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2008年1月14日 (月)

台湾独立

 台湾の立法院(国会)総選挙は陳水扁総統率いる与党が惨敗し、野党の国民党が議席の3分の2以上を獲得した。この数は総統の罷免案を出せる数で、日本の民主党の勝利などとはけた違いの意義がある。

周知のとおり、陳水扁氏は台湾独立派の象徴的存在である。これで、台湾の国連加盟国民投票への賛成は、急速に勢いをそがれることになるだろう。大嫌いな中国でも、北京オリンピックから招待されればひょこひょこ出ていく東京都知事のご心境はどうか知らないが、私はほっとしている。

 日本の右派陣営が、台湾の独立志向をもつ李登輝前総統の肩を持ち、アメリカのタカ派と組んで中国脅威論を振りまく根拠がなくなるからだ。日本の周辺区域に台湾海峡が入るか入らないかなどの論争も、今後だんだん風化していけばどんなにいいだろう。

 台湾人だって中国が軍事侵攻してくるとは思っていない。台湾が本土反攻とか独立とか言わない限り、得るものより失うものの方が大きい戦争に訴えるはずがない。香港方式の延長上に今日の中国経済の発展があることは既に実験済みだ。

 にもかかわらず、私には心にひっかかることがある。それはもし私が台湾人ならどう考えるだろうということだ。台湾の民主主義や経済水準は、本土に頼らず自らが築き上げてきた。一党独裁が続き、言論・表現の自由や経済活動の自由がなく、子供の数まで党が指図するような国と一緒になりたくない。

  世界を相手に、胸を張って台湾国民であると言いたい。これも、自然の理である。なるぺく波風立てないでほしい、などというのは周辺国のエゴイズムであると思うだろう。もし、国民投票でこれが圧倒的多数になれば、住民の総意、民族自決でバルカンのコソボと同じように考えざるを得ない。

 ただ、台湾は中国人の国であるということである。日本の領土だった小学生時代のことを思い出した。教科書に原住民の高砂族が皇軍に協力する「美談」があり、それを教わった。そして神戸港に遠足、台湾航路を受け持つ当時の大型豪華客船、排水量1万トンの「高砂丸」に乗船して中を見学した。

 子供ごころに台湾は高砂族の国で、あとは日本人だけかと思ってた。今いる本省人(中国人)のことなどは教えず、慈愛に満ちた天皇陛下の恩徳を受ける地という教育方針だったようだ。たしかに、中国にとっても清朝の末期まで、「化外の地」「化外の民」として完全に統治しているとは言い難い状態だった。

 しかしその当時ですら、原住民の国でなく中国語を話す漢民族が主、つまり本省人の国だったのだ。つまり、連綿として続く原住民の文化を守る、あるいは本土と相容れぬ宗教、言語、風習のための独立指向ではないといえることだ。

 そこに、国家というたがをはずした話し合いをすれば、共通する利益やあるべき理想も見いだせる可能性がある。そして、中国人にはそういった知恵もある。どうかその線で行ってもらいたいものだ。「楽観にすぎる」という人もいるだろう。しかし、「反戦」は楽観からしか生まれてこない。
 

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

一昔前は「中国が軍事侵攻」ではなく、台湾蒋介石政権は「大陸反攻」がスローガンでした。
そのために台湾国会でも台湾省選出議員だけではなく本土の省代表議員が。???
だいぶ台湾もマトモになってきたようです。
日本人の若者達の中には金門馬祖紛争なんて知らない人もいるらしいが、現在も台湾海峡は制海権も制空権も台湾軍が握っています。
広州湾口を押さえられてもどうすることも出来ない。
中国本土からわずか2キロ先の金門等さえ攻略できない中国軍で200キロ離れた台湾進行は元々無理な話。
20年以上前の中曽根康弘の、ソ連が北海道に攻めて来る話と同程度の信憑性。(地続きなら心配も根拠があるかも)

経済的に豊かでも独立は如何でしょうか。?イタリアに貧しい南部を切り離し、豊かな北部だけで独立しょうと言う「北部同盟」という政党がありましたね。
今100万人以上の台湾人が中国本土で働いているようです。
政治だけが別なだけで、大陸での現地生産は日本以上に進み、いまや台湾経済は中国本土なしには成り立ちません。
現実問題として、一国二方式という香港方式がベストな選択でしょう。
後は、例えば今の台湾総統を中国の国家主席に任命するとかの、いかに台湾人の面子を重んじるかの問題に尽きると思います。


投稿: 布引洋 | 2008年1月15日 (火) 13時10分

布引洋 さま
コメントありがとうございます。
一般国民が外交、国際関係にうといのはやむを得ないとしても、政治家が不勉強無関心なのはどうやら日本の伝統でしょうか。
島国で言葉の壁、ひっこみ思案、独善いろいろあるでしょうけど、このところの地盤沈下は深刻のようです。

投稿: ましま | 2008年1月15日 (火) 13時37分

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