蘆溝橋と民主党案
北京の近くに、日中戦争の発火点となった有名な橋、蘆溝橋がある。夜間演習中の日本軍に何者かが銃弾を撃ち込んだのがもとで、天皇の反対にもかかわらず戦線拡大の方向に進んだ。そのことは誰でも知っているが、なぜ日本軍がそんなところにいたのかはあまり知られていない。
それには37年前、明治33年(1900)の北清事変まで時計の針を戻さなければならない。義和団と称する宗教組織が土民(窮乏した一般民衆)を結集し、「西教排斥・扶清仇教(清を助け邪教をこらす)」というスローガンで暴動をおこした。
清国に治安維持能力がないため、北京、天津にいる各国の居留民はみな殺しにされるという風説が立った。そのため、日・英・露・独などが連合軍をつくり居留民保護を名目に上陸した。ところが、清国はやがて義和団を応援するようになり苦戦する。援軍の間に合わない各国はあわてた。
そこで、現場に一番近い日本が各国の了承をとり、1個師団を向けて勇猛果敢にこれを鎮圧した。『小村外交史』にはこうある。「その鎮圧に際して最も強力な先鋒となり、更に最も忠実に列強の方針に随従することによって、日本ははじめて列国と対等の立場を獲得し世界の舞台に登場するに到り、愈々極東の憲兵としての実力を買われたのである」
このときの清国との講和条件として、北京と海岸線を結ぶ鉄道沿線のいくつかの地点に軍が駐留する権利を得たのだが、その始まりである。しかし兵数の決めもなく、その地点に蘆溝橋は含まれていないのに演習をするなど、かなりわがもの顔でふるまっていたことは覆えない。
治安維持を目的に、国際的手続きにのっとって有志国の一員として合法的に国際貢献を果たした。それで国際的地位を高めたが、反面、その後の内政干渉や満州国独立で中国の反日感情を決定的にした。外国の土地に軍隊が駐留している、というだけで何が起こるか。
民主党がテロ対策の対案をだすという。本塾は以前から「対案はいらない」という主張をしてきたし、同党内にも慎重意見があったと聞いていた。今日の各紙によると、ここへ来て急遽(どろ縄式まがいの)法案をだすことになったらしい。多分、小沢代表の指示によるものだろう。
同法案の中身は不明なので、まだ逐条検討はできない(末尾「追記」参照)。また、要旨も各紙で微妙に違うが、産経紙では「復興支援のために、自衛隊や文民をアフガン本土へ派遣し、武装解除や医療、物資の輸送、配布に従事する。自衛隊部隊に、活動への抵抗を抑止するため武器使用も認める。自衛隊派遣は国連決議を前提とし、派遣の基本計画は国会の事前承認を義務付ける」としている。
また、これまで発表された同党の政策要項や、小沢氏が雑誌『世界』11月号で発表した「今こそ国際安全保障の原則確率を」などを見る限り、国連憲章や憲法解釈の合理的整合性と現状認識にそぐわない、つまり批判に耐えられないものである可能性が強い。
もとより、本塾はアフガンであろうがどこであろうが復興支援、人道支援などに、たとえ血を流そうが汗を流そうが、国際的な協力は必要だと思う。問題は、その国の国民から「日本が軍隊を派遣してきた」と認識される点である。
たとえ目的が何であれ、「暴力的権力」を持つ軍隊には来てほしくないというのが本音だろう。たとえその国の政府から要請があったにしろ、外国軍隊の存在が国内抗争の激化につながったり、民族の尊厳(たとえば異教徒に支配されるなど)にも関わりが生ずる。
民主党は、全段に書いた歴史の教訓を反芻してほしい。義和団がアルカイダ、暴動がテロ、日英露独が国連、居留民保護が治安回復などといっているのではない。駐留部隊に佐藤正久隊長のような人がいたり、防衛省次官が政府・議会の目の届かないところでやりたい放題ののことをやっているようでは、蘆溝橋が遠い昔のことといえないといいたいのだ。
追記
民主党公式ホームページで「民主党テロ根絶法案」を閲覧できるようになりました。またこれについて早速、飯大蔵さんが論評されています。是非参考にしてください。なお、このブログの内容を変更する必要はないものと思います。
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コメント
こんばんは。
>飯大蔵さんが論評されています
此処↑のリンク間違っているようですね。
韓国軍のベトナムでの『医療活動』の経験からいくと危険ですね。米軍の負傷兵を見るだけやなく、赤十字(あ、イスラム圏では、赤月でしたっけ?]のように、総ての負傷者を診るんなら、まだしも・・。それも武器無しで。それも危険やから、っていうのは、『国際社会に対する信頼』って言う憲法前文の『建前』の否定になるし・・。
難しい問題です。
此処こそを広く民主的に議論せなあかんはずやけど・UFOとかよりも・・。
投稿: 三介 | 2007年12月23日 (日) 01時40分
ご指摘ありがとうございました。なおしておいたけど、ときどきこんなふうになる・・・リンク・エラーですね。
アフガンで韓国のボランティアが人質になったけど、彼ら彼女らはキリスト教団体で布教も目的にしていたという。
男子2人が殺されたけど、強固なイスラム教徒ならとんでもないことをしにきた背信者ども、ということになる。
でもキリスト教徒は「経典の民」で仲間だけど、日本人の多くは「異教徒」で戦場におく、それ以下の民族にされている。あほなまねは、せんどいほしい。
投稿: ましま | 2007年12月23日 (日) 10時00分