を結んでいて、既に国内に駐留しているのに断っているのです。
たとえば、今後噂されている大震災が日本で起こった場合、中国の人民解放軍の支援を日本は受け入れるのかという話でもあると思います。

投稿: Runner | 2008年5月31日 (土) 15時03分

罵愚 さま
>大量の武装難民
世界一の哨戒能力を誇る自衛隊の目をかいくぐり、空挺でも上陸用舟艇でもなく、商船なら港に着くしかない大量難民がやすやすと上陸するいい手は?漁船?。

RUnner さま
イラクもアフガンも軍隊という名のつくものはいてほしくない。用がすめばサッサと帰ればいいんです。私は自衛隊が行くなら武器を持たず迷彩服も着ずにいけ、と言っているんですが。

投稿: ましま | 2008年5月31日 (土) 16時50分

 そうなんですよねぇ、防衛省は制空権も制海権も剥奪されて、上陸部隊が侵攻してきたケースなんていっていますが、これもあまりリアリティーのある話じゃぁない。
 チャイナクライシスなのか、コリアクライシスなのかもわからないが、大量の武装難民が漂着するケースでは、海上で阻止できれば地雷もクラスター爆弾も無用だ。人道的配慮とやらで…国内で騒いで手引きするやからもいたりして、上陸を許してしまったあとしまつが、かえって悲惨な結果になってしまう懸念です。

投稿: 罵愚 | 2008年6月 1日 (日) 17時40分

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受信: 2008年5月30日 (金) 18時37分

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受信: 2008年5月30日 (金) 21時14分

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受信: 2008年5月31日 (土) 05時02分

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