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2008年1月11日 (金)

『日本之禍機』3

 前記事「福田首相の信念」の続きとして、首相が外交指南書とする『日本之禍機』の抜粋(その3)を掲載します。

 後編 日本と米国との関係に危険の
 分子少なからざることを論ず 
 より

(前略)読者願はくは本章の論旨を統合して其の結論を叱正せられよ。余は最初に米人が日本を誤解し、日本人が米国を誤解することの共に甚だ遍く又甚だ大にして、此浅薄にして有害なる誤解に安んずるの頗る危きことを論じたり。

 而して此誤解の上に更に他の危険の事情あることを示さんがために、論歩を転じて、先ず米国が今後清国において益々新外交の二大原則を主張せざるべからざる所以を説きたり。蓋し是れ日米が東洋における未来の関係を決定すべき根本義なればなり。

 次に余は米国民の東洋に関する与論を分析して、其の中に危険の分子少なからざること、並に此等の分子が米国の民情及び政府を威化せんとの必ずしも空想ならざる場合あるべきことを説き、更に為政者ローズヴェルト氏及びタフト氏の思想を探りて、氏等が自らは有力の政治家なれども、其の思想の中には、かの険悪なる民間の分子に曲解せられ乱用せらるべき卵子を蔵せざるにあらざることを示したり。

 之を要するに(一)日米国民相互の誤解より見るも、(二)米国官民の東洋に対する態度より察するも、両国の将来に関して寒心すべき事情一二のみならざるを信ずる也。

 殊に日本の識者の最も意を潜むべきは、万一不幸にして日米が東洋において衝突することあらば、裏面の真実の事情は如何にもあれ、又争乱の曲直は何れにもせよ、表面の大義名分の必ず我に在らずして彼に在るべきこと是れ也。

 其の理何ぞや。他なし、前に説けるが如く、米国の「世界的強国」主義は既に事実となりたるものにして、此主義が東洋における方面は実に清国の独立保全、機会均等の二大原則の実現と最も密接なる関係を有せるものなれば、米国が此主義を以て其の対清の大政策となさんことは明白なる事実なれば也。

 米国が仮初にも此二大原則を忘れ又は片時にても之に背かんことの如きは想像だにすること能はざる現時の形勢也。故にもし清国に関して日米刃を交ふることあらば、是れ実に彼が此原則を主張せるがためならざるべからず。

 是に至りては、日米如何に全然此原則に反せざる事実ありとするも、世は米国を以て之が擁護者と見做すべきが故に、従つて又日本をば之が悪敵と見做すに至るべきは自然の情勢といふべし。即ち表面の大義は日本の側にあらずして米国の側にあるべし。

 果たして然らば米国の識者は正義の徒も不正の徒も共に等しく此名分の正しきを極力意識し利用すべきが故に、国民の過半は全然正義のために戦へりと確信するに至るべし。余が全段において説けるが如く、「万一清国問題に関して米国が敵の不正と自国の正義とを確信し、之を鼓吹するに彼が特有の愛国心を以てし、且つ之を遂行するに彼が強大なる富強の力を以てし、猛然として戦いにのぞむことあらば、天下如何なる強国といへども之を以て侮るべき敵手となすものあらざるべし」。

◎続きは『日本之禍機』4 の題名で追加、連載します。

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