クラスター年表
クラスター爆弾禁止条約関連年表
●直近のデータは文末にあります。
★(参考)小渕外相(当時)は、アメリカの思惑にかかわらず、「対人地雷禁止条約」に賛成することを決断した。小泉政権、その後を継いだ戦前回帰の傾向がある安倍政権、国内で使用すると国民に被害が及ぶことは避けられない、使わないで地域が占領されるよりは何万倍もまし(田母神俊雄・航空幕僚長)とまで開き直った。
☆1996年の国連人権委員会の決議で、生物・化学兵器のほか大量破壊兵器・無差別殺傷兵器として、劣化ウラン弾、燃料気化爆弾、クラスター爆弾などを指定した。
☆2003年4月17日、防衛庁は1987年度から16年間、数千発148億円分の同爆弾を購入・配備したことを明らかにする。これについて、当時の福田康夫官房長官は「専守防衛に必要であれば、廃棄の必要がない」といい、石破防衛庁長官も「敵の着上陸侵攻に際して侵攻部隊の陣地、戦車等車両の集積所を攻撃し、侵略を阻止するのに有効」と表明。
☆2007年1月6日記事。来月オスロで、同爆弾禁止条約に関する国際条約が開かれ、北欧諸国を中心に25カ国が集まる。ドイツは昨年6月、当面使用を中止(NATO軍として使ったことがある)、10年以内に全廃を検討する意向だが、日本は消極的なため招待もされていない。
☆2月24日記事。23日のオスロ会議の5日前、日本は突如参加を決めた。しかし、参加49カ国中、このオスロ宣言を支持しなかったのは、アメリカの目が気になるポーランド、ルーマニアと日本だけだった。アメリカ、ロシア、中国、イスラエル、インドは最初から参加していない。
☆3月22日記事。英国政府が方針を大きく変え、主要国として初めて同爆弾の一部禁止に踏み出した。該当する爆弾はもともと米国製でライセンス生産されているものだから、米英間ですでに交渉が持たれ、ある了解に達しているのではないかとの憶測あり。
☆5月26日記事。オスロ会議に続き、ペルーのリマで「クラスター爆弾禁止会議」(68カ国参加)が開かれた。日本の代表団は「同盟国との作戦に於ける相互運用性に与える影響を考慮すべきだ」と主張、日米同盟のしばりをはっきり表に出した。反対にカナダは保守政権ながら全面禁止に大きく舵をきった。
☆12月。ウイーン会議 138カ国参加。7日からジュネーブで始まる「特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)」締結国会議で、日本は同爆弾の規制条約づくりに向けて、中国やロシアなど交渉入りに難色を示す国々を2国間協議などにより、説得に当たるという。
☆08年2月18-22日。ニュージーランド・ウェリントン
[ウエリントン宣言の要旨]クラスター爆弾による重大な人道問題の恒久的解決を達成するには、クラスター爆弾の禁止条約を08年中に作る必要がある。①爆弾の使用および生産、輸出入、備蓄の禁止②被害者の社会復帰や不発弾除去等への十分な支援提供を確実にするための枠組み――が必須条件となる。この政治宣言に署名しないと次回からの出席資格がなくなる。 22日、「世論に押されて賛成に回る最悪の外交だけはしたくない」との判断(外務省幹部=2/23「毎日新聞」)で宣言に署名。
次回、5月、アイルランド・ダブリン。
☆08年3月4日(毎日新聞)
アメリカは昨年12月から、今年1月にかけ英仏独カナダなどNATO加盟国に対し、書簡をもって圧力を加えた。日豪など「オスロ・プロセス」参加同盟国にも伝えられた模様。
(内容)「米軍の弾薬庫からクラスター爆
弾を撤去すれば米国や同盟国の兵士の
生命を危うくする」「この爆弾なしでは、N
ATOや他のパートナー国の安全を我々
が保障することは困難になる」「NATO
加盟国との協力を犯罪とすることを選ぶ
国とは、対等な仲間として戦えない」他。
☆08年3月5日(毎日新聞)
超党派による衆参22人の議員が4日、クラスター爆弾の規制に向けた議員連盟を今月中に発足させることを決めた。参加議員は50人以上になる見通し。呼びかけ人は猪口邦子衆議院議員(自民東京比例区・いわゆる小泉チルドレン)。
☆08年4月
クラスター爆弾により両手足を失ったセルビア人、ブラニスラン・カペタノビッチさん(42)が、被害の実情と禁止条約早期締結を訴えるため、12日から来日。
☆08年4月25日
「クラスター爆弾禁止推進議員連盟」発足
代表・河野洋平(衆院議長)、事務局長・猪口邦子(衆・民)
発起人・小坂憲次(衆・自)、山口壮(衆・民)、山内徳信(参・社)、笠井亮(衆・共)
参加者・太田昭宏(衆・公代表)など40名
☆08年5月23日
アイルランド・タブリン会議
・民主党・公明党の姿勢と福田首相の反応
(08/6/14「毎日」)
首相は「日本政府としてもう一歩、踏み込んだ対応が必要だ」と改めて前向きな考えを口にした。と同時にこの時、思わず本音を漏らした。「英国も態度を変えたし、こういう流れになっているんでしょうねえ」(英国の先行に対し)福田首相は頓着せず、むしろ無理なく乗れる流れができてきて安堵したようだった。
☆08年5月30日
・日本政府、ほぼ全面禁止に同意、賛成は111カ国。署名式は12月3日、於オスロ。批准30カ国で発効。
☆08年11月21日
・2008年11月 <クラスター爆弾>「最新型」も導入せず、という政府方針を、毎日新聞は21日付夕刊のトップにかかげた。それによると、現有同型爆弾を全廃したうえで、欧州諸国が維持する「最新型」のクラスター爆弾も今後、導入しない方針を固めたという。
☆09年6月10日
・参院、衆院に次いでクラスター禁止条約批准を可決。主要国ではドイツに次いで2番目。
☆10年8月1日 クラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)発効。市民主導の軍縮条約が発効するのは、対人地雷禁止条約(オタワ条約)に続き2度目で11年ぶり。
