多極化時代の開幕
以下は、元外務審議官・田中均氏が東大大学院で行った外交政策最終講義の内容である。(「毎日新聞2/5夕」による)
私が外交官として生きた時代は冷戦時代、
そして冷戦が終わり米国を中止にとす新し
い秩序の模索が行われた時代であり、日本
外交の選択肢も限られていた。日米同盟を
軸とし、西側の一員としての役割を強める
ことが外交の基本であった。ところが、みな
さんの生きる時代は全く異なる。日本は少
子高齢化で低い成長率しか見通すことが出
来ず、アジアには中国やインドなどの人口大
国が高い経済成長を続け、これら諸国との
相対的な力関係も変わる。同時に地球温暖
化やエネルギー問題さらには食糧問題にい
たるまで、人間の生存を脅かすような問題を
解決 していかなければならない。世界は米
国の一極体制から多極的な体制へと間違い
なく変化していく。
もし日本がこれまでどおりの考え方と体制
で外交を進めていこうとすれば、残念ながら
日本は凋落の道をたどることとなるだろう。
選択肢が増えた中で、能動的な外交を展開
していくためには、もう少しダイナミックな外
交推進体制を構築していく必要がある。官
僚は過去からの延長線で政策を考えるが、
これから必要になるのは将来を見通した大
胆な政策である。これが可能になるために
は、外交政策の基盤を拡げ、ビジョンや基
本的な政策を作り出す有識者の役割、政治
指導者の強いコミットメント、政策実現への
官僚の役割の三つが強化されることがどう
しても必要である。
さて報道によると、国土交通省が「空港整備法」の改正で、外資の資本参入を3分の1未満に規制する案を準備していることについて、渡辺喜美(金融・行革)、大田弘子(経済財政)それに岸田文雄(規制改革)各大臣が猛反発しているようだ。
いずれも、小泉首相先導の新自由主義、改革解放路線を受け継いだ安倍首相任命の内閣府特命担当大臣で、それを天職としているようなふしがある。最近も田原総一朗司会のTV番組で、小泉指南番だった竹中平蔵氏と大田氏が金融自由化不足をさかんにぶちあげていた。
福田首相が一歩ひけた姿勢に終始する中、完全な内閣不一致を露呈している。冬柴国土交通相も安倍時代からの閣僚だが、首相というより公明党の指定席にいるのでこのところわがままの言い放題だ。日本の上場企業の3割はすでに外資がにぎっているとされる。空港関連企業が外資に乗っ取られたらどういう危険があるのか承知していないが、慎重に検討するのは当然であろう。
アメリカ自体、このたびの金融不安に産油国や中国の政府系ファンドなどが進出しようとするのを規制するため、議会が動いているという。アメリカン・スタンダードやグローバリズムに、もはやかつての神通力はない。かといって世界が保護主義、鎖国主義になるわけではない。
各国の国益を尊重しながら永続性のある多極化時代への移行は、すでにEUで実験済みである。小泉・安倍のアメリカ一極主義はもう古いのだ。平和構築、安全保障、環境問題、すべての面で新しい潮流を先取りし、わが国の元気を取り戻すよう当塾は重ねて主張する。
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コメント
EUの実験は、国境障壁を低くすればグローバルな利益を分配できる、グローバリズムの正しさを実証しています。
あなたの結論は矛盾していませんか。
投稿: 罵愚 | 2008年2月 6日 (水) 05時12分
罵愚 さま
<国境障壁を低くすればグローバルな利益を分配できる
ここまでは正しいと思います。EUの場合後発国や小国の意向を尊重し、些細なことにも例外規定や大幅な猶予期間をもうけるなど、札束で横面を張るようなことはしません。EUがグローバリズムというのは聞いたことがありません。
投稿: ましま | 2008年2月 6日 (水) 09時15分
いや、開発途上国や小国や少数民族への同情なら、国連だってやっていますよ。半世紀のあいだ、やってきて、あなたのような不満をもつ人が増えてきているわけだ。
そして、EUに期待しているわけだ。わたしには、子供があたらしいおもちゃに興味をしめして、古いおもちゃを捨て去る行動とおなじように見える。
EUもその枠を広げないで、発足当時のこじんまりとした規模ならば、国境とおなじだった。ちょっと、おおきめの国家にすぎない。拡大して、トルコなんて異質が入ってくれば、おなじ方策で対処して、おなじ失望にいたる。目に見えていると思う。
もうひとつ、ブロック化が第二次大戦の遠因になった経験は、あなたの主張から抜け落ちている。
投稿: 罵愚 | 2008年2月 7日 (木) 04時24分