小出し社会日本
宮内庁がようやく天皇陵系古墳の学術調査を許可するという。しかも、それが奈良盆地の北端、佐紀古墳群を代表する五社神(ごさし)古墳(墳丘長276㍍)であるということは、古代史マニアにとってわくわくするようなニュースだと思った。
同古墳は、伝説上天皇の扱いをうけている神功皇后陵として宮内庁が管理している。朝鮮への出兵には、自ら指揮者として渡海し、応神天皇の母親・仁徳天皇の祖母とされている皇后だが、学者の中には実在を疑う人もすくなくない。
ただ考古学では、奈良盆地西南に位置する発生期巨大古墳群から、ここに巨大古墳の造営が移り、さらに日本最大の大山(だいせん)陵古墳(仁徳陵)がある大阪南部へ移る過渡期の場所で、「なぞの四世紀」解明の手がかりを秘めた古墳群とされてきた。
各新聞とも比較的大きな扱いになっているが、内容をくわしく見るとがっかりする。墳丘のすそを一段あがったところに立ち入りを許可するだけで、発掘などは許可されない。ちょうどおひな様の飾り棚の牛車や小道具などを置いてある最下段で写真を撮る程度ならいいよ、というのに似ている。
その程度のことは、これまでも宮内庁による補修の際に許可されていた。安全上の問題云々というが、そんなのはウソだ。しもじもを至尊に近づけたくない神域だからだ。現在の天皇陵指定は、明治になってから取り決めたもので、古代の墳丘墓については指定の誤認が多い。
つまり、宮内庁所管からはずれていれば調査が可能で、その中からこれまでも「被葬者は、まちがいなく○○天皇」といった墓が発見されている。冒頭に古墳名をふた通り書いているのは、天皇の名をつけた宮内庁サイドの命名を学会で信用していないからだ。
宮内庁は、そろそろ万世一系の皇国史観から解放されるべきだ。神武以来、歴代の天皇陵をすべて決めておく必要はない。古代の陵墓は調査によって存在を確定できるものもあるだろうし、わからないのはわからないでいい。
私は、憲法9条のある第2章戦争放棄は厳守すべきだと思うが、第1章天皇も手つかずで残したい。宮内庁が旧弊にこだわり、古墳の調査許可を小出しにすることしかできないようでは、「国民の総意」が天皇制などいらない、となる時代の変化に、いつかは追いこされるだろう。
日本は、いつからこういう小出し社会になったのか。民間有名ブランドの偽装スキャンダル小出し、政府の年金、医療行政など失政事実や対策の小出し、インド洋の給油中断後の復活、クラスター爆弾禁止に条件付きの賛成、すべて小出しでどれを見ても感激がなく効果もないのだ。
株価の低迷も、大底が見えない。魅力を失った日本売りはまだ続くのだろう。
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