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2008年4月17日 (木)

迫る巨大噴火

 昨16日付毎日新聞の「記者の目」は、非常にユニークな記事で、同紙の目玉であるこの企画の面目を遺憾なく発揮したものだと思う。記事は、九州・島原支局の山崎太郎記者の書いたものである。島原と言えば90年に噴火した雲仙・普賢岳だが、そんなことでもなければ、まず、全国向けの記事を書ける機会はないだろう。

 最近、テレビ画面にしばしば登場するのは、7月のサミットをひかえた洞爺湖畔に建つ会場と美しいバックの光景である。これが巨大噴火による陥没カルデラの縁にあたることは、一応の勉強をした人なら知っている。湖の中に火口を持った火山、水がなくても回りがお盆の縁のような外輪山、といった地形は日本のいたる所にある。

 NHKの大河ドラマで今年の観光は鹿児島に脚光、と言うことだが、桜島をとりまく鹿児島湾そのものが巨大カルデラのあとなのだ。九州は肥前・肥後、つまりヒ(火)の国である。中央部にどっかり腰を据えた阿蘇外輪山の内側も、鹿児島湾と同様直径20㎞の巨大カルデラである。

 こういった、カルデラを生むような噴火は、もはやあり得ないのかと思っていたら、必ずしもそうではないのだという。日本では数千年~1万数千年に1度おきており、「もうすぐ満期」だとこわいことをいう。もし阿蘇山クラスの噴火があれば、全九州は火砕流と火山灰で壊滅、地球温暖化どころか寒冷化の引き金にすらなりかねない。

 そんな火山列島日本で、山崎記者は「火山の防災力は低下する一方」だと警告する。噴火予知に携わる大学の研究者はわずか40人ほどで、それも先細りが避けられないという。国立大学の独立法人化で運営費交付金が年1%ずつ削減されているからだ。

 企業の援助が期待できる薬の研究やダイオードの研究とちがい、こういったことは、どうしても国が関与しなければ万全を期しがたい。外交・防衛はもとより宇宙開発や南極観測なども国の仕事だ。寿命がきた南極観測船は売りに出されるというが、道路など利権がからまなくとも、国民にとって必要か欠くべからざる事業や研究費は、しっかりと優先順位をつけ、ケチケチしないで欲しい。

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