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2008年1月11日 (金)

『日本之禍機』4

 前記事「福田首相の信念」の続きとして、首相が外交指南書とする『日本之禍機』の抜粋(その4)を掲載します。ここで転写を終えますが、百年前とは思えないほど現在の状況に当てはまることの多いのに驚かされます。たとえば下に書いた「禍害を望む分子の存在」などは、対象国が違うものの直ちに思い当たるものがあります。

 冒頭に書いたように、本書はネットを使って国会図書館の「近代デジタル・ライブラリー」から全文を容易に閲覧できます。明治時代の文語体にしては読みやすい文章なので、是非一読をおすすめします。

  後編 日本と米国との関係に危険の
  分子少なからざることを論ず
 より

(承前)日本の誠実に国を愛し世を憂ふるもの誰か日米の衝突を望まんや。幸にして日米の関係未だ此の如き危機の片影をも認めず、将来の衝突を予期すべき現在の事情一も之を見ることなし。是れ両国のため天下のために中心より祝賀せざるべからざる所也。

 然るを猶ほ余が此章を草せし所以は、実に今日既に禍害を望む分子の存在せざるにあらざることを示して、読者が動もすれば半上落下に等しからんとする現勢に甘んぜずして、大に国家と人類進歩との前途に向ひて覚悟せられんことを祈るにある也。

 蓋し其の道要するに此等危険の分子をして我に乗ずるの機なからしめ、之をして漸く霧散せしめ、更に進みて彼が正義の分子をして我に傾倒せしめ、絶大なる彼が富強を以て我が勢力の一部たらしむるにあらんのみ。

 之を換言せば、我が日本が支那と同じく東洋にあり、之と人種及び文字相通じ、文明の縁故深く、且つ将来の利害極めて親密なるべき自然の地位に立ち、過去の宣言及び事業を継ぎて、最も誠実に支那の主権を擁護し、最も熱心に支那における機会均等を確保するの主導者となり、之によりて米国と且つ競争し且つ協同し、以て相共に東洋の進歩幸福を助成せんことにあり。

 是れ豈地理及び歴史の自然の配置にあらずや。日本もし正路を踏みて誤まらずば、清国に関する日米衝突の一の理由だになく半の機会だになかるべし。由来日米は東洋商業の好敵手也。男らしき競争によりて始めて両国民の利害を調停すべき余地の充分なるを発見すべく、又之によりて両国の自然の協同は長久なるべし。

 読者願わくは世界人類の大処より観察を下されよ。(以下略)

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