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2007年12月28日 (金)

入門編・戦争とは3

 戦争とは人を殺すことです。普通の人は、人を殺すことになれていません。したがって人を平気で殺せるような訓練をしたり相手をにくむようにしむけます。それが軍隊です。これまで、カッコいい戦争はアニメやゲーム、あるいは物語のうえだけで、実際にはありえないといってきました。

 戦争にはいろいろな種類があります。侵略戦争はいけないけど自衛のための戦争はいいという人がいます。そのほか、報復戦争、予防戦争、懲罰戦争、独立戦争、宗教戦争などあげればきりないでしょう。国連憲章では、どんな名目であっても戦争そのものを原則として認めていません。これについては後にふれます。

 侵略戦争とは、他国や他の民族の住むところへ攻め込んで、そこを自国の領土にしたり、植民地にしたり属国にするようなことをいいます。古くはヨーロッパの強国が、アメリカやオーストラリアなどを含む世界各地域を侵略して国をつくりました。

 それは、世界中新たに侵略するところがなくなる19世紀いっぱい(日本では明治時代まで)続きました。その最後は、相手国に鉄道敷設権や治外法権その他貿易上の不平等な権利を押しつけるというような形をとりました。

 日清・日露の両戦争は、形の上では侵略戦争ではありません。むしろ主にロシアの侵略をふせぐ意味がありました。また日本の開国もイギリスが中国を侵したアヘン戦争に脅威をいだいたことが大きく作用しています。富国強兵の明治政権の大目標も欧米の侵略をふせぐためのものでした。

 そのころまでには、列強もルール(国際法)をつくってお互いにけんせいしあうようになっていました。前回のべた北清事変(義和団事件)でも、日本軍は勇敢で規律正しく、他国軍にあったような現地での略奪・暴行事件など一切おこさなかったことで名をあげました。

 第一次世界大戦で戦闘のすがたがすっかり変わり、その悲惨さにショックを受けた参戦各国は、パリで会議(1919年=大正8)を開いて戦後処理と戦争防止について話し合いました。国際連盟創設もこの時、議題となっています。

 日本も、中国山東省に利権を持つドイツと戦って勝ちましたが、別の意味で将来の岐路に立ったといえます。それは楽な戦争をして勝ち、戦争景気で潤った反面、世界の植民地解放闘争に対する理解や労働者の権利擁護といった世界の流れの中で、依然として帝国主義的な領土や利権の拡張にこだわったことです。

 つまり、欧米各国は既得権擁護には熱心でしたが、これまでの帝国主義的侵略はすでに時代遅れだと認識していたのです。後に外務大臣となりA級戦犯となった松岡洋右は、この時は随行員で、記者団に山東半島の利権などについて「ほかにもどろぼうはいるのだから、どろぼうをしてもいい、というのと同じでやぼな話」と他国から受けた印象を語っています。

 困ったことには、いまでも「さきの戦争は植民地解放の戦争だった」とか「帝国主義的侵略は欧米各国でもやっていたことだ」などというやぼなことをいう人がいることです。世界の流れから10年も20年もおくれ、それでもまだ気がつかないようでは「やぼ」ではすまされませんよね。

(追記)「戦争とは」のシリーズは、新たなカテゴリ(左欄)を設けました。関連記事はこちらでご覧ください。

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コメント

工業的殺人,ないし殺人の工業化という言葉が適切ではないかと思っています.

投稿: yamamoto | 2007年12月29日 (土) 00時42分

yamamoto さま
そうですね。
ナチスの愚がどこまで反省されているか大いに疑問です。

投稿: ましま | 2007年12月29日 (土) 09時08分

「ガス室」を連想されましたか.いや,「空爆」だけでなく,機関銃による「効率的」殺人も,まさに「工業」
の名前がぴったりと思います.

投稿: yamamoto | 2007年12月29日 (土) 09時30分

自分が手をくだしていることがわかる殺人、銃刀などによるもの、と、爆撃、ミサイルなど、殺される人が見えない殺人(ガス室も含まれます)にわけて、どっちもカッコよくない戦争であることを知ってほしいと思っています。特攻隊も自爆テロも死ぬ相手が見えないのでカッコいいと思うのでしょうか。

投稿: ましま | 2007年12月29日 (土) 10時56分

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