庶民感覚に遠い裁判
昨日二つの上級裁判所の判決が出た。いずれも第1審無罪をくつがえしての逆転有罪判決だ。一つは立川ビラ配りの3人に対する最高裁の上告棄却で罰金20万円と10万円が確定、もう一つは東京高裁で、日航機ニアミスに管制官の便名読み違いの責任を2名に問い、執行猶予つきながら1年半と1年の禁固刑を言い渡したものだ。
両裁判とも新聞報道以上の知識はないが、この結論に大いに異論をさしはさみみたい。かつて、小泉元首相が靖国裁判に感想めいたコメントをしたことがあるが、これはよくない。三権分立は憲法の根っこだ。任命権のある内閣の長の発言は公正な裁判を疑わせるもとになる。
しかし、庶民は違う。国民審査で×をつける権利がある(機能はしてないが)ように裁判批判は活発に行うことが必要だ。最近、どうも地裁よりは高裁、高裁より最高裁の方が偉いんだ、偉い人のことの言うことに文句を言うのはいけないことだ、という風潮があり、庶民が誰よりも偉いことを忘れている。
ど素人ならともかく、最高学府を出た人やどうかすると弁護士の中にさえそんな感覚の人がいる。どうもこの二つの裁判を見ていると、上級の裁判所に行くほど裁判官が庶民感覚から遠ざかっているように見えてしまうのだ。もしそうならば、これも司法の危機というべきではないか。
まず、ビラ配りである。家のポストにも政治、宗教、営業など雑多な印刷物が投げ込まれる。そのなかから必要欠くべからざる(信書や健康保険証のような)ものをより分けたり、ゴミ処理に気をまわすなど、正直なところはなはだ迷惑で不快な内容物が多い。
この件は、反戦ビラである。家宅侵入罪というけど、今は、郵便局であろうと宅配業者であろうとパートのおばさんであろうと誰でもチラシを配る。反戦ビラは、高額な罰金を払うぐらいなら新聞折り込みとか業者さんに頼んだらどうだろう。それなら家宅侵入とはいわれない。
すると、「業者は自主規制する?」、それもそうだ。人生長くやっているが、これまでこんな剣呑な社会に生きるとは思わなかった。
次に、管制官である。事故はまぬかれたものの、大事につながる過失の責任は軽くない。二人の管制官のうち、一人は仮免路上講習実習生、一人は指導員のような立場にいた。かつて自分が自動車教習を受けた時を思い出す。実習生は課業をこなすのにせいっぱい、緊張でがちがち、指導員は実習生を信用した上次の課業の指導を考えている。
そのとおりかどうか分からないが、二人でやるから、という事故もあろう。ことに、交通機関の高度な技術革新により、人間と機械をうまく機能させるシステムづくりがここ10数年来の大きな課題となっているそうだ。人間の避けられない過失をどうカバーするかが安全確保の要になっているという。
JR西日本の尼崎事故を思い出すのだが、ただ厳罰に処すことで、次の事故防止につながるとはどうしても思えない。むしろこの職業が敬遠され、管制官の質の低下を招く結果にならないと誰がいえようか。さらにいうと、先日も書いたが、こういった業務に資本の論理をからませるようなことだけは避けてほしい。
| 固定リンク
« わが村ところどろころ | トップページ | 黒船来航 »


コメント
普通に考えて、「立川自衛隊監視テント村」という自分や自分の家族が所属する組織を「監視」する人達が、自分や家族の住む宿舎の周りを徘徊し、自分たちを否定するビラをまいていたら当然迷惑に思うと共に、家族の安全や近隣住民との関係、不気味さを感じ、「やめてくれ」と言うのが当たり前えではないでしょうか?
もし、あなたの会社やなどに「敵意」を持つ団体が、あなたの家の周りに「監視テント」をつくり、あなたの家の周りを徘徊し、あなたの会社を非難するビラをまいていたらどうですか?「やめてくれ」といっても何度も何度もあなたの家に来る。
どうしますか?
教えてください。
私は自分がこれをやられたら怖いですし、自分の家族の安全や精神状態を考えますね。
なんとかやめさせようとするでしょう。
言論弾圧だとか言ってますが、やられた方は人権侵害を受けていると思います。
思想をいったん横に於いて、相手の事を考えたらどうですか?
庶民の感覚にほど遠いのはどちらでしょうか?
投稿: のんぽり | 2008年4月12日 (土) 18時44分
左のトラックバック欄にある「村野瀬玲奈の秘書課広報室」でくわしい実情をしらべた方がいます。参考にしてください。
投稿: ましま | 2008年4月12日 (土) 19時54分
こんにちは。私はビラを配った人たちとは政治信条的には相容れませんが、今回の判決には大変問題があると思います。ざまあみろと思っている方々は将来自分や家族が被告席に座ることがあるかもしれないという想像力が足りないのではないでしょうか。
管制官の件についても、これから難しい手術を敢えてする医師が減ったりすることにつながらなければよいのですが。
このような判決を見ていると、裁判員制度には種々問題があるとしても、現場に一石を投じるために導入が必要だなあと思います。
投稿: locust72 | 2008年4月14日 (月) 09時50分
locust72 さま
昨日もサンデープロジクトで裁判官の「疑わしきは罰せず」の大原則がまげられ、検察の意を受けたとしか思えないような安易な判決(証拠調べの却下や焦点をそらした判決文)が目立つようになってきたとのレポートがありました。
かつてはなかったお上意識、官僚意識の悪代官が増えたのでしょうか。平成の水戸黄門を緊急養成しなければ・・・・。
投稿: ましま | 2008年4月14日 (月) 13時13分