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2008年3月31日 (月)

サブ・ネーション問題

 チベットの騒乱問題で、フランス、ドイツ、イギリスなどの首脳が北京オリンピック開会式などの招待に応じるかどうかでいろいろな報道がされている。結局、EUとしてボイコットやその他、政治的統一行動をとるのは困難であり好ましくない、という結果になったようだ。

 チベットは該当面積の大きさや隣国であることから、日本で大きな関心をひき起こしているが、欧州では、古くから同一国内における少数派民族問題が紛争、戦争の引き金となることが多く、国家としてこういった問題への関与が非常にセンシティブにならざるを得ないことを知っている。したがって単なる意見の不一致とは違う。

 ユーゴスラビアの解体課程もその試練であった。最後に残ったコソボ独立問題で軟着陸ができなようなことがあればNATO、EUの失敗例となり、加盟国中にあるサブ・ネーション問題解決をこじらせかねないという危機感もあるだろう。

 サブ・ネーションとは、国連加盟国あるいは地図上国と認識されている国の一地方にまとまって存在する少数派民族で、自治、自決、独立あるいは帰属変更を求めるている集団をいう。その数は6500にも達するという説もある。そのすべてに紛争があるわけではないが、問題化するのは、人種差、就労格差そして貧困などに起因するとことが多い。

 現在、国連であろうとEUであろうと、その加盟国は国家主権の変更、地図の変更をともなう変化を原則として好まない。できれば、そういった事態の起きないよう事前に対策を講じておきたいと考える。その先駆的しくみとしてヨーロッパ安全保障会議(CSCE)が「国内少数派民族高等弁務官」制度を1992年に設けた(谷口長世『NATO』)。

 これは、欧州安保協力機構加盟国内の少数民族問題を現地で調停したり、その国の中央政府を説得したりして紛争の火種をなくする仕事を担当する。実際にラトビアの使用数民族であるロシア人対策などで効果をあげてきたが、超国家的権限と任務を与えられながら10人足らずのわずかな要員と裏付けとなる力を持たないため、どのような場合でも有効であるとはいえない。

 ボスニア紛争では人権問題を押し出してNATOがセルビアを空爆するなどの試行錯誤があった。しかし、ヨーロッパには10数年前からこういった問題のプロがいて、各国の政策決定になんらかの影響を与えてきたことにも注目をしておきたい。

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