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2008年3月12日 (水)

戦争嗜好政治家

 まず、6日にエントリーした「原理主義」の一部をお読みいただきたい。

    アメリカの石油メジャーズは、昔からサ
    ウジ、イラン、イラクをはじめとする産油
    地帯の国情、民族、宗教などについて
    の深い研究成果を持っていた。したが
    って、イラク進攻がこのような結果をも
    たらす可能性は、アメリカ内部で十分
    予測がついたはずだ。

    にもかかわらず、ブッシュが突っ走った
    のはなぜか。アメリカの支配層に隠然
    たる勢力を保つユダヤ人の存在、ロビ
    イストの活躍がささやかれる。一方、
    キリスト教原理主義、なかんずくプロテ
    スタント福音派で、ユダヤ復興・千年王
    国到来の預言を信ずる一派がブッシュ
    の支持層であり、ブレーンになっている
    という説もある。

    前者のユダヤ人の支持や票を失いたく
    ない、というのはわかるような気がする
    が、原理主義の方はどうであろうか。ブ
    ッシュのとりまきにそういった信者がい
    たにしても、ブッシュ自身が盲信者でな
    いかぎり、予言の解釈で外交をし、戦
    争を始めることなどあるだろうか。中に
    は、そうとでも考えないととても説明が
    つかない、という人もいる。

 次に、今日12日の毎日新聞に、元米国務省職員で03年3月、イラク戦争に抗議して国務省を退職したジョン・ブラウン氏のインタビュー記事が載った。この内容が真正で反論の余地がないものとは思わないが、公式な手続き経て取材に答えたものであるだけに、内部告発の証言資料として検討の価値は十分ある。以下、その一部を引用する。

    ――なぜ米国は戦争へ突き進んだのです
    か。

    ◆ブッシュ大統領自身、国際的なことにほ
    とんど興味を持たず、知識もなかった。ホ
    ワイトハウスの取り巻き連中の関心は常
    に国内問題だった。つまり、共和党政権
    をどうやって維持するかが最大の関心事
    だった。02年11月の中間選挙に勝つた
    めに、取り巻きたちは大統領を強い指導
    者に見せかける必要があった。そのため
    にイラク危機を利用したのだ。

    ――政治家や国民も反対できなかった
    のは?

   ◆米同時多発テロ(01年9月11日)後し
   ばらく、米国民は正常な思考ができなかっ
   た。「フセイン政権は大量破壊兵器を保有
   しており、テロリストに渡すかもしれない」
   と大統領が語ると、反対は難しかった。だ
   が、今では多くの国民が大量破壊兵器保
   有情報がイラク侵攻の口実に利用された
   ことを知っている。

   ――政権は侵攻後のイラク混乱を予想し
   ていなかったのですか。

   ◆政権幹部はこんな結果になるとは全く予
   測していなかったはずだ。簡単に考えてい
   たのだ。中東に関する無知ゆえだ。米元外
   交官のピーター・ガルブレイス氏は著書の
   中で、ブッシュ大統領がイラクにイスラム教
   のシーア派とスンニ派の2宗派があること
   を知らなかったと暴露している。ブッシュ政
   権には外交感覚のある人物は見当たらな
   い。父のブッシュ元大統領も国際感覚に疎
   かったが、ジェームズ・ベーカー元国務長
   官ら外交に強い人物を要所に配した。今の
   政権にはそうした人物もいない。

 これを見て驚かない者がいるだろうか。アメリカ国民や世界各国のことよりも、自らの政治権力維持が最優先で、それがイラク戦争の動機だという。ブッシュは親族が経営する石油会社に就職した経験がある。それでいて中東の事情、さらにはシーア派やスンニ派についての知識すらなかったのだろうか、いかにテキサスのインデペンデント石油会社であろうとも、この程度の勉強もしていなかったのかといぶかられる。

 私たちには、アメリカが世界に冠たる民主主義国家、自由主義国家であるという幻想がある。それがこういう指導者にゆだねられるというのが現実なのだろうか。私はしばらく前から非武装中立の考えを捨てた。それは、全く自衛手段のないおまかせスタイルでは、このような戦争嗜好政治家による格好な餌食にされかねない、ということである。

 それには、過去の朝鮮王朝の事大主義依存失敗といういい教訓がある。「力の空白」状態がパワーポリティックスにとって、格好なえさ場になることも歴史的な事実である。したがって憲法9条は死守するが、自衛隊は存在しなければならないのである。

 たしかに世界の戦争嗜好政治家はこのところ勢いを失っている。しかし油断してはならない。特に大統領といおうが、首相といおうが、将軍様といおうが、世襲2代目、3代目の宰相には、ゆめゆめ注意を怠ってはならないのだ。 
 

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コメント

ましまさま、こんにちは。
イスラエルは中東のど真ん中に強引にあの国を建てちゃったのですから、いつテロが起きるか不安も大きいでしょう。
イスラエル(ユダヤ教信者)の立場になれば、なんとしてもアメリカ政府は自分たちの味方でいて欲しい。
イスラエルはいっそ、ハルマゲドンでも起きて、永遠に安定した自分たちの王国を作りたいと思う気持ちもあるのでは。
イスラエル(ユダヤ)とブッシュ政権の利益(石油資源確保)が一致したところに、イラク攻撃の理由があったと私は思います。
そしてブッシュ親子は、その両方に足を入れているんじゃないかと思います。
本来なら、人々を救うはずの宗教であるのに、時に狂信的なこともためらいもなくできるという意味で、宗教ほど怖いものもないですね・・・
ブッシュジュニアは、彼を教えた大学の教授によると本当に頭が悪かったそうですが、イラク戦争後の想定は、世界に名だたるCIAが、きっちり調べてシーア派とスンニ派の抗争も他国からテロリストたちが入ってくることも、予想していたそうです。しかしブッシュ政権はそれらの資料も無視したといいます。(これはアルゴアの書いた本に出ていました。)
それらも、ブッシュジュニアの自分は神の代理なんだという宗教的な、思い込みであったなら、納得もするし、またそら恐ろしいものでもあります。

投稿: 金木犀 | 2008年3月14日 (金) 17時23分

金木犀 さま
しばらくです。ブッシュをめぐるいろいろな噂は、彼の名誉のため30%がた割引して受け止めていました。しかし最近割引率はその半分かなと思えるようになりました。
つまり85%は当たってということになります。
むつかしいのは宗教です。ユダヤ・ロビイストとキリスト教原理主義者とネオコンの野合があやしいな、といったところでしょうか。
TBありがとうございました。これから寄らせて貰います。

投稿: ましま | 2008年3月14日 (金) 20時38分

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