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2008年4月15日 (火)

食糧難

 「深刻化する世界的食料不足」という新聞見出しがあった。われわれの脳裏にあるイントネーションからすれば。「食料難」である。イギリスのブラウン首相は、食料問題を洞爺湖サミットの主要議題にすべきだ、と提案している。終戦、そしてその後1、2年の飢えの体験は、福田首相にどれほどあるのかないのかは知らない。

 しかし、世界には低開発国を中心にそういった状況がすでに始まっており、自給率が40%を切った日本も、決して他人事ですませないはずである。輸入毒ぎょうざ問題で騒いでいるが、「事態はそれどころではない」という気がしないでもない。はたして自分自身のこととして考えている日本人が、どれほどいるだろうか。

     昏暮黒菅原氏弓削より帰る。汽車中乗客の
        談話より推察するに恐るべき食糧難刻々切迫
        しつつありと言えり。予の如き老衰者果たして
       無事東帰することを得るや否や、憂悶眠る能わ
       ず。(永井荷風「断腸亭日乗」)

 上野駅の地下道では餓死する人が出、闇米を買わずに我慢した裁判官も命を絶った。わが家は穀倉地帯の中にあったが、農家から米を分けてもらうため母の訪問着、父愛蔵の碁盤、自転車そういったものが消えていったような記憶がある。

 学校では体力がないのか消耗したくないのか、すきっ腹で休み時間になっても机にうつぶせになっていたような光景をいまでも思い出す。ニュースでは、今年の米の作柄が気になり、アメリカ向けクリスマス用豆ランプの輸出が好調と聞けば「ああ、これで小麦が買える」などと喜んだものだ。

 今の食糧不足の原因は何なんだろう。中国、インドなど国民所得の増大による消費量の増大、米国を中心とする石油代替のバイオマス生産のためのトウモロコシへの生産転換、商品市場の先物価格の高騰、一部地域の旱魃や砂漠化による農地の減少、石油など生産コスト増大による値上がり、生産者・生産国の売り惜しみなど、羅列されるとどれもウソっぽく聞こえる。

 究極の問題は生産より、消費にあるのではなかろうか。人口爆発でもない限り、秩序ある消費に生産が追いつかないはずはない。また、消費をあおる販売競争の激化、生産者価格の低落、資源の乱獲や自然破壊、そういったことに国がかかわっていないはずがない。もはや、なすがままに放置しておいてもいいという段階にないのではないか。

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コメント

 高騰っぷりには確かに嘘くささがありますが、毎日腹いっぱい食えるのは全人類のうち何割もいない中で、皆がそこそこ食うようになったときに本当に足りるのか疑問ではあります。
 どっちにしても、今の日本の食料の捨て方は尋常でないですよね。やはり消費の問題でしょうか。

投稿: locust72 | 2008年4月16日 (水) 17時21分

locust72 さま
いらっしゃい。
 昔、日本の映画には食事のシーンが多いといわれました。寅さんでも確かに多いですよね。幸福を演出するには欠かせないカットなんでしょう。
 それにもましてTVの食い物シーンの多いこと。「ウン、まろやかでふわーとした感じ」なんていうのを四六時中やってます。
 ネットあらし、総括しておきました。今日はTBがうまくいかないので見ておいてください。

投稿: ましま | 2008年4月16日 (水) 18時20分

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福田首相というのは、どこまでふざけやがった、インチキ、デタラメ総理大臣なのでしょ [続きを読む]

受信: 2008年4月15日 (火) 23時40分

» 世界的な食料不足は続く、暴動のリスクも=国連食糧農業機関(メモ) [逝きし世の面影]
2008年 04月 9日 19:47 JST [ニューデリー 9日 ロイター] 国連食糧農業機関(FAO)のディウフ事務局長は9日、食料供給の不足は当面続く見込みで、価格も高止まりするとの認識を示した。  事務局長は当地で記者団に対し「食料価格が急速に上昇し、世界中で非常に深刻な問題となっており、エジプト、カメルーン、ハイチ、ブルキナファソでは暴動が発生した」と発言。こうした暴動が他国にも広がる可能性があると指摘した。  また、世界の穀物在庫は1980年代以来の低水準にあるとし、「これはインド、... [続きを読む]

受信: 2008年4月16日 (水) 18時23分

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