自主外交いずこ
福田首相は外交に強いとされてきた。たしかに向米一辺倒だった小泉・安倍(中国と関係回復をはかったとされるが、取り巻くブレーンから見ても脱亜入米傾向はより強かった)時代よりアジアに目が向いていることはわかる。
また、高村外務大臣も外交畑では経験が深く、得難い人材には違いない。ただし正直なところ何を考えているのかよくわからない。外交には相手を見て「でたとこ勝負」的なテクニックを駆使しなければならないことはわかる。
しかし、国内の政争にとらわれず世界の潮流を読み、国民の幸福を念頭に置いた真の国益を追求する上で、外交政策の理念がなくてもいいということにはならない。このところ、連日のように気になる外交問題が次々と発生している。
去年9月に福田内閣が発足し、安倍内閣まで続いた外交政策で修正が加えられたのは、施政方針演説のキャッチフレーズぐらいで、考えてみたら具体的なものが何もない。ということは、外交に日本独自のものはなく、やはりアメリカさん次第ということなのだろうか。
今日は、アメリカのウィスコンシン、ハワイ両州で大統領の予備選挙が行われる。誰が大統領になるかはまだ先のことだが、今話題になっている日米安保と米軍基地のありかた――地位協定はともかく、同盟の根幹をなすガイドラインや米軍再編の当否など、来年になれば、イラクからの撤兵問題などもからんで必ず政治課題となるのではないか。日本は「このままで結構です」というだけでいいのか。
一昨日(17日)、セルビア共和国のコソボ自治区が独立宣言をした。報道されているように、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランスなどは独立賛成、EU内部では賛否が割れ、国内に独立要求地域があるロシア、中国、インドネシアなどは反対、国家承認を見送る意向だ。
日本はいち早く承認の意向を示しているが、ロシア等常任理事国が承認しなければ国連加盟の道は閉ざされ、セルビアがいう「不法な宣言」に理由を与えることになる。日本は唯一バルカンの紛争やユーゴ問題に手を染めたことのない、また利害関係を持たない大国である。かりに紛争が起きた場合、日本は中立的立場から当事者の説得にあたれる数すくない国だ。慎重な対応があってもいいと思うのだが。
次に昨日18日から22日まで、ニュージーランドのウェリントンでクラスター爆弾禁止の国際会議が開かれる。すでに1年前のオスロ会議から数回の協議を重ねているが、これにはアメリカ、ロシア、中国、イスラエル、インドなどが出席していない。
日本はアメリカへの配慮から消極的で招待されていなかったが、途中で急遽出席の意向を示した。しかし、いろいろな条件をつけるなど、むしろブレーキ役の代表になっている。今回の会議で予定されている宣言の内容は、禁止条約を08年中に作る必要があるとし、そのための必須条件が盛り込まれる。
次回、アイルランドのダブリンで5月に開かれる会議では、今回の宣言に署名しない国は閉め出されることになる。ここで、アメリカの意向にもかかわらず地雷禁止条約に参加する決意を示した小渕首相の前例に習えないようでは、「軍縮の先頭に立つ」という福田首相の決意は空念仏だったということになるだろう
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