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2008年1月10日 (木)

福田総理の信念

 交流をいただいているブログでは、圧倒的に反自民を掲げるものが多い。したがって福田内閣も打倒すべき対象になってる。すでに記事にした「福田首相と孔子」などからお察しの方もあると思うが、なぜか私は、心情的に福田さんとソリが合うのである。

 仮に、自民の安倍前首相を中心とする右傾議員や、民主に巣くう好戦分子を排除するための大連立なら、一考に値するのでは、という気持ちさえあった。ただ彼独特の政治姿勢から、簡単にその真意を読みとることはなかなか困難である。世襲ということもあって、所属政党や派閥からだけでは判断しかねる面もある。

 そんな時、毎日新聞の伊藤智永記者の書いた「福田外交の自負心」というコラム(1/9朝刊)を見た。総理が官房長官時代のこととして、明治時代の米エール大学教授・朝河貫一博士の書『日本之禍機』が名著であり、「外交は歴史に学ばなくちゃ」という話を聞かされた、というエピソードである。

 そこに、同記者の「学識を愛する首相」という表現があったが、歴史に学ぶ、というのは本塾のかねての方針である。またそれは、小泉・安倍両首脳の世界観とは次元を異にしており、安易に追随はしないという重みを持つ。私は不勉強のため、この「日本之禍機」を通読したことがなかった。そこで図書館へ行こうとしてまず蔵書検索をした。

 その結果、地元の公立図書館にはなく、国会図書館に出かけなければならなかった。しかし便利になったものだ。同館蔵書をパソコンで家にいながら中味が読めることがわかった。およそこんな手順だ。
     国会図書館サイト→蔵書検索→簡易検索
     窓→「日本之禍機」→全項目を表示→所
     蔵詳細→本文をみる(近代デジタルライ
     ブラリー)→著作権保護期間満了→本文
     をみる
 これで各ページの写真版を見ることができる。また印刷・保存も可能だ。おかげで、上京の機会を失ってしまった。

 それでも面倒だ、という人のために、サマリーを紹介しておこう。本書抜粋はやや長くなるが、要は、日露戦争と第一次世界大戦の間(明治41年)における、欧米先進国の日本・中国に対する関心、および日本外交に対する警鐘で、その後の日中関係や日米開戦までを見事に予見している点である。関心をお持ちの方は、その雰囲気だけでもお汲みとりいただきたい。

前編 日本に関する世情の変遷より

 (前略)今や世人が日本国運の隆盛を謳歌せるに当たり、余竊におもへらく、日本は一の危機を通過して他の危機に迫りたりと。只今日は日本国民が殆ど前身全力を振ひ驚くべき伎倆を以て戦役の危機を通過して後日浅きが故に、既に早く別種の危機の眼前に来たりたることを未だ意識せざるも無理ならず。

 且つ第二の危機は第一の危機と性質甚だ相異れり。戦争は壮烈にして一国の人心を鼓舞振作する力ありしも、今日の問題は頗る抽象的なり、甚だ複雑なり、一見する所平凡にして人を衝動するの力を欠く。之が解決に要する所は超然たる高明の先見と、未曾有の堅硬なる自制力とにありて、かの単純直接の戦闘及び犠牲のみの能く処理し得べき所にあらず。

 故に或は僅少の識者之を洞観せるものあるべしといえども、目前の利害以上を見るの余裕なき大多数の与論に対しては如何ともする能はず、問題の何たるかを国民に告ぐることすら難きならん。今日日本の要する所は実に反省力ある愛国心也。先づ明快に国家前途の問題を意識して、次に之に処するに非常なる猛省を以てするにあらざれば、国情日に月に危かるべし。

◎この続きは『日本之禍機』の題名で追加、連載します。

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