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2008年1月10日 (木)

『日本之禍機』2

 前記事「福田首相の信念」の続きとして、首相が外交指南書とする『日本之禍機』の抜粋を掲載します。

前編 日本に関する世情の変遷 より

 (前略)惟ふに欧米何れの処に到るも、いかなる外人に接するも、其我に対する態度の戦前と同じからざるは一瞬にして見ることを得べし。そは如何なる態度なりやといふに、一般の俗衆は只漠然日本を疑ひ又は恐れ又は憎む者にして、其理由を問はゞ彼は答えていはん、日本は戦勝の余威を弄して次第に近隣を併呑し、遂には欧米の利害にも深き影響を及ぼすに至るべきが故也と。

 もし進みて其証拠は如何と問はば、彼は或は日本の兵備の進歩を指し、或は満韓に於る日本の挙動を指し、且つ右の論は世の皆信ずる所なれば疑ふの余地なしと答へん。我もし其疑を解かんとせば複雑なる問題に立入らざるべからざるが故に、彼は却て之を信ぜず、只益々単明なる先入の僻見を固守するのみならん。

 多少東洋の近時に注目したる識者の感情を察するに、そは俗衆のゝ如くには漠然たらざるに似たり。彼はいはん、世に実力と相伴はざる権利ほど無用の者あらざれば、日本の地位より推して其の兵備の充実を計るは強ち解すべからざることにあらず。

 わが非難する所は他にあり、即ち日本は戦前も戦後も反覆天下に揚言して其の東洋政策の根本之に外ならずと称したる二大原則に己れ自ら背きつゝあるが故に、我は其の専横を喜ばざる也、二大原則とは清帝国の独立及び領土保全、並びに列国民の機会均等是れ也と。

 さらば日本は何処にて之に背けりやと問はば、彼は、韓国は日本の保護国なれば暫く措くも、満洲において最も然りと答へん。君如何にして之を証するやと尋ねば彼云はん、新聞紙の報ずる所一として之を証せざるはなしと。げにも欧米の新聞紙上には北京、奉天、営口、京城、東京、倫敦、聖彼得堡、華盛頓等より恰も申し合はせなれたるが如くに日本の満州における不正を訴え来る通信続々発表せらる。

 世人は或は通信のまゝを信ぜざる者あり、或は之を信じて日本を憎むものあり、或は日本のために憂慮するものあり、或は何国も行はん悪事として寛容するものあり、その他態度一様ならずといへども、只、日本が戦前の公言は一時世を欺く偽善の言に過ぎずして、今は却つて満洲及び韓国において私意を逞くせんとせるものなり、といふ見解においては万人一致し、かく観察せざる外人きわめて稀なるが如し。戦前世界が露国に対して有したる悪感は今や変じて日本に対する悪感となり、当時日本に対したる同情は今や転じて支那に対する同情となりたり。

 請ふ更に進みてこの感情の関する所如何に深きやを察せん。試に先ず満洲を領する支那の態度を顧れば、北清事件以後彼に尽くしたること少からずして、彼亦我が志を諒したることあるにも係はらず、又戦時には日本が重大の犠牲を以て満洲を彼がために保存したるにも係はらず、今や満洲にも支那本部にも日本の恩を感じ日本を愛する支那人果して幾人ありや。

 日本が宿志の如く支那を扶掖して東洋の文化を助成せんことはおろか、実に支那こそは満洲における日本の横暴侵略を世に訴えたるものにして、世は暫く支那の言を容れて之に同情し日本を擯斥したるもの也。(後略)

◎続きは『日本之禍機』3 の題名で追加、連載します。

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