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2008年5月31日 (土)

原油暴落の日

 「石油の値段」というタイトルでエントリーしたのが3カ月前の2月28日である。以来、この題へコンスタントな検索が入るようになった。その記事にニューヨークの原油先物価格が「初の102ドル台に入った」と書いた。それが、5月28日の終値で131.03ドルとある。

 なんと毎月10ドルの高騰ぶりで、むちゃくちゃとしか表現のしようがない。この間、ガソリン価格は暫定税額の失効、復活などのさわぎなどを横目に、末端価格は170円を超えようとしている。2002年の年初に20ドル台だった原油が6倍以上になる理由は何か。

 経済産業省は、最近昨年度の「エネルギー白書」を発表した。その第1章は「原油高騰の要因及びエネルギー受給への影響の分析」で、A4で31頁(同省HP所載)を費やしている。ふんだんにグラフを使って丹念な説明を試みているが、価格要因のファンタメンタルズとして上げた需要・在庫・供給に大きな変化がなく、このところの暴騰を説明できる材料が見あたらない。その説明といえるのが、最後に付加された「先物市場」の影響で、膨大な投機資金が30~40%実勢価格を押し上げている、と分析している。

 ところが、このところちょっと気になるニュースが出てきた。以下は5月30日のNHKニュースである。 

 原油の高値推移が続くなか、アメリカの先物市場の監督を担う商品先物取引委員会は、原油の相場が操作されていないかどうかを確認するため、去年12月から調査を続けていることを明らかにしました。

 商品先物取引委員会は29日、去年12月に原油の取り引きに加えて、運搬や保管をめぐって問題がないかどうか全米の企業を対象に調査を開始し、現在も続けていることを明らかにしました。これについて、委員会は「継続中の調査は日ごろ明らかにしないが、現在の未曽有の原油高を踏まえて発表することにした。原油相場が操作されていないかどうかを確認するねらいがある」と述べ、異例の措置に踏み切ったと強調しましたが、詳細は明らかにしませんでした。一方、委員会は原油の先物市場の透明性の向上を目指し、イギリスの金融監督当局と協力して大手投機筋の取り引きに関する情報収集を強化するなどの対策もあわせて発表しました。原油をめぐっては、現在もニューヨーク市場で1バレル・120ドル以上の高値が続き、これを背景にガソリンも1年前に比べて30%以上値上がりしており、原油高はアメリカで大きな社会問題になっています。

 社会問題化しているのはアメリカばかりでない。このところヨーロッパその他各国での抗議が連日報じられ、バイオガソリン生産のため穀物価格が暴騰して発展途上国の貧困階層に飢餓状態を招き、日本でも深刻な影響がレポートされている。

 これまで、不透明さの多い原油先物市場の魔性が不問にされてきたことがおかしい。寺島実郎・日本総合研究所会長は、マネーゲームを抑制するため、国際機関が為替取引に課税するなどの構想を検討すべきだと、講演で主張している。しかし、ここに手を突っ込まれると、投機資金が先を争って引き上げる可能性がある。その結果、アメリカ経済は、サブプライムローン問題に加えて抜き差しならぬ混乱におちいるだろう。

 日本をはじめ世界各国も金融不安から逃れることはできないが、ドル安、ドル離れはさらに進み、金融資本はよりましな通貨に回るだろう。東証では、続いていた外国人の売り越しがここ8週間は買い越しに転じ、その額928億円にのぼると発表した。まさか原油暴落の前兆ではないとは思うが……。

この後の記事「エネルギーの将来いつか来た道 2」および「いつか来た道」も参考にしてくだざい。

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