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2008年4月22日 (火)

中国とのつきあいかた

 私は週刊誌は年に3~4冊買うか買わないかだ。最近では“中国「好き」か「嫌い」か”という特集をした『週刊現代』を本屋まで足を運んで買ってきた。なにしろ、このブログ(当初名「反戦老年委員会」)を始めたのが3年前で、その最初の記事が当時荒れまくっていた中国の反日デモであるという因縁がある。

 3周年記念というわけではないが、中国とのつきあいかたは、当ブログや関連する既著を持つ私にとってのメインテーマの一つである。去年、中国の3都市を回ってきたが、百聞は一見にしかずというほどの成果があったわけではない。中国語が話せて、そこに住んでいても広い中国のことである。「ジス イズ チャイナ」といいきれる人が果たしているのかどうかに関心があったのだ。

 この企画は有名・無名(私にとっては)の中国人を含む20人の意見を、ほぼ1人1ページを割いて開陳したものである。全体の読後感は、私が当初予想した通り広漠としてつかみようのないものであった。しかし中味は、日本で嫌中感情を抱くほとんどの人が持っている印象とは大分違うはずである。他の『週刊○○』などよりは、よっぽど読み応えがある。

 その中から一般紙にはのらないほんのサワリだけを羅列してみた。

★神戸女学院大教授 内田 樹
     中華思想はナショナリズムではない。この
         ことを覚えておこう。

★東京大准教授 平野 聡
     この問題を研究している私は、すでに1~
        2年前からチベット人の中国政府に対する
       不満は臨界点に達していたとみている。

★在ニューヨーク、ノンフィクション作家
   譚□(王へんに路)美
     中国政府はダライ・ラマを「祖国分裂主義
       者」だと非難しつつも、水面かでは「対話」が
       セットされ、「交渉」が進行しつつある。

★北京在住俳優 矢野浩二
     中国語では、喜ぶという意味を「開心」と
        いう漢字で書きます。

★作家 岩井志麻子
     理解し合おうなんて、はなからあきらめた
        方がいい。彼らは、心が悪いのではなく、
        心がないのです。敬して遠ざけるのが一番。

★歌舞伎町案内人 李小牧
     日本の25倍の国土を持ち、10倍の人口
        を持つ中国には、絶対的な政府が必要で
        ある。日本語で言う、必要悪。歌舞伎町に
        とってのヤクザだ。

★政治学者 姜尚中
     日本は韓国と協力して、米中関係だけが
       突出して緊密になっていくことを防ぐ必要性
       があるのです。

★評論家 宮崎正宏
     「正視現実、開創未来、擱置争議、追求
        双贏」(現実を正視し、未来を開き創り争議
        を据え置き、両者が勝者となることを追求す
        る)まさに中国人らしい合意(中台間)では
        ないか。

★作家 星野博美
     中国が欧米から追い込まれている今こそ、
       日本はもっとクレバーになるべきでしょう。恩
       を売っておくチャンスだと思います。私の経験
       上、中国人は受けた恩だけは決して忘れま
       せんから。      

★マネージメント・アドバイザー 宋文洲
     世論が一方向に流れているときこそ、「当
        局の意図が作用しているのではないか」「正
        反対の見方にチャンスが潜んでいるのではな
        いか」とクールに眺めてみてください。中国と
        上手に付き合いながら、ビジネスをモノにする
        鍵はそこにあると思います。

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コメント

お邪魔します。
中国語には4つあるそうです。そのうちの一つ広東語は北京語と通じないといっていました。「これが中国だ」といえるひとはまずいないでしょうね。
まるで「群盲像を撫でる」状況でしょう。そして、鼻との付き合い方、尻尾との付き合い方は違うのでしょうね。
また、忘れてはならないのはそれが巨大な象であり、一体で移動している事でしょう。「21世紀は中国の世紀である」もいろんな意味を考えておくべきですね。

投稿: 飯大蔵 | 2008年4月22日 (火) 23時09分

ただ大きいだけならアメリカも同じ。
そういう国はアメリカの選挙戦を見ていても、次元の低いナショナリズムで政治の中心軸を固めようとするのでしょうか。
ナショナルアイディンティティーに「多様性」などを持ち出していますが、やはり「邪悪なイランはたたく」ですものね。

投稿: ましま | 2008年4月23日 (水) 08時53分

こんにちは。僕も是非読んでみたいと思います。
最近本を読めば読むほど、彼の国のことがよくわからなくなってきました。たぶん死ぬまでわからないのでしょうが、非常に興味深いです。

投稿: locust72 | 2008年4月23日 (水) 16時14分

四書五経に通じているわけではありませんが、紀元前の中国の書は現在そのままでも共感させられることが多くあり、屈原や杜甫・李白の詩など、なにか日本人の方により近いような気がします。
そのどれも本当なのでしょうね。

投稿: ましま | 2008年4月23日 (水) 20時38分

四書五経に通じる必要はありません。中国人の思向性を研究する意味で、通じる必要は有効でしょうが、日本人が倫理的に受容する必要はありません。中国的な発想は、反近代的であります。東アジア共同体とか、そういった類に私が賛成しないのはこの点です。
思想内容を吟味せず、ただただ、漢字四字に意味も分からず、感激するのは日本人の悪い癖です。中国(人)と接するときは、もっと冷めた思考が必要です。
アメリカは決して、平和主義国でなく、民主主義の伝道者でもありません。自分のことしか考えない民主主義国家です。それでも、自国内では、自由と(法的な)平等が公民権上維持されている民主主義国であります。
人権の意味がわからない近代未満の中国や未だ坊主が政治をやっている中世国家イランよりはましでしょう。

投稿: ぺんぺん | 2008年4月30日 (水) 03時46分

 週刊現代、買って読んでみました。本当に様々な意見があって興味深かったです。ふと感じたのは、自己の実体験を根拠に、極端に一面的な主張をなされている方が少なからずおられること。理由はそれぞれなのでしょうが傍から見ると面白いです。
 私も日本人の感受性は西洋的なるものよりも寧ろ中国に近いと感じています。今後、中国の方がこちらに近寄ってきて(決して同じにはならないにせよ)更に共感できるものが増えるのではないかと思います。

投稿: locust72 | 2008年5月 1日 (木) 08時23分

locust72 さま
 日本人は西欧の物差しと東洋の物差しの両方を持っています。尊王攘夷までは東洋の物差しだけでした。明治維新で猛烈に西欧の物差しを取り込みました。そして敗戦により一層それが強くなります。
 中国には東洋の物差しと共産主義の物差しがあるのだと思います。後者は相当色あせたがこれを今捨てると大変なことになる。
 それらを理解しないと反日になったり嫌中になったり、対立の極論をもてあそぶことになるのでしょうね。

投稿: ましま | 2008年5月 1日 (木) 09時15分

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 内田樹(うちだ・たつる)のブログ、毎日1万位ヒットするとのことである。並の人気タレント以上ではないか。5年以上も前には覗いたこともあるが、書籍になるのでそれを読むことにしている。  大学教授にしては変に学識だけに偏らず、ごく普通の視線から繰り出すフレーズの数々、他では味わえない知性に魅せられる方が多いということだろう。だから、本になっても教養書の割にはよく売れ、次々に新刊がでるということにつながる。  ぼくの経験からも、学者の中には失礼だが、人格破綻、変人、専門的偏執者が少なくない。...... [続きを読む]

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