☆11年11月25日 米、ロ、中が禁止条約を緩和(不発率を1%未満にする)条約案を画策したが賛成国がすくなく断念。
◆7月30日現在、107カ国が署名、37カ国が批准。発効後は同爆弾の使用、開発、生産、取得、貯蔵、移譲(輸出)が禁止されるほか、これらの活動への援助、奨励も禁止される(日本では三井住友・三菱UFJ銀行が関係企業への融資を停止する)。
◆貯蔵するクラスター弾の総数、廃棄の状況などは毎年、国連事務総長に報告する義務を負う。NGOによると、同弾は米英仏露など15カ国が使用、米英仏露独中など34カ国が生産、85カ国が数十億発を保有している。アメリカは、条約に参加しない方針。
日本は、自衛隊筋が、日米共同作戦に支障があるとか、憲法上海外では使えない同弾を「日本に上陸した敵軍を住民を避難させた上で使う」などという、滑稽な論理を立て条約参加を妨害し続けた。当初は準備会議への参加を、模様をさぐるためなどとしたかかわり方から、一転方向転換をはかって署名参加を決めたのが、福田康夫元総理だ。その前に公明党の浜四津代表代行も条約参加を首相に陳情した。
防衛省は、いまだに日本の保有総数を公表していない。理由は「防衛能力が明らかになる」(毎日新聞7/31)からだという。条約に加盟、発効したからには国連に報告義務が生じ、使用も禁止されたわけだから、全くナンセンスだ。
鳩山変節や菅迷走を見ていると、新しい日米同盟の構築とか軍縮・外交など、官僚に遠慮がある民主党より自民ハト派と公明党コンビの方がうまくいきそうだ。現実主義を標榜する菅首相は、よほどしっかりした外交・防衛方針を立てないと、「短命政権やむなし」ということになるかも知れない。
・クラスター爆弾禁止条約案
事実上、即時全面禁止する内容で、使用、開発、製造、入手、貯蔵、保有、移転を禁じ、在庫分も条約発効後8年以内の廃棄を規定する。不発弾処理を10年以内に終えるほか、使用国は被害国での不発弾処理への技術・財政協力が求められる。また被害者に医療・リハビリを提供し、社会復帰を支援する。違反行為への刑事罰を含め、国内措置をとる。
一方、非加盟国との軍事作戦を認める「共同作戦」条項を新設。最新型の一部は禁止対象外とした。
・防衛省は不満 (08/6/14「毎日」)
「オスロ・プロセス」が始まったのは07年2月のオスロ会議。当時の安倍政権の首相官邸では、ほとんど話題にならなかった。中国、ロシア、韓国、北朝鮮など日本の周辺国が参加していないことに気がついた小池百合子首相補佐官(安全保障担当)は「なぜ日本が参加しなくっちゃいけないの」と問いただしたが、外務省の回答は、「情報収集のため」というものだった。
(中略)クラスター爆弾は、敵国軍隊が海岸などに上陸した際、広い面積を一気に攻撃し制圧するための武器で、「他の爆弾では代替できない」と言われてきた。戦術を制約される防衛省は、「冷戦型の安全保障環境が残る東北アジアと欧州などの環境はあまりにも違う」(幹部)と、会議に参加したこと自体間違いだったと不満だ。
(中略)そもそも「陸上侵攻」への対処が必要なのか、専守防衛の根本から議論が求められそうだ。【古本陽荘】
●関連エントリー
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2008/07/post_7ded.html
クラスターと民主党2
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2008/05/post_13ee.html
クラスターと民主党
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軍縮立国へ
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公明党の存在
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福田首相を支持する
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自主外交いずこ
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2007/11/post_9b50.html
日本、クラスター禁止に変身?
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コメント
塾長論説の、明解析反論の余地はありません。
しかし、われら熟年生ならいざ識らず、学生や若者、特に男性達が温和しすぎて、これからどうすんだっぺと憂います。
杞憂であって欲しいですが…。
投稿: tani | 2008年2月23日 (土) 17時24分
tani 兄
最近どうも肩に力はいりすぎの傾向。その反省で荷風さん人にあやかり、梅日和(こういう季語があると知りませんでした)を書いたが、生兵法。兄のようにはなかなかまいりませぬ。
温和に過ぎる若者、外は小庵を振るわす風が砂塵を巻き上げ、気温が急低下中。低気圧が寒気をともなって日本の上空を通過しています。
投稿: ましま | 2008年2月23日 (土) 18時02分
クラスター禁止ですか・・・。
ようやくこの国の首脳もそんなことを考えてみる気になったんでしょうか・・・?
まぁ~国民の命の一つや二つを犠牲にしても、【国家秩序】の維持を優先する機関ですから、油断できないというご意見はもっともだと私も思いますネ★
投稿: 棘入り《妄言録》! | 2008年2月24日 (日) 02時44分
おとといは、風が強すぎて日課の散歩を省略しました。そのかわりクラスターの長尺ものができました。
北朝鮮の外交はねちっこく、それなら勝手にせい、といいたくなります。ところがこの件、日本は北顔負けするほどねちっこいようです。
投稿: ましま | 2008年2月25日 (月) 10時23